ミュージカル『ラグタイム』の公開稽古が23日に行われ、石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、藤田俊太郎(演出)らが登場した。

  • 左から安蘭けい、石丸幹二

同作は20世紀初頭のニューヨーク、アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代を舞台に、ユダヤ人、黒人、白人とそれぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする姿を描く。1998年にトニー賞ミュージカル部門において13部門にノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門受賞、今回が日本初演となる。石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、遥海、川口竜也、東啓介、土井ケイト、綺咲愛里、舘形比呂一、畠中洋、EXILE NESMITHらが出演する。

演出の藤田は「この作品の深いテーマを追い求めて稽古しています」と話し、まず公開されたのは劇中の幕開きを飾りカンパニー全員で歌う「Ragtime」。石丸が演じるユダヤ人たち、井上が演じる黒人たち、そして安蘭が演じる白人たちが、時代を捉えた音楽・ラグタイムに乗せて、一触即発の気配の中、重層的なハーモニーを繰り広げる。

2曲目は「The Getting' Ready Rag」(井上、遥海、アンサンブル)。気鋭の若き黒人ピアニスト、コールハウス・ウォーカー・Jr.(井上)が、黙って出て行った恋人・サラ(遥海)への想いを歌うところに、同胞たちが次々と集まってくる。情熱的かつ迫力のダンスシーンが繰り広げられる中、コールハウスは仲間たちに励まされ、愛するサラとよりを戻すために生まれ変わろうと努力し、サラに見直してもらうためにも"夢の象徴"でもあるヘンリー・フォードの新車・モデルTを買うことを決意する。稽古の歌い出しでは、井上がセリフを噛んでしまい、周囲のキャストが歓声ではやし立てるなど、和気あいあいとした空気が流れていた。

3曲目は「Wheels Of a Dream」(井上芳雄、遥海)。コールハウスとサラが、2人の間に生まれた息子・リトルコールハウスの輝く未来と幸せを願い、黒人にとっての理想の世界を目指そうと2人が誓う、同作を代表するビッグナンバーのひとつだという。2人の歌声には、そばで見ていた安蘭も思わず涙し、自分の出番を前に目元を拭っていた。

最後は第2幕で歌われる「Our Children」(石丸幹二、安蘭けい)。石丸演じるターテと、安蘭演じるマザーの運命的な出会いから数年が経ち、再会した時のナンバーで、それぞれの子供たちが仲良く遊んでいる様子を通して、ひと時の幸福を感じながら、ターテとマザーが心の深い部分でつながっている姿を見せる。

東京公演は日生劇場にて9月9日〜30日、大阪公演は梅田芸術劇場 メインホールにて10月5日〜8日、愛知公演は愛知芸術劇場 大ホールにて10月14日〜15日。