■普通の幸せは「たくさんの感情を味わえること」

――今作は“普通の幸せ”がテーマの1つになっていますが、深川さんにとって“普通の幸せ”とは何ですか。

うーん……難しいですが、「ただ生きていること」ですかね(笑)。物事って、自分で良し悪しを決めることが多いじゃないですか。同じことが起こっても、それをチャンスだと思う人もいれば、不幸だと思う人もいる。結局、自分次第だと思うんです。だから、生きているといろいろなことがありますが、たくさんの感情を味わえることそのものが幸せといえるのかなと。

――つらいと思う出来事も、捉え方ひとつで変わるということですね。

「そんなふうに思えないよ!」というときもあると思うのですが、悩みから抜け出せたとき「どうしてあんなことで悩んでいたんだろう」と感じることもありますし、マイナスに考えて過ごしてしまうのはもったいない気がするんです。たとえばもし何か失敗したとしても、せっかく失敗したんだから、次に繋がるチャンスだとプラスに捉えたほうがお得だし楽しいんじゃないかなって。

――深川さんは、以前からポジティブに捉えられる性格なんでしょうか。

落ち込むときはすごく落ち込むのですが、考えても何も変わらないことでクヨクヨ悩んでしまうのは時間がもったいないと思うようになってから、切り替えるのが得意になったかもしれません。

■7年ぶりにファンと交流「夢を叶えている方が多かった」

――素敵な考えですね。続けて近況についてお伺いしたいのですが、今作が放送される7月から今年も下半期に差し掛かるということで。

早い……、こわーい!(笑)

――怖いですよね(笑)。上半期はドラマ『ギバーテイカー』(WOWOW)、『特捜9』(テレビ朝日)をはじめさまざまなお仕事をされていましたが、充実していましたか。

今までに出会ったことのない役柄に出会えたり、過去にご一緒した方と再会する機会があったり、めちゃくちゃ充実していました。だからこそ、もう1年の半分が終わっちゃったんだと怯えています。信じられないです。

――今年のはじめには写真集のお渡し会をされていて、インスタグラムにはファンの方との交流について「何度か泣きそうになったのを必死でこらえていたら、マネージャーさんも泣きそうになってました。笑」と書かれていました。振り返っていかがですか。

乃木坂46を卒業してからも、ファンの皆さんは舞台や舞台挨拶にいつも来てくださっていたのですが、近い距離でお話しするのは7年ぶりくらいでした。お手紙をいただいて、皆さんの近況を私が一方的に知ることはできても、会話ができる機会はなくて。久しぶりにお会いしたら、7年前に生まれたお子さんが大きくなっていたり、中学生だった子が大人になっていたりして成長を感じました。ほかにも、「消防士になりたいから応援してください」と言ってくれていた男の子が実際になっていたり、「今ワインのお店をやっています」と教えてくれたり、夢を叶えている方がすごく多かったです。10年以上の付き合いになるファンの方もいるので、皆さんの人生の続きを見ているような感覚でした。

――ファンの皆さんの人生がどうなっているか、気になりますか。

そうですね。近況を教えてもらえるとうれしい気持ちになります。感極まって泣いてくださる方も多くて、私ももらい泣きしそうになりました。皆さんの口から直接「この映画が好きで」とか、「このドラマで知りました」という作品の感想も聞くことができて。

――この7年でファンになった方もたくさんいらっしゃいますよね。

そうなんです。皆さんと交流できて、本当にうれしい時間でした。

――夢を叶えた方も多いということで、もしかして「深川さんのファンになったら、夢が叶う」というジンクスがあるんでしょうか。

えっ! そんなご利益、ありますかね(笑)。でも、あったらうれしいです。「またイベントをやってほしい」というお声をいただいたので、またいつか楽しいことができたらいいなと思っています。

■第3話でこれまでの伏線の答え合わせを

――では最後に、3日に放送される第3話の見どころを教えてください。夫・智明(毎熊克哉)の浮気の証拠を押さえようと動き始めた由香里が、繭美と接触するという展開で第2話は幕を閉じましたが……。

ここから、物語が一気に加速していきます。事件が起こるまでの過程を回想する形で進行していきますが、第3話から「どうしてこんなことになってしまったのか」という謎がどんどん紐解かれていくので、第1話・第2話の伏線の答え合わせをしながら楽しんでほしいです。第3話もまさかの展開になっているので、見逃さないでほしいです!

■深川麻衣
1991年3月29日生まれ、静岡県出身。2011年から乃木坂46の1期生として活動し、2016年に卒業後は女優として活動。2018年『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演にして初主演を果たし、第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞した。主な出演ドラマにNHK連続テレビ小説『まんぷく』(18年)、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、『婚姻届に判を捺しただけですが』(21年)、『封刃師』、『ダメな男じゃダメですか?』、『サワコ 〜それは、果てなき復讐』、『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(22年)、出演映画に『愛がなんだ』(19年)、『おもいで写眞』、『僕と彼女とラリーと』、『ただの夏の日の話』(21年)、『今はちょっと、ついてないだけ』、『ハウ』(22年)など。2023年はドラマ『ギバーテイカー』、『特捜9 season6』に出演、写真集『Free Mind』(幻冬舎)を発売した。公開待機作に主演映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(11月3日公開予定)がある。