■鷲津に復讐する展開、最初から聞いていた

――最終的に鷲津に復讐していく立場になるというお話は、最初から聞いていましたか。

伺っていました。ただ、最初にすべて台本をもらっているわけではなく、いつそういう場面が来るのかは知らなかったので、そこまでにどれだけ眞人の内面を作り上げることができるか勝負になってくるなと思っていました。抑えていた感情を一気に出すという展開には、ロジカルな面も必要だなと知りました。立場が転じていく眞人が、皆との会話で引っかかるポイントを作ることも難しかったですし、感情とバックボーンだけで役を作るだけではやり遂げられないのかなと、苦悩しましたね。いろいろな先輩を見て「自分の芝居ってなんだろう。こうかな、違うかな」って自分の芝居を崩しながら右往左往したことが、結果的には眞人とリンクすることになって良かったなとは思います。

■貪欲に挑んだ作品、今の思いは「悔しい」

――ベテランの俳優さんが多数出演されていた作品ですが、杉野さんが得たものとは。

『嘘の戦争』に出演させていただいたとき、当時まだまだ新人だった僕にとって、すごく重厚なプロの現場だなと感じたんです。今回も監督さんはじめ同じスタッフさんがすごく多かったので、自分ももっと俳優として頑張りたい、もっともっとできることを見つけたいなと貪欲に臨みました。キャストの方に関しても、こんなにたくさんの先輩に囲まれる現場ってなかなかなくて。1話の犬飼さん(本田博太郎)のパーティーのシーンにいろんな大人の俳優さんがたくさんいる光景を見て、「このドラマすごいな」ってワクワクしたんですよね。撮影を終えた今、空回っちゃったなとか、もうちょっと冷静になればよかったなと思うところもありますが、いろんな先輩方のいろんなやり方は勉強になりました。

本当を言うと悔しいんです。もっとできたなって今でもすごく思ってるんですよ。このタイミングだから、「もっと兄への思いを膨らませていけたんじゃないか」とか考えて反省会みたいになってしまうんですけど……まだ、「これで良かった」と心からは思えなくて(笑)。だからこそ次のチャンスがあればもっと頑張って、もっと自分ができることをちゃんと表現していきたいと思っています。今回、先輩たちとご一緒できたことは大きな財産。片平(なぎさ)さんと草なぎさんのシーンも、すさまじいエネルギーを体感したくて、出番じゃないのに見に行ったんです。この作品に出演できて良かったです。だからもっと頑張ります。

――最終回の見どころを教えてください。

眞人にも感情の決着がつくと思います。あと、僕はずっと可南子さん(井川遥)ができる奥さんで素敵だなと思っていて。井川さんがすごく伝わってくるお芝居をされていて、“心”って大事だなと、芝居という面でも、人としても感じさせられました。ホロっとしたりスカっとしながら、“心”が伝わる最終回になっていると思います。