東京臨海高速鉄道は6日、りんかい線に新型車両71-000形(ななまんいっせんがた)を導入すると発表した。2025年度下期に第1編成の営業運転を開始し、2027年度上期中に全80両(10両編成×8編成)を導入する計画となっている。
71-000形は、1996年3月の第一期事業区間(新木場~東京テレポート)開業以来、28年間にわたり走り続けてきた70-000形(ななまんがた)に代わる新型車両に。総合車両製作所が製造を担当し、現行の70-000形(10両編成×8編成)をすべて置き換える計画だという。新型車両の導入後、現行車両と同じく新木場~大崎~川越間で運行され、JR埼京線と相互直通運転を行う。
エクステリアデザインは、70-000形の丸みのある面影を継承しつつ、前面上部のひさし形状が横方向への広がりを強調。車体前面のカラーリングは、70-000形の色彩を継承しつつ、「優しい微笑み」をイメージしている。車体側面のカラーリングは、ホームドアの高さを考慮して車両腰部から上部にかけて配置しており、エメラルドブルーのグラデーションで東京湾ウォーターフロントの水辺の空間を表現している。
インテリアデザインは、木目柄の妻部化粧板など70-000形の面影を残しながら、ホワイトを基調にグレーやネイビーでまとめ、臨海副都心の洗練された都市景観をイメージした。座席はグレーとブルーを基調としたブロック柄とし、都会的でクールな雰囲気を表現している。優先席はピンクを基調とした色とし、落ち着いた印象を持たせたという。
機能面では、先頭車両の前面に衝撃吸収材を設置するとともに、車両構体の剛性を高めて衝撃時の安全性を向上。車両の各機器を制御する列車情報管理装置のシステムや主要電気機器の二重系化により、故障等の発生時に機能全体が停止することを回避し、輸送の安定性を向上している。
防犯カメラを全車両に搭載したほか、客室内に通話式非常通報装置を1車両あたり4台設置し、車内のセキュリティ強化も図っている。バリアフリーも推進し、床面高さを50mm下げてホームとの段差を低減し、すべての車両にフリースペースを設置して車いす・ベビーカー利用者の利便性を向上させた。荷棚や吊り手を低くし、ドア開閉をチャイムの鳴動とドア上部の表示灯の点滅で知らせるとともに、開いているドアの位置を聴覚的に知らせる誘導鈴を設置する。
ドア上部に2画面の液晶ディスプレイを設置し、乗換案内、運行情報、駅設備案内等の情報を提供する。空調装置の冷房能力は現行の70-000形に比べて約20%向上。カビ、花粉、菌、ニオイ等に抑制効果がある機器をすべての車両に搭載し、清潔で快適な車内環境を提供する。快適性の面では、車体幅を150mm拡大して混雑時の圧迫感を緩和し、車内の天井に影ができにくい照明を採用することで、閉塞感の低減を図る。着席時の快適性向上のため、座席幅を1人あたり10mm拡大するとともに、大型の袖仕切りを採用し、袖仕切りにガラスを用いることで開放感を高めた。
りんかい線の現行車両70-000形はストレート車体だったが、相互直通運転を行うJR埼京線の車両E233系は拡幅車体を採用しており、混雑時の輸送力に差が生じていた。りんかい線の新型車両として導入される71-000形は、総合車両製作所が製造した「sustina」ブランドの車両である山手線のE235系を思わせる車体となっており、拡幅車体としたことで混雑の軽減も期待される。「これからの東京臨海副都心における輸送を担う車両」であり、「安全・安定・安心輸送とお客様のニーズに沿ったサービス向上」をめざす車両となる。