ワニブックスは9月15日、『認知症になる48の悪い習慣 - ぼけずに楽しく長生きする方法 -』(1,650円/岩瀬利郎著)を発売した。本書は、「認知症を招く可能性が高い習慣」を挙げ、それぞれの対処法を紹介している。

  • 『認知症になる48の悪い習慣 - ぼけずに楽しく長生きする方法 -』(1,650円/岩瀬利郎著)

著書は、精神科医であり認知症サポート医、博士(医学)の岩瀬利郎氏。同氏によれば、一見関係なさそうな日常の習慣も、実は認知症リスクを高めている可能性があるという。その習慣を紹介するとともに、対処法を本書では届けている。

今回はその中から、認知症と「加齢によるもの忘れ」の違いについてを抜粋。みなさんはその違いについてきちんと理解できているだろうか。ぜひ、チェックしてみてほしい。

■認知症と「加齢によるもの忘れ」は違う

65歳以上の5人に1人が認知症になる

「もしも認知症になったらどうしよう……」。誰もがそのような不安を抱いたことがあるでしょう。日本では高齢化が進むとともに認知症を発症する人も増加しており、厚生労働省の調査によると、65歳以上の人のうち認知症を発症している人は、2012年時点で約462万人に上ると明らかになっています。2025年にはその数が730万人に増加し、65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると推計されています。

そもそも認知症とは後天的な脳の障害によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたしている特有の症状や状態を指します。

  • 認知機能の障害

年齢を重ねると誰でも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりしますが、こうした「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」は異なります。

たとえば、朝ごはんを食べたがおかずは何だったか思い出せないのが加齢によるもの忘れで、朝ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのが認知症によるもの忘れです。

また、認知症の症状はもの忘れに限りません。新聞を読むのにすごく時間がかかるようになったり(複雑性注意の低下)、効率よく物事を行えなくなったり(実行機能の低下)と、さまざまな局面で「日常生活を送るのが困難」だと感じるようになります。

■認知症は予防できる

日常生活の改善が予防につながる

認知症は、現状、薬で治せない病気です。しかし、世界的に権威のある医学雑誌のひとつである『Lancet』で「生活習慣などを改善することで認知症の発症リスクは40%下げられる」と示されているように、日常生活に気をつければ予防できる可能性もあるのです。

認知症に関わる12の因子

2020年の『Lancet』に掲載された、イギリス・ロンドン大学の教授らが書いた論文によると、彼らが、科学的根拠が最も高いとされるメタアナリシス(多くの研究データをまとめて統計解析する手法)で解析を行ったところ、認知症の発症にかかわる12のリスク因子とそれぞれの関係性がわかりました。

  • 認知症の発症リスク因子

この12のリスクのなかで最も大きいリスクは「中年期(45~65歳)の難聴」(8%)です。難聴のほかにも、喫煙(5%)、抑うつ(4%)、高血圧(2%)などのリスク因子があり、これら12のリスク因子を足し合わせると40%にのぼります。

つまり、これらのリスク因子をすべてなくすことができれば、認知症の発症を約4割減らすことができると考えられます。


書籍『認知症になる48の悪い習慣 - ぼけずに楽しく長生きする方法 -』(1,650円/岩瀬利郎著)

  • 『認知症になる48の悪い習慣 - ぼけずに楽しく長生きする方法 -』(1,650円/岩瀬利郎著)

本書では、そのリスクについて詳しく紹介をしている。気になる方はぜひ、手に取ってみてはいかがだろうか。