2023年はウィズコロナの時代に移行し、日本国内でも街中でマスクを外す人も増え、観光地も活気を取り戻しているようだ。自動車の新車販売も半導体をはじめとした部品供給が改善されつつあり、全体の販売台数は前年度を上回っている。

その中でもやはり強いのは資本力のあるトヨタだ。昨年からハイブリッドの「プリウス」やミニバンの「シエンタ」と「ノア/ヴォクシー」、高級車の「クラウン」「アルファード」など、各カテゴリーのモデルを立て続けにフルモデルチェンジして大きなシェアを獲得している。

それではさっそく、自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)が発表した2023年7月の販売台数をもとに、ランキング形式で人気車種の特長を紹介していこう。

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【2023年7月】人気車種販売ランキング

順位 ブランド通称名 ブランド名 販売台数
1 トヨタ ヤリス 18,854
2 トヨタ カローラ 12,792
3 トヨタ シエンタ 12,489
4 トヨタ ノア 9,736
5 トヨタ プリウス 9,206
6 トヨタ ヴォクシー 8,661
7 日産 ノート 8,357
8 日産 セレナ 8,066
9 トヨタ アクア 6,571
10 ホンダ フリード 6,043

※軽自動車および海外ブランド車を除く

1位:トヨタ「ヤリス」

「ヤリス」はトヨタが販売している3ドアの小型ハッチバック。国内では「ヴィッツ」の名で20年間親しまれたが、この世界名称に統一されて早くも3年目になる。トヨタの名に恥じない世界戦略車としてTNGAを導入し、充実した安全性能や世界トップレベルの省燃費とパワーを両立した走行性能、アクティブなデザインなどを含めて高いトータルバランスを誇っている。

ベーシックモデルの「ヤリス」は5ナンバーサイズだが、車体を3ナンバーサイズに拡大したクロスオーバーモデルの「ヤリスクロス」も2020年8月に加えられて大ヒットした。そのほか、トヨタが「カローラ」や「セリカ」で戦ってきた世界ラリー選手権のベースモデルも担い、ノーマルをはるかに上回る200kW(272PS)の1.6Lターボエンジンを搭載した4WDのホットハッチ「GRヤリス」も大きな話題となった。

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2位:トヨタ「カローラ」

  • トヨタ「カローラ」

    トヨタ「カローラ」

小型ハッチバックの主力が「ヤリス」なら、その一つ上のセダンとしてトヨタが展開しているモデルが「カローラ」。55年という長い歴史を持つため、国内ではファミリーカーの代名詞として知られている。海外でもその知名度は高く、2005年には世界累計販売台数が3,000万台で世界一売れたクルマとしてギネス記録に認定された。現在は5,000万台を越え、なおも記録を更新している超ロングセラーだ。

国内の「カローラ」はミニバンやコンパクトカーが人気の時代は衰退したが、2018年に登場した現行の12代目ではTNGAを導入して3ナンバー化し、デザインも若返ったことで再び人気モデルに返り咲いた。セダンを基調とするが、ハッチバックやワゴンのほか、シリーズ初のSUV「カローラクロス」も加えて幅広い層のニーズに応えている。スポーツモデルでは「GR」版も市販され、水素燃料のレースカーも話題となった。

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3位:トヨタ「シエンタ」

  • トヨタ「シエンタ」

    トヨタ「シエンタ」

「ヤリス」や「アクア」と同じTNGA-Bプラットフォームを採用したトヨタの最小ミニバンが「シエンタ」。5ナンバーのボディに3列7人乗りというパッケージは2003年に登場した初代からの特徴だったが、時代のニーズに対応して2022年に登場した3代目では2列5人乗りも全グレードで選択可能になっている。

エンジンも「ヤリス」同様に新設計の3気筒1.5Lとハイブリッドがあり、4WD仕様は「E-Four」という電気式が採用されている。歴代「シエンタ」の自慢だった運転のしやすさとユーティリティ性の高さは継承されているが、デザインはアグレッシブだった2代目からガラリと変わり、欧州車のようなフレンドリーなものになった。

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4位:トヨタ「ノア」

トヨタのミニバンラインナップの中で、小型の「シエンタ」と大型の「アルファード」の中間に位置する中型ミニバンが「ノア」。従来までは5ナンバーサイズだったが、2022年1月に登場した現行の4代目では「プリウス」や「カローラ」と同じTNGA GA-Cプラットフォームを採用して全グレードが3ナンバーサイズとなった。

デザインは3代目同様のコンサバティブなものだが、室内も広くなったことでユーティリティ性能は大きく向上している。また、TNGA採用でボディ剛性も高まり、乗り心地や静粛性もアップした。エンジンは1.8Lハイブリッドのほか、スポーティユーザーには嬉しい10速シーケンシャルシフトマチックを備えた2.0Lもラインアップされている。

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5位:トヨタ「プリウス」

1997年のデビュー以来、国内外でハイブリッドカーの代名詞にもなっているのがトヨタの「プリウス」。2代目・3代目で確立したトライアングル・シルエットのボディデザインは2023年5月に登場した5代目でも継承され、“ハンマーヘッド”と呼ばれるトヨタ最新のフロントマスクを採用して話題となった。

ボディはTNGAプラットフォームも第二世代に進化し、パワートレインも2.0LのPHEVと1.8/2.0のHEVを揃え、4WDにはもちろん電動の「E-Four」も設定。そのほか、ルーフのソーラーパネルによる充電システム(PHEVにオプション)や、大容量バッテリーに蓄えた電力を車内・車外で利用できるなど、電動車オーナーを満足させる機能も充実している。

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歴代人気モデルの「プリウス」と「シエンタ」も絶好調

2019年末から始まったコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、世界的な半導体不足や部品供給の遅れなど、ここ数年の自動車メーカーは非常に苦しい状況にあった。しかし、その中でも体力のあるトヨタは強く、次々に人気車種のフルモデルチェンジを行い、クルマに詳しくないユーザーでもデザインが大きく変わったことが一目で分かる「プリウス」や「シエンタ」は絶好調の売り上げを見せている。

また、一時期は世界的なBEV(Battery Electric Vehicle)化の流れがあったが、ロシアのウクライナ侵攻によってヨーロッパの電力供給状況も一変し、EUが「2035年EV化法案」を撤回するといった動きもあった。世界中の自動車メーカーが次世代パワートレイン開発で混乱する中、BEVのほかにもお得意のハイブリッドや水素エンジンといったカードを持つトヨタにとっては有利になるはずだ。

新車の納期遅れは改善されつつあるものの、まだまだユーザーの希望通りまでには回復しておらず、人気のモデルやグレードによっては半年以上待たされるケースも珍しくない。新車の需要が増えた場合、さらに納期が遅れることも考えられるので、欲しいモデルが決まっているなら早めに手を打っておいた方がよいのではないだろうか。

※ブランド通称名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車を含む
※上位台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含む(例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含む)