女優の小芝風花が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『波よ聞いてくれ』(毎週金曜23:15~※一部地域除く)がきょう21日にスタートする。国内外で熱狂的な支持を集めた大ヒット作『無限の住人』で知られる沙村広明氏の同名コミックを実写化する同作。小芝演じる鼓田ミナレが彼氏にフラれた上に金を騙し取られ、やけ酒を飲んで見ず知らずの男に愚痴をさく裂させたことをきっかけに深夜のラジオで冠番組を持つことになり、やがてラジオパーソナリティーとして開花していく姿を描く。

今回は小芝に、作品の見どころや人生初の自毛金髪で挑んだ役作り、共演者の印象についてインタビュー。後輩の相談を受ける立場となった小芝から、この春新生活を迎える読者へのエールも送ってもらった。

  • 女優の小芝風花 撮影:宮田浩史

    女優の小芝風花 撮影:宮田浩史

■学生時代は人前に出るのが苦手だった

――今作の主人公“超絶やさぐれ女”の鼓田ミナレを演じた感想、作品の印象を教えてください。

一言で言うと“カオスな作品”です。展開が全く読めないところは、視聴者の方にも楽しんでいただけると思います。原作を読んだとき、あまりにも自分とかけ離れていてどう演じようかと悩みましたが、自分とは違うからこそ、まわりの目を気にせず言いたいことを口にできるミナレの自由な姿は羨ましく感じました。SNSの普及もあって、周囲の反応を伺ったり、失敗を恐れる方は私を含め多いと思うのですが、ミナレを見ると「少しくらいやりたいことをやりたいようにやってもいいんじゃないか」と思えます。とはいえミナレがそんなふうにいろいろ考えて発言しているわけではないので、いい加減さや雑さも大切に役を作っていきました。

――小芝さんはミナレのように主張が激しいタイプではないですか。

人前に出るのは得意な方ではなかったですし、学校でも前に出て発表をする機会が大嫌いでした(笑)。先生と目を合わせないように毎日過ごしていたので、今人前に出るお仕事をしているという意味では、芸能界に入って180度変わりました。

■人生初! 地毛を金髪に「ちょっと傷んだなと(笑)」

――ミナレを演じるにあたり、人生初の地毛を金髪にするというイメチェンぶりが話題となっていますが、ご自身では慣れましたか。

かなり慣れましたし、結構気に入っています。黒髪では似合わなかった服やこれまでより強めの衣装が似合うようになって、ファッション系の撮影も楽しいです! ミナレの服には露出度の高いものもありますが、かっこよくてかわいいオシャレな服が多いので、それもひっくるめて金髪を楽しんでいます。困ったことは……やっぱりちょっと、傷んだなと(笑)。ケアをちゃんとしないと大変なことになります。

――ミナレと自分がかけ離れていると仰っていましたが、そのギャップをどう埋めましたか。

原作とアニメを参考にミナレを作っていきました。最初は全然しっくり来なくてどうしようと頭を抱えていたのですが、金髪になって、ミナレらしくお酒を飲みながら台本を読んでいくうち、少しずつ「こんな感じかな」と思えるようになりました。今作では共演者の皆さんの声がすっごく素敵なんです。本読みで皆さんの声を聞いてお芝居を見たことで私もミナレのスイッチが入りました。

■10代の頃共演した片寄涼太に「安心感」

――共演者の方の印象を教えてください。

皆さん個性的で楽しい方ばかりです。北村(一輝)さんはテストから本番の間にも次から次へと「こうしたらどうだろう」と提案してくれるアイデアマン。麻藤兼嗣チーフディレクター(北村一輝)に「ミナレの声をおもちゃにして遊びたい」という思いがあるように、演じる北村さんにも大人な面と、「こんなことしたら楽しいじゃん」という遊び心があって素敵です! 原(菜乃華)さんはそんな北村さんを諌めたりしていて、10代なのにすごくしっかりしています。

片寄(涼太)さんは、10代の頃に共演したことがあるので安心感があって、一緒のシーンではリラックスして臨んでいます。優しくて柔らかい雰囲気を持っているところは10代の頃と全く変わりません。

■後輩からの相談に「頼ってくれるなら応えたい」

――ラジオの中にはリスナーからいろいろな悩みが寄せられる番組もありますが、事務所でも先輩のポジションになりつつある小芝さんのもとへは、後輩からどんな悩みが寄せられますか。

詳しくは個人情報なのでお話しできませんが、「どうすれば“泣くお芝居”を上手にできますか」と聞かれたときは、「分かる、それ悩むよね」と共感しました。私もドラマデビューさせていただいた作品で、先輩の武井咲さんに同じことを質問したんです。そのとき「涙が流れているかどうかよりも、感情が伝わるほうが大事だから、役の気持ちを優先して演じたらいいんじゃないかな」と仰ってくださって。今でもその言葉をよく思い出しているので、私も聞いてくれた後輩にはそう伝えています。

――小芝さんがそういった相談に長文で返事をしていると伺ったこともあるのですが、忙しい中相談に乗るのは大変ではないですか。

それは全然! LINEを返すくらい大した時間ではないですし。私は先輩たちとの交流があまりなくて、悩んでいるときに相談できる人がいなかったので、頼ってくれるなら応えたいと思っています。

■新しい環境に飛び込む読者へのメッセージ

――このドラマが始まる春には、新しい場所に飛び込む方、そしてそんな環境の変化に不安を感じている方もいると思うのですが、小芝さんからアドバイスを送るなら。

まずは「分かる! 不安だよね~!」と言いたいです(笑)。私も不安を感じるタイプなのですが、環境が変わらないと新しい人にも出会えないから、ワクワクもするタイプで。特に私のお仕事は作品が変わるごとに環境が新しくなることでお友達ができたり、悩みを聞いてくれる人と出会えたりと、新しい場所に飛び込むたびに輪がどんどん広がっていくので……だから「大丈夫だよ、なんとかなる! きっと不安は最初だけで、楽しくなっていくから!」とエールを送りたいです。

――ありがとうございます! 最後に、作品の見どころを教えてください。

テレビとラジオの組み合わせという新感覚の作品です。内容はカオスで(笑)、「そんな展開になるんだ!」と毎話毎話驚かせることのできるドラマになっていると思うので、楽しんでいただけるとうれしいです。

■小芝風花
1997年生まれ。大阪府出身。11年「ガールズオーディション2011」でグランプリを獲得し、12年にドラマ『息もできない夏』(フジテレビ)で女優デビュー。初主演映画『魔女の宅急便』(14年)での演技が評価され、第57回ブルーリボン賞・新人賞を受賞した。近年は、『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日)、『彼女はキレイだった』(カンテレ)、『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ)などのドラマ、『妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』、『貞子DX』などの映画に出演。2023年は、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)の「ゴチになります!」メンバーに選ばれ、3月に主演ドラマ『天使の耳~交通警察の夜』(NHK BS4K)が放送された。主演映画『レディ加賀』の公開が控えている。
■メイク:竹下あゆみ、スタイリスト:成田佳代 ■衣装クレジット:ete 、Jouete