JR東海は6日、東海道新幹線の「S Work車両」リニューアル等に関する報道公開を実施した。この中で、N700Sの全編成を対象に、10月1日から本格導入されている「ビジネスブース」の新たな機能についても紹介された。

  • N700Sの7・8号車間に設けられた「ビジネスブース」(写真は2022年に試験導入されたJ27編成)

「ビジネスブース」は2022年5月に試験導入。N700Sの3編成を対象に先行して整備し、東京~博多間(東海道・山陽新幹線)でサービスを提供している。7・8号車間のデッキ部に個室タイプの「ビジネスブース」を設け、室内にテーブル、ハイチェア、コンセント等を設置。一時的な打ち合わせ、Web会議、電話等で利用できる場とした。7号車「S Work車両」の利用者を対象に、1回あたり30分以内、1グループ2名まで利用できる。

試験導入中は利用状況や改善点を調査するため、無料で「ビジネスブース」を利用できたが、本格導入にともない10月1日から有料となった。整備の完了した編成から順次利用でき、2024年度中に全編成で整備完了を予定している。今回の報道公開は試験導入中の編成(J27編成)を使用したため、「ビジネスブース」の新機能は装備されていなかったが、この編成を含む先行3編成についても、ハード改良は未完了のまま有料化し、その後で改良を行うとのことだった。

  • 報道公開で使用された編成(J27編成)は今後、「ビジネスブース」の改良を行う予定

10月1日以降、N700Sの「S Work車両」に乗車した後、「ビジネスブース」を利用する場合は座席に備え付けられたQRコード、あるいは「ビジネスブース」内のタブレットに表示されたQRコードから利用時間を予約する必要がある。1回あたりの上限を60分として、10分単位で予約を受け付け、30分以内で利用する場合の料金は10分あたり200円、30分超60分まで利用する場合の料金は10分あたり300円。利用開始時に各種クレジットカードで支払いを行う。

予約の際、スマートフォン等の予約画面に「利用番号」「合計利用時間」「料金(税込)」をはじめ、利用までの順番と利用開始予想時刻を表示する予定。「ビジネスブース」の本格導入にあたり、予約システムと連動した電気錠も新設する。ドア部の表示灯は「空室」「予約中」「使用中」の3段階とし、利用・予約の有無をわかりやすく表示。室内において、スマートフォンの急速充電が可能なUSBポート(Type-A/C)も追加する。

「ビジネスブース」の試験導入時からの変更点として、空調吹出し口に「東海道新幹線再生アルミ」を使用(試験導入中の先行3編成は除く)。廃車となった新幹線車両のアルミ部材をリサイクルして再使用することで、通常のアルミを新製する場合と比べてCO2排出量を97%削減できるという。なお、2023~2026年度に追加投入するN700Sにおいて、新幹線で初めて車体の一部に「東海道新幹線再生アルミ」を使用する予定。さらなるリサイクルの推進を図り、適用範囲を広げるなど、環境負荷低減に取り組むとしている。