創業80周年を迎える八芳園では"交流文化創造をリードする総合プロデュース企業"を目指し、変革のときを迎えている。結婚式事業をはじめイベントプロデュース、コンテンツプロデュース、フードビジネス、空間デザイン、料亭・レストラン、DX推進ビジネスといったこれまでに培った多彩なノウハウを活かし、同社はアフターコロナを見据えた地方観光プロデュースに注力していく方針だ。

  • 八芳園にて関係者を招いた発表会が開催。"総合プロデュース企業"に変革する同社の今後のビジョンが示された

八芳園 取締役社長の井上義則氏は活動スローガン『交流文化ルネッサンス、はじまる』を掲げ、「地域の皆さんとともに新しい市場を創っていきたい。次世代に誇れる日本文化を継承しながら、創造的に活動していきます」とアピールする。

■交流文化創造をリードする

都内で4月24日に開催された発表会にて、井上社長は「地方に行くと『この家業は俺の代で終わりだ』あるいは『この地域には観光資源が何もない』などと落胆した声を聞きます。けれど、関わる人が変わることで魅力が再発見され、土地の文化が継承されることもある。地方には、そんな可能性がまだまだ眠っているんです」と説明する。

そこで八芳園では観光産業に参入し、人々が日本的価値観・美意識に触れあい(交流)学び(文化)遊ぶ(創造)機会をつくることで、未来にバトンをつなげていくと宣言する。

  • 八芳園 取締役社長の井上義則氏

井上社長は2025年をターゲットイヤーに定め、交流文化創造の市場を創出すると意気込む。起点となる今年(2023年)はコーポレートロゴマークを一新した。

  • コーポレートロゴマークを一新。コンセプトは「新たな道が開く」

「市場創出のため、自治体とも密に連携していきたい。いま自治体では『関係人口の創出・拡大』を目標に掲げています。アクティビティ、レストラン、買い物、レジャー、観光名所に行く、これら『交流人口』の増加は従来の観光事業が手がけてきたことですね。しかし『関係人口』とは、その地域に通う、会いに行く、土地のルーツを深掘りしたい、学びたい、そんな人たちを増やしたいということです」(井上社長)。そこで八芳園では自治体と連携し、交流人口 / 関係人口を増やす取り組みをプロデュースしていく。

  • 地域に深く関わる領域までプロデュースする

そして2025年3月から8月末までの約半年、八芳園を休館させることも発表した。同期間はウェディング事業も停止する。本館および周辺施設を"交流文化創造空間"に全面改装していく考えだ。「美術館のようなエッセンス、劇場のような演出も盛り込みたい。食の多様さ、自然や文化も巻き込んだ、新たな交流の場にしていく」と井上社長。そこで交流する人々が、何らかのインスピレーションを得られるようなスペースを目指す、と続けた。

  • 八芳園は交流文化創造空間にリニューアル。2025年10月にオープンする

このあと八芳園 執行役員の窪田理恵子氏が登壇。「この2年間、毎日のように自治体と顔を合わせて100以上の取り組みを進めてきました。私たちの事業は、すべて人と人との交流からはじまる、そんなことを改めて感じます」と語り始める。

  • 全国の自治体、教育機関などとパートナーシップ協定が締結されている

「コロナ禍を経て、少しずつ海外からの観光客も戻りつつあります。再びオーバーツーリズムに陥る懸念がある中、いま"観光の磨き上げ"が必要ではないか、そんなことも言われるようになりました。日本全国に魅力的な観光地がある、それを観光客にきちんと伝えていく、そのためにも地方の観光を磨き上げていく。これを続けることで、自治体も元気になるでしょう」と窪田氏。

  • 全国の事例

そして、福島県鏡石町にて実施した田んぼアート×フォトウェディングの取り組み、栃木県那須塩原市における旧青木家那須別邸を利用したツアー、徳島県松茂町のマツシゲートのリブランディングなど、全国のユニークな事例を次々に紹介していった。

  • 八芳園 執行役員の窪田理恵子氏(左)と同 執行役員 統括支配人の関本敬祐氏(右)

最後に八芳園 執行役員 統括支配人の関本敬祐氏が登壇。総合プロデュース企業 八芳園の今後の事業内容を紹介するとともに、同社だからこそ実現できる"ワンストッププロデュース"について説明した。

  • 最後に八芳園 執行役員 統括支配人の関本敬祐氏が登壇。総合プロデュース企業 八芳園の今後の事業内容を紹介するとともに、同社だからこそ実現できる"ワンストッププロデュース"について説明した

「まずは、お客様にヒアリングするところから始まり(コミュニケーション)、立案し(コンセプト)、コーディネートし、といった工程を経て、最終的にお客様の課題を解決します(ストーリーテリング)。このすべてを八芳園がプロデュースします」と関本氏。

一気通貫で進められるため、より親身で満足度の高いサービスが提供できる、と強調する。なおワンストッププロデュースの実現にあたっては"希少価値"をキーワードにし、来客に驚きと満足感を与えていきたい、と説明していた。

  • 8つのプロデュース手法

  • 発表会場では、阿波踊り×サルサの異文化交流を披露。また、和の食材を使った創作料理がふるまわれた