「参加させていただきます」は、ビジネスシーンなどでよく使われるフレーズです。誘いを受けた際に、何気なく「参加させていただきます」と答えている人も多いでしょう。しかし二重敬語や過剰表現なのでは、と言われることもあります。

本記事では「参加させていただきます」の詳しい意味や構成、メールの例文を紹介。さらに丁寧な表現や類語、英語もまとめました。

  • 参加させていただきますとは

    「参加させていただきます」の意味や正しい使い方、類語などを解説します

「参加させていただきます」の意味とは

「参加させていただきます」とは、何かに招待してもらったときの返事としてよく使われる言葉で、目上の相手への敬意と、自分が参加できることへの感謝の気持ちが込められています。

「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲語であり、相手の許可を受けて行うという表現です。つまり自分が参加することに対してお伺いを立てる言い回しです。

しかし実際に相手の許可がほしいというよりは、遠慮がちに参加を申し出るという形をとることで、相手を立てる表現として広く浸透しています。

また「させていただく」には、そのことで自分自身が恩恵を受けるという意味合いもあるため、「参加させていただきます」とすることで、参加できることへの喜びや感謝というニュアンスを表現することができるというわけです。

「参加します」との違い

「参加させていただきます」と「参加します」は、ニュアンスが異なります。

「参加させていただきます」は、自分が参加することへの謙遜の気持ちや、参加できることへの感謝の気持ちを含ませており、自分をへりくだらせて相手を立てるイメージです。

それに対し「参加します」は、自分をへりくだらせる意や感謝の意を含みません。

参加することへの決断は相手の許可を受けてというよりも、自分の意思で決めるイメージです。

「参加させていただきます」は二重敬語?

  • 「参加させていただきます」は二重敬語か

二重敬語とは、「お読みになられる」「拝見させていただく」のように、一つの言葉の中で同じ種類の敬語を複数個、使用している状態のことです。過剰な丁寧さは逆に失礼に当たる場合もあるため、二重敬語の使用は基本的にはタブーとされています。

さて「参加させていただきます」を分解すると、

  • 「参加」…「同じ目的を持つ集まりに、一員として加わること」を表す名詞
  • 「させていただく」…「させてもらう」の謙譲語
  • 「ます」…丁寧語として聞き手への敬意を表す

となります。

このように同じ種類の敬語は使われていないため二重敬語ではなく、使用しても問題ありません。

ただし、「させていただく」の使い方には注意が必要です。

文部科学省内に設置されている文化審議会(国語分科会)が定める「敬語の指針」によると、「させていただく」は基本的に、以下の2つの条件を満たしている場面で使用できるとされています。

  1. 相手側または第三者の許可を受けて行うこと
  2. そのことによって、自身が恩恵を受ける事実や気持ちがあること

そのため、参加するかどうかを問われている場面でわざわざ「参加させていただきます」と答えることで、許可を求めることになり、回りくどいと感じる人もいるようです。

むやみやたらに「させていただきます」を使うことは、丁寧過ぎて相手に不快感や違和感を与える場合もあります。気になる場合は、後ほど紹介する言い換え表現の「参加いたします」などを使用するといいでしょう。

「参加させていただきます」の正しい使い方・メールでの例文

  • 「参加させていただきます」の正しい使い方・メールでの例文

フォーマルな場やビジネス上の催し物、目上の人が主催する会食や集まりなどに呼ばれた際に、その返答としてよく使われるフレーズが「参加させていただきます」です。口頭で用いられる他、メールでもよく使われます。

「参加させていただきます」は、基本的には友人同士のカジュアルな場面では使いません。ただし、結婚式のようなフォーマルな場へ招待された場合は、相手が友人や部下であっても使用することがあります。

