東京商工リサーチは6月20日、「人手不足」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は6月1日~8日、全国の大企業(資本金1億円以上)、および中小企業(資本金1億円未満)を対象にインターネットで行われ、有効回答6,071社を集計、分析した。

  • コロナ禍(概ね2020年2月以降)で、人員削減を実施しましたか?

    コロナ禍(概ね2020年2月以降)で、人員削減を実施しましたか?

「希望退職」「退職勧奨」「整理解雇」「補充採用の停止」の4項目の実施を聞いたところ、全体の約1割(599社、構成比9.8%)の企業で、いずれか1つを実施していることが明らかに。特に「補充採用の停止」が311社と多く、次いで「退職勧奨」(106社)、「整理解雇」(96社)、「希望退職者の募集」(86社)の順。

業種別では、観光業や冠婚葬祭業などに代表される「その他の生活関連サービス業」(構成比45.1%)が最も多く、次いで、コロナ禍による外出自粛等で需要が縮小した「アパレル小売」(同40.0%)、「印刷・同関連業」(同33.7%)が続いた。

  • 現在の人員の充足度は?

    現在の人員の充足度は?

コロナ禍で人員削減を行った企業(507社)に対し、現在の自社の人員の充足感を聞いたところ、312社(構成比61.5%)で「人手不足感がある」と回答。「人手過剰感がある」と答えたのはわずか1割(同11.4%)だった。

「人手不足」の業種別では、「飲食店」が構成比100%でトップ。次いで「総合工事業」(同85.7%)、「設備工事業」(同78.5%)と続き、上位10業種のうち3業種が建設関連という結果に。建設関連は、コロナ禍当初、店舗や商業施設を中心に工期延期や工事の中止などにより人員削減を余儀なくされたが、経済活動の再開に伴い、人手不足感は高まっている。そのほか、「その他の生活関連サービス業」(同76.9%)では、旅行会社や 結婚式場運営会社を中心に需要が回復し、人手不足を訴える企業が相次いでいる。