女優の大島優子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、4月9日・16日の2週にわたって放送される『ボクらの丁稚物語2023』。令和の時代に“丁稚奉公”で職人を目指す家具製作会社・秋山木工に飛び込んだ若者たちを追ったシリーズの最新作となる。

昨年2月に続き同シリーズのナレーションを担当した大島は、母になり「涙もろくなった」「感じるものが確実に変わっている」と変化を語った。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

■今の時代を「修業や練習を皆好まない」と分析

秋山木工へ一流の職人を目指して入社した新人たちは、住み込みで修業する、いわゆる“丁稚奉公”。酒もタバコも恋愛も禁止、スマホは私用で使えず、家族への連絡は手紙だけ、さらに修業期間は、男性も女性も丸刈りとなるのが決まりだ。2017年入社組の2人をメインで追う前編のタイトルは「~泣き虫同期の6年~」。本来ならば5年の丁稚修業期間を終え、“職人”に昇格しているはずの2人だが、79歳の秋山利輝社長から「技術も人間性も足りない」と“待った”を掛けられていた――。

1年ぶりに2人の姿を見た大島は、「少しずつだけど成長を感じました」としみじみ。「1つのことを続けるって一番大変なことだと思うんですよね。情報があふれる社会の中で、携帯も持たず、世界も広げず、集中して1つのことだけをやり続けるような環境ってこの場所だけじゃないかな」と環境の特殊さを振り返り「“職人”という日本の文化がここで守られている」と伝統が受け継がれていることへ感銘を受けたよう。

  • 先輩から指導を受ける丁稚 (C)フジテレビ

しかし10年前までは10人を超えていた職人希望者も、昨年はゼロ。前年に入った新人2人も1年も持たずに辞めてしまう。従来の育成方法が今は通用しないことを肌で感じた社長は、改革を決意することに。「時代の流れを受けてのことですよね。79歳で変化を起こそうと考えられる秋山社長はすごいなと思いました」と社長の決断に敬意を表した大島。「変化することはすごく難しいことだから、秋山木工のこの先がもっと気になります」と続編を熱望し、さらに「2017年入社組の2人が社長のことを本当のところはどう思っているのか気になるので、ぜひ聞いて欲しいです」とリクエストも。志願者が減る現状には「心が痛むのですが、修業や練習ということ自体を、皆好まなくなってきていますよね。簡単に手に入る便利なものがどんどん進化してきているから、今の時代にこのスタイルは難しいのかもしれない」と分析した。

紆余曲折ありながらも少しずつ成長していく2017年入社組の2人へは「親への感謝の気持ちをずっと持ち続けていることがすごい」と賛辞を贈る。「日々生活していると忘れがちなことをずっと大切にしていて、その思いが2人の大きな幹になっていると感じました。コミュニケーションやリーダーシップを取ることが苦手だとか、磨かなければいけない部分はそれぞれにあるのかもしれませんが、親への感謝を持ち続けるってなかなかできないことだと思うんです」。

■親への感謝述べる映像に涙…母になり「涙もろく」

2人が親に感謝を述べるシーンを見て涙したことを打ち明けてくれた。「こんなこと言われたらすごくうれしいですよね! 自分が親になった今だからこそ感じるものがありました。子どもがずっと感謝し続けてくれるって、こんなにうれしい親孝行はない」と話し、母になったことによる変化を「涙もろくなりました」とも補足した。前回の収録でも「母性を持って見ています」と話していた大島だが、「本当の意味で実感しました」とニッコリ。前編では秋山木工への入社を自ら志願する14歳も新たに登場するが、厳しい環境へ我が子を送り出す母親の姿に「お母さんも勇気が必要だと思うのですが、本人がやりたいと言ったことを応援してあげるのは大切ですよね」と共感していた。

母になった変化を聞くと「生活のフェーズが変わったというか、違う世界を見せてもらえてすごく楽しいです」と充実した表情を見せる。「感じるものが確実に変わっているので、その思いを仕事に活かせるようになるときがくれば」と新しい自分で仕事に臨むことへ期待を膨らませているよう。さらに「このナレーション収録のお仕事も、たくさんの人が関わって成り立っています。皆それぞれに生活がありつつも、時間を作ってここに集まっていることを改めて認識しました」と話し、「私にとって子供と過ごす時間はとても貴重な時間です。仕事をすることにおいては、改めて一つひとつの仕事を大事にして丁寧に取り組もうと考えています」と仕事への真摯な姿勢を見せてくれた。

  • 3人の丁稚たち (C)フジテレビ

●大島優子
1988年生まれ、栃木県出身。06年からAKB48に所属し、14年に卒業。映画『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞など、多数の受賞を果たす。その他、『スカーレット』『青天を衝け』(NHK)、『東京タラレバ娘』『ネメシス』(日本テレビ)、『教場』(フジテレビ)、『七人の秘書』(テレビ朝日)などのドラマ、『闇金ウシジマくん』『ロマンス』『真田十勇士』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『女子高生に殺されたい』『とんび』『天間荘の三姉妹』などの映画に出演。現在映画『ネメシス 黄金螺旋の謎』公開中。