この章では「参加させていただきます」が使われる主な場面を、例文と併せて紹介します。

面接に関するメールで「参加させていただきます」を使う場合

就職活動や転職活動の際には、会社説明会や面接への参加の可否を問われる場面がつきものです。

「参加します」も敬語ではありますが、「参加させていただきます」の方がより丁寧でかしこまった印象を相手へ与えられるため、よく使用されます。

例文は以下の通りです。

  • 書類選考の結果について、ご連絡いただきありがとうございます。
    それでは9月5日のweb面接に参加させていただきます

目上の人からの誘いに対して「参加させていただきます」を使う場合

目上の方からの誘いに対して返答する際は、前後にも尊敬語や謙譲語を用いた表現を使用するといいでしょう。

例文は以下の通りです。

  • ◇◇会長との食事会にお招きくださりありがとうございます。謹んで参加させていただきます
  • 招待していただき、感謝申し上げます。ぜひ参加させていただきます

結婚式・披露宴の招待メールで「参加させていただきます」を使う場合

結婚式や披露宴に招待されたときに「参加させていただきます」を使うこともあります。

例文は以下の通りです。

  • ご結婚おめでとうございます よろこんで参加させていただきます

ただし、結婚式の場合は「出席させていただきます」の方がより一般的な言い回しです。

なお、結婚式など慶事にまつわる事柄の際は、区切りや終わりを連想させる句読点は使用せずに、空白や改行で代用するのが一般的なマナーです。

「参加させていただきます」のより丁寧な表現

  • 「参加させていただきます」のより丁寧な表現

「参加させていただきます」自体も敬語であり丁寧な表現ですが、より丁寧に、より気持ちを込めて伝えたい場合には、前述の例文にもあるように以下の言葉を冒頭に付け足すことで表現できます。

  • ぜひ…実現したい強い気持ちを表現
  • 謹んで…敬意を表して、うやうやしく物事を行う気持ちを表現
  • よろこんで…気持ち良く、進んで、という気持ちを表現

「参加させていただきます」の類語・言い換え表現

  • 「参加させていただきます」の類義語

ここからは「参加させていただきます」の類語・言い換え表現を紹介します。

参加いたします・出席いたします

「させていただきます」と同様、「いたします」も謙譲表現(「いたす」)と丁寧表現(「ます」)の組み合わせです。「いたす」は「する」の謙譲語です。

ただし「参加させていただきます」「出席させていただきます」は前述のように、相手からの許可があることを前提として使われるフレーズです。

「参加いたします」「出席いたします」は、相手の意図とは無関係です。自分が何をするのかを丁寧に、かしこまって伝える場合に用います。

参上します

「参上」とは、「目上の方のところへ行く」という意味や、「人のところへ行く」ということをへりくだって表す言葉です。

なお「参上させていただきます」は、謙譲語が重なるため二重敬語です。使用は控えた方がいいでしょう。

伺います・お伺いします

「伺う」は、「訪問する」「尋ねる(たずねる)」などの謙譲語です。

何かに誘われた際に「伺います」「お伺いします」と伝えることで、参加の意思を表明できます。

「伺います」「お伺いします」だけではそっけなさを感じる場合は、「ぜひ伺います」「よろこんでお伺いします」など、一言付け加えるといいでしょう。

なお「伺う」は既に謙譲語のため、厳密には「お伺いします」は二重敬語です。ただ、「お伺いします」は慣習的に広く使われているため、使用しても問題ないといわれています。

「参加させていただきます」の英語表現

  • 「参加させていただきます」の英語表現

「参加する」は、英語では「attend」「take part in」「participate in」などを用いて表現できます。

「attend」は、会議などに「ただ出席する」「その場にいる」というニュアンスが強いでしょう。

一方、ただ参加するだけでなく「積極的に関わる」「役割を担う」といった場合は「take part in」や「participate in」が適しています。「take part in」よりも「participate in」の方がフォーマルな表現です。

さらに下記の例文のように、感謝やうれしさの気持ちを表すフレーズを付け加えて、参加表明するといいでしょう。

  • I would be happy to attend the party.
    (よろこんでパーティーに参加させていただきます)

  • I would gladly participate in the project.
    (ぜひそのプロジェクトに参加させていただきます)

なおカジュアルな場では「join」も「参加する」という意味で使用できます。

「参加させていただきます」をビジネスやフォーマルな場で正しく使おう

「参加させていただきます」は、ビジネスやフォーマルな場で使うことの多いフレーズです。相手に失礼にならぬよう、改めて自分の言葉遣いを見直してみましょう。

目上の人からのお誘いや、結婚式への招待に対する返答の際などに、この記事をぜひお役立てください。