まん丸なフォルム、ちょっぴりふてぶてしい表情も魅力的で、数々の映画やドラマに出演して人気者となっている俳優猫のベーコン。山本周五郎の小説を宮藤官九郎の企画・監督・脚本によって映像化した青春群像劇『季節のない街』(ディズニープラス「スター」で全10話一挙独占配信)では、池松壮亮扮する主人公の相棒である猫のトラ役を演じ、愛らしい存在感をたっぷりと振りまいている。ベーコンの役者力には、池松も「超優秀でした。僕もたくさんの感情を引き出してもらいました」と感心しきり。名優も太鼓判を押すベーコンの現場の様子を、撮り下ろしショットと共に紹介する。
■『ようこそ、わが家へ』でデビューし、数々の作品で活躍
原作は、黒澤明監督が映画化し、『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されたことでも知られる不朽の名作。本作では、舞台となる“街”を、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失いこの“街”にやってきた主人公の半助が、住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく姿を描く。
半助の相棒で、唯一の家族でもある猫のトラを演じたベーコンは、2015年2月3日生まれのアメリカンショートヘア。所属事務所によると「和風な風貌でどんな場所でも落ち着いて演技ができる」のが特徴だ。相葉雅紀主演のドラマ『ようこそ、わが家へ』(2015年、フジテレビ系)でデビューし、世界的に知られる動物写真家の岩合光昭氏が初めて映画監督に挑んだ『ねことじいちゃん』(2019)では100匹以上のオーディションから主役の座を射止めるなど、“天才猫”として映画やドラマ、CMにと大活躍。ドラマでベーコンと共演経験のある中山美穂も、インスタグラムに「ベーコンくんの出ている映画を何度もリピートしています」とつづるなどメロメロであることを告白している。
■ベーコンは超優秀「一番、言うことを聞いていた(笑)」
『季節のない街』では、飄々と見えながらも、実は心に深い傷を抱えた半助と寝食を共にするトラを演じ切ったベーコン。貫禄すら漂う佇まい、タイミング良く動きそっと半助に寄り添う姿など、あらゆる表情を見せて作品に彩りを加えている。池松は「超優秀ですよ。俳優って、言うことを聞かなかったりしますよね(笑)。ベーコンが一番、言うことを聞いていました(笑)。また、この佇まいが良いんですよ」とインタビューに同席したベーコンを見つめて、にっこり。
トラの擬人化した姿=“擬トラ”役を皆川猿時が演じており、ベーコンと皆川が「ちゃんとシンクロして見える」と目尻を下げた池松。「皆川さんに合わせてベーコンのキャスティングが決まったのか、ベーコンに合わせて皆川さんのキャスティングが決まったのか、気になりますね(笑)」と語りながら、「トラはきちんと意志を持った猫として登場するんです。それを見事に演じきったベーコンはすごかったです。擬人化という設定があるということで、ベーコンにどんどん意志を感じるようになっていきました」と大絶賛。
『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年、NHK)では擬人化した警察犬・オリバー(オダギリジョー)と共演していた池松だけに、「なぜだか、動物の擬人化という相手と共演する機会が多いです。撮影期間は極寒の冬でしたが、皆川さんはお腹を出した格好で、楽しそうに演じていました。半ズボンで寒いと言えなくなってしまいました。犬と猫と、次はどんな擬人化した相手と共演できるのか楽しみです」と語る。