民放公式テレビ配信サービス・TVer初となるオリジナルドラマ『潜入捜査官 松下洸平』(全5話)が、きょう5日正午に配信をスタートする。数々の作品に出演する俳優・松下洸平は、実は警視庁の潜入捜査官で、とある大物俳優の疑惑解明のために任務として15年前から芸能界に潜入し捜査をしていた……という設定で繰り広げられるサスペンスコメディだ。

劇中では、民放キー5局の人気バラエティ番組に松下が出演する場面が登場し、局の垣根を越えて1つのドラマに参加するというTVerならではの制作方法が採られた今作は、どのように成立し、その特殊な座組ゆえにどんな苦労があったのか。企画・プロデュースを手がけるTVerの小原一隆氏に、舞台裏を聞いた――。

  • 松下洸平

    『潜入捜査官 松下洸平』に主演する松下洸平

■もっと5局を横串しにできる企画を

小原氏は、フジテレビからTVerに出向してきた2021年7月から、在京キー5局がコラボレーションする企画として、各局の番組のオリジナルコンテンツを一斉にラインナップするといった横並び展開などを行ってきたが、「もっと横串しにできるようなことができないかというのを、企画チームで考えていました」と模索してきた。

そんな中、松下の所属事務所とTVerで新しい企画をやろうという話が浮上。そこで昨年9月、5局のドラマ担当と意見交換する機会を作り、「TVerとしてオリジナルドラマを作って、そこに5局のバラエティが協力していくという体制であれば、うまくできるのではないかという光明が見えたんです」と、企画が進みだした。

■『容疑者、ホアキン・フェニックス』がヒントに

リアリティがありながらフィクションであるという“モキュメンタリー”のような今作の構造のヒントになったのは、フジテレビ時代の先輩に教えてもらった映画『容疑者、ホアキン・フェニックス』。『ジョーカー』などに主演する実在の俳優ホアキン・フェニックスが、突然ヒップホップアーティストに転向した姿を追っているが、リアルなのかフィクションなのか分からないまま進んでいくストーリーで、「この建て付けは面白いなと、前から思っていたんです」と頭の中にあった。

同時に、TVerの再生回数を主にドラマが占める中で、バラエティをもっと回していきたいという狙いも。「ドラマの視聴ユーザーに、面白いバラエティがこんなにあるんだということを伝えて、回遊させたいというのが裏テーマとしてあるんです。その思いを、バラエティ番組の方に伝えているので、皆さんが一緒に盛り上げようという気持ちでご参加いただけました」と、志を一つにすることができた。