カッターズブランド「エクセルコ ダイヤモンド」は工程を厳密に管理することで、どんな原石がどうカッティングされ輝きを宿していくのかを確認できる世界初のシステム「ダイヤモンドジャーニー」を導入している。ここでは、ダイヤモンドジャーニーに刻まれるダイヤモンドの軌跡を前編・後編に分けて紹介。
前編は同ブランドの代表兼マスターカッターであるジャン・ポール・トルコウスキー氏をナビゲーターに迎え、旅の幕開けとも言える"ダイヤモンドの誕生"について触れてきた。
後編では同氏の案内のもとエクセルコ ダイヤモンドの工場「H&Aカッティングワークス」の深層部に潜入。原石がより存在感のある光を放つために重要な「カット・研磨」の工程について迫っていく。
■最新鋭の技術×職人技が"輝き"を創出
ダイヤモンドの品質は「Carat(重さ)・Color(色)・Crality(内包物の数と位置)」という、原石そのものの状態を表す3つの指標に加え、職人の技術で輝きが決まる「Cut(カット)」の4要素によって評価がされる。
ジャン・ポール氏は、「カットは人間が唯一手を加えられるもの」と説明し、続けて、カッターズブランドであるエクセルコ ダイヤモンドならではのカットについて教えてくれた。
「カットは、3次元の全体として考えることが重要です。例えば、エクセルコのラウンド ブリリアント カットでは、クラウン(上部)とパビリオン(下部)に57個のファセット(研磨面)がありこれらはすべて互いに関連しています。これは、精密な対称性と配置、正確な角度、バランスの取れたプロポーションによって達成されます。そのため、わずかなミスもダイヤモンドの光の性能と美しさに影響するため、失敗は許されないのです」。
さらに、カット・研磨工程について「アイディアル カットのダイヤモンドは、一般的なものに比べて約4倍の36工程と33もの検査項目でチェックが実施されます。これはアイディアル カットのパラメーターを達成するために必要な正確さと、厳格な基準を満たすために必要な品質管理があるからです。そのため、カット・研磨には36もの製造工程・33もの品質管理項目があるのです」と力をこめる。
今回は、その工程の中の一部を紹介してくれた。
はじまりは、厳選された原石を1石ずつ紙に包むことからスタートする。この包み紙には、ダイヤモンドの原石がどんな形だったのか、いつ誰がどうカッティングしたのかを記録していく。そう、これがダイヤモンドジャーニーの原点である。
続いて、紙に包まれた原石は、「プランニングルーム」というダイヤモンドの将来を決める場所に運ばれていく。ここは、最新鋭のシステムと職人による長年の経験をもとに、原石をどうカットするべきかの設計図を描いている。ちなみに設計図が誤っていると作業の遅延や品質にダメージをおよぼすことも。経験とデータに基づいた正確な判断が要求される難易度の高いセクションだと、ジャン・ポール氏は話す。
次にプランニングルームで作られた設計図に沿って、原石を2分割。その後、ダイヤモンドの外周を丸く研磨していく「ブルーティング」という作業が行われる。一見単純な作業に聞こえるが、実はダイヤモンドの基礎を作る上で非常に重要な工程。ブルーティングセクションで研磨をしすぎたり、しなさすぎたりてしまうと最終的な仕上がりが大きく変わってしまうのだとか。
ブルーティング作業を終えたダイヤモンドは、研磨をするため、石の大きさや形にあわせて専用の工具に取り付けられる。セッティングするだけと思いきや、これまた重要な工程だとか。
石をツールに正確に取り付けられないと、のちの研磨工程がうまくいかなくなってしまう。そのため正確に設置できているかを拡大鏡を使って、入念にチェックしていた。
続いては、最新鋭の機器を使い自動で研磨を行い、ダイヤモンドの基礎となる面を作っていく。
基礎となる面ができあがると、今度はセクションごとに各面を手作業で研磨をし、最終的な形をつくり上げていく。通常、小さな工場だと一つのダイヤモンドを一人で研磨することがほとんどだと言うが、同ブランドでは1人ひとりが特定の面を専門に行っている。
また、研磨など工程を終えるごとに、クオリティーコントロールルームという場所で、顕微鏡を使い目視で確認をしたあと、さらに測定器を使って品質をチェックしている。300人を超えるスタッフの熟練した技術、最新鋭の機械、徹底したクオリティーコントロールは、「失敗は許されない」というジャン・ポール氏の言葉をまさに体現したものだった。
見学自体は数時間であったが、実際は1石をカット・研磨するにはなんと40~45日の期間が必要だとか。卓越した輝きは、各スペシャリストの技術と情熱、そして長期間に渡る緻密な作業があってこそだったのか……。
こうしてカット・研磨工程が終わったダイヤモンドは、どんな輝き・グレードに仕上がったのかを工場内で鑑定。その後、各鑑定機関へと運ばれ、一定の基準を満たした最上のダイヤモンドがお客さまのもとへと届けられる。
実際に、研磨前とあとを見比べるとその違いは一目瞭然! 煌めきを宿したダイヤモンドの美しさに筆者も心奪われるほどだった。
■研磨体験にトキメク!?
そして今回は、なんと特別に「研磨」を体験させてもらえることに!
機械にセットしたダイヤモンドを、高速で回転する盤面に押し当て研磨。どれぐらい削れたかを確認し、また研磨、確認し、研磨……と言ったようにひたすら微調整を繰り返していく。
実際やってはみるものの、そもそも削れているのか、どれくらい削れたのかを理解することから難しい……。「職人ってすごい」と改めて気付かされる。
手取り足取り丁寧に教えてもらいながらようやく研磨を終え、ルーペでのぞいてみると、研いだ部分がキラキラしている! おぉ、これが輝きを生み出すということか。初めての経験に、今までに感じたことのない胸の高鳴りを覚えた。
そんなカッティングにおいて卓越した技術を持つエクセルコ ダイヤモンド。ジャン・ポール氏にカットによって輝きを放つダイヤモンドの魅力を尋ねてみた。
「ダイヤモンドは、原石自体が独特の美しい輝きを持っています。ですが、研磨されることでそれぞれのダイヤモンドはより輝きを増し、私はその個性あふれる煌めきに出会うことで非常に感情が高ぶります。慎重に検討されたファセット(研磨面)が追加されるたびに、ダイヤモンドから光と美しさが放たれ、最も完璧な形を実現するのです」。
■新たな旅がはじまる
数億年前にはじまったダイヤモンドの旅路。美しい輝きを宿し、誰かの手に渡った時、その長い旅路はようやく終わりを迎える……と思っていたら、どうやらそれは違うらしい。
「ダイヤモンドは過去と未来を映し出す鏡であり、窓でもあるのです。私はダイヤモンドの贈り物に多様性があること、そして私たちのダイヤモンドの一つひとつが贈られた方とともに新しい旅をはじめることをとても嬉しく思っています」と、ジャン・ポール氏はほほ笑む。
そう、ダイヤモンドが誰かのもとにある限り、その旅路は続いていくのだ。
取材協力: EXELCO DIAMOND (エクセルコ ダイヤモンド)