一方で、「フジタさんがお父さんに女性との付き合い方の話を聞いたり(笑)、今まで話せていなかったであろう会話ができていて、ものすごく大きな変化だなと思いました。フジタさんにとってお父さんはやはり影響力のある人で、子どもにとって親はずっとそういう存在なのかなと思いました」と、2人が“親子”の関係性を取り戻していくのも感じた。

今回は、フジタの恋愛も1つの軸として描かれる。その動機としてあるのが、父親に孫の顔を見せてあげたい気持ちで、「フジタさんがそう思えたというのも、大きな変化ですよね」と捉えた。

その上で、「今、フジタさんは子どもの頃からたくさん失っていたものを、1つずつ集め直している感じなのではないかと思うんです。きっと“家族”というものに対しての思いが人一倍強い方だと思うので、ただただ幸せになってほしいです」と願い、改めて「今回はとてもいろんなテーマが含まれていると思いました」と実感した。

  • フジタ(左)と父親 (C)フジテレビ

■『ザ・ノンフィクション』の経験が朝ドラに生きる

『ザ・ノンフィクション』歴代1位のナレーション回数を誇り、これで43回目に達する宮崎。初めて担当したのは18歳の時で、当時ナレーションの経験はほどんどなかったというが、今では「私にとって声の仕事はすごく大好きで、毎回反省をするお仕事でもあります」という。

現在、朝ドラ『らんまん』(NHK)のナレーションを担当しているが、「役の設定があるわけではなく、客観的な視点なので、立ち位置的にはこの『ザ・ノンフィクション』での心の置きどころと近いものがあります」と、経験が生きている様子。

ただ、「(ドラマとドキュメンタリーで)比べるものではないですが、『ザ・ノンフィクション』は本当にいろんな方の人生を覗き見させてもらっているような気持ちなので、毎回ズンとくる重い感じがあります」と受け止めながら、声を吹き込んでるそうだ。

95年10月にスタートした『ザ・ノンフィクション』で、放送1,000回SPのナレーションを担当したが、今回の前編は放送1,100回となっており、再び番組の節目を飾っている。

●宮崎あおい
1985年生まれ、東京都出身。『NANA-ナナ-』『少年メリケンサック』『舟を編む』『怒り』などの映画、連続テレビ小説『純情きらり』『あさが来た』、大河ドラマ『篤姫』などに出演。現在放送中の連続テレビ小説『らんまん』ではナレーションを務める。『ザ・ノンフィクション』では番組最多回数のナレーションを担当し、今回の『あの日 僕を捨てた父は2 ~孤独な芸人と家族の再生~』で43回に達する。