最近は街中でe-Bikeを見かける機会もかなり増えた。都市部では特に見ない日がないというほど浸透している。速いし、楽だし、何よりカッコいい。ちょっと値が張る点を除けば、まさに良いこと尽くしである。
そんなe-Bike、その活動フィールドは街だけに限らない。本格的なマウンテンバイクタイプのe-Bikeは、山中でのライドを楽しむアクティビティでも活用されているという。
今回、ヤマハ発動機主催の試乗会に参加し、同社のe-Bike「YPJ-MT Pro」でオフロードを走ってみたところ、これがもう楽しいのなんの。「こんなワクワクするアクティビティがあったんかーい!」と大ハシャギしてしまったので、さっそくその魅力をレポートしたい。
“世界初”の電動アシスト自転車を開発したヤマハの最新事情
その前に、まずは電動アシスト自転車の歴史をおさらいしよう。電動自転車の歴史は意外に長く、ヤマハが“世界初”となる電動アシスト自転車「PAS」を発売したのは今からちょうど30年前まで遡る。
1993年当初、「PAS」は主にシニアユーザーがメインだったが、電動アシスト自転車のラインナップが増えていくにつれて徐々にカスタマー層も広がり、2000年以降は通勤や通学、そして近年はレジャーにまで用途が拡大した。
昨今のe-Bikeブームは2010年頃から欧米諸国を中心に始まったが、日本では2018年が「e-Bike元年」とされており、その頃に各メーカーが相次いでe-Bikeを発売。一気にモデルも充実した。
国内のブームを率いたのはやはりヤマハで、2015年にはロードバイクタイプの「YPJ-R」、2016年にはクロスバイクタイプの「YPJ-C」、2018年には最大200km以上のアシスト走行が可能な「YPJ-XC」などを新たに発売した。
そして2020年には、フラッグシップモデルであるフルサスペンション搭載のマウンテンバイクタイプ「YPJ-MT Pro」を発売。「楽しくて刺激的な非日常体験」をコンセプトに、乗りこなす楽しみ、マウンテンバイク特化のアシスト性能、ユニークデザインにこだわったオフロードタイプのスポーツ電動アシスト自転車として人気を得ている。
フラッグシップモデル「YPJ-MT Pro」実際に乗ってみた!
今回は東京都稲城市「スマイルバイクパーク」で、実際に「YPJ-MT Pro」の2023年モデルに試乗してみた。最新モデルの最大のウリは新ドライブユニット「PW-X3」で、先代のドライブユニットと比較して約10%の軽量化、約20%のコンパクト化を果たしながら、さらなる高トルク化を実現したという。
今回の走行ルートは、素人的にはなかなか立派な山道で、普通に歩くにはしんどい登山道といった雰囲気。急な登り坂や下り坂もあるので、普通の自転車ではまず走ろうとは思えない、立派なオフロードである。
しかし……
実際に「YPJ-MT Pro」に乗ってみるとあまりの快適さにビックリ! 地面には石も草もたくさんあるし、当然ガタガタするものだろうと思いきや、走り心地は“超”がつくほどスムーズ。ほとんど振動を感じないと言ってもいいほど滑らかである。
いくらフルサスペンションとは言え、こんなに安定感があるとは……。e-Bikeの性能うんぬん以前の話として、そもそもマウンテンバイクとして非常に優れているのだろうということが素人でもわかる。
そして何より坂道でのパワーがすごい! 激坂でもスイスイと登ってくれるし、ギアの調整さえ間違えなければ、力もそこまでかけずにグイ〜ッ!と一気に走り切ってくれる。この力強い馬力は自転車というよりバイクのそれに近いのではないだろうか。
有り体に言って、超楽しい。世の中にこんな楽しいアクティビティがあったとは……。きっと、電動のパワーがなければかなり苦しい場面もあるだろうが、これなら登坂の厳しさや苦しさとはほとんど無縁なので、ひたすら「楽しい」という感覚のみが残る。
他にも、フロントサスペンションが付いたマウンテンバイクタイプの「YPJ-XC Final Edition」やグラベルロードタイプの「WABASH RT」にも試乗。
「YPJ-XC Final Edition」は後輪にサスペンションが付いていない分、オフロードを走る振動が「YPJ-MT Pro」よりもダイレクトに感じられたが、そのぶん、慣れればよりダイナミックな操作もできそうだ。
「WABASH RT」はマウンテンバイクタイプの2車種に比べて圧倒的に軽い乗り心地で、スピード感もあって、都市部などでも大いに活躍してくれそうな予感。都市は意外に段差のある道も多いが、軽さとタフさを兼ね備えた「WABASH RT」ならスムーズに走ってくれることだろう。
「PAS」発売30周年記念モデル「YPJ-MT Pro 30th ANNIVERSARY」登場!
さらに、この日は「YPJ-MT Pro 30th ANNIVERSARY」も初お披露目された。電動アシスト自転車「PAS」の発売30周年を記念したアニバーサリーモデルで、30台限定で販売される。
車体のベースは今回試乗した「YPJ-MT Pro」だが、ハイポリッシュシルバーのフレームにアクセントとしてブルーが散りばめられた限定カラーで、その印象はアドベンチャーバイクさながらにスポーティ。30周年を記念したエンブレムやロゴなどがさらなる特別感を演出する。
「YPJ-MT Pro 30th ANNIVERSARY」は抽選販売で、応募期間は6月1日から6月30日まで。当選者は7月31日に購入することができるそうだ。
決して安い買い物ではないが、e-Bikeデビューを考えている人はこの記念すべきアニバーサリーモデルを最初の一台に選ぶのもいいだろう。
これから迎える本格的なレジャーシーズン、ぜひ機会があればヤマハのe-Bikeをオフロードで試してみてほしい。新たなアクティビティの楽しさに、きっと夢中になるはずだ。