フジテレビは6日、東京・台場の同局本社で4月改編説明会を行い、生放送バラエティによるリアルタイム視聴促進の強化を打ち出した。
まずは、同局の港浩一社長がかつてディレクターを担当し、“女子大生ブーム”を巻き起こした『オールナイトフジ』の復活版となる2時間の生バラエティ番組『オールナイトフジコ』(毎週金曜24:55~ ※関東ローカル)が、4月14日からスタート。同局では以前にも『本能のハイキック!』や『キャンパスナイトフジ』など、週末深夜に約2時間の生バラエティを編成したが、いずれも1年以内で終了していた。
さらに、コロナ禍でライフスタイルが変化する中で、若年層が深夜にテレビを見なくなっている傾向があるが、その要因には、動画配信サービスに時間を奪われただけでなく、就寝時間が早くなっているという事象もある。ビデオリサーチが昨年8月に公表した調査では、男性13~19歳の23時の睡眠率が、19年6月に44%だったのが、22年6月は54%と、3年で10ポイントも増加しているという結果が出た。
そうした状況で、深夜の生放送を再び復活させる狙いについて、中村百合子編成センター室長兼編成部長は「生放送のリアルタイムで、今この瞬間目が離せないバラエティを打ち出していきたい。そして、視聴者と時間の共有をしていきたいというコンセプトでこの企画が成り立ちました」と説明。「制作者も出演者も、視聴者の皆様にもワクワクしていただきたいという思いです。しっかりと腰を据えて、金曜の夜は『オールナイトフジコ』を見るんだという夜ふかしの視聴習慣を作りたいと思っています」と意欲を示す。
3月3日の発表資料では「“すべてが見切り発車”状態」としていたが、中嶋優一バラエティ制作センター部長は「まさしく今週から秋元(康総合プロデューサー)さんたちと週2回くらい会議していこうかというところです。ただ、基本の方針は『テレビの枠を超えていこう、常識を破っていこう』と考えているのと、今オーディション進めていまして、その人たちを“フジコちゃん”と呼ぼうかなと考えています」と、かつての“オールナイターズ”のようなタレント発掘を行う計画。
また、スタジオセットの脇に“自由席”を設け、都内で飲んでいるタレントや一般の人が、生放送中に飛び入り参加するという形も想定しており、「とにかく自由で、『テレビっていいな』と思ってもらえるような番組にして、どんどん魅力を増していきたいと思っています」と意気込んだ。
立松嗣章編成制作局長は「秋元さんや現場が面白いと思ったことをやってくれればと思います。予測不能、予定不調和な番組なので、ヒヤヒヤするところもあると思うんですけど、逆にそれを楽しんで、若い視聴者の方々が話題にしてくれて、世の中が少しザワつくみたいなことが出てきたらいいかなと思っています」と強調した。
『オールナイトフジコ』のスタートに先駆け、1月からは昼の生バラエティ『ぽかぽか』(4月から月~金曜11:50~)を開始したが、中村室長兼部長は「ハライチさんと神田(愛花)さんに『ぽかぽか』というタイトルを体現するような温かさもありながら、鋭さ、ちょっとした毒っ気もある。そんなMC陣とゲストが一緒に化学反応を作り出すバラエティとして、非常に良い形でスタートできていると考えております」と手応え。
具体的に、「F1(女性20~34歳)・M1(男性20~34歳)の若年層に楽しんでいただいているという結果が顕著に出ています」と明かした上で、「若い視聴者の方が見てくださっているということは、大変うれしく思っていますし、長く続いていくことで一緒に育っていくような番組として成長していくのではないかと考えております」と期待を込めた。
さらに、今年は夏の長時間特番『FNS27時間テレビ』が4年ぶりに復活する。MCは、千鳥(大悟、ノブ)、かまいたち(山内健司、濱家隆一)、ダイアン(ユースケ、津田篤宏)の3組で、『千鳥の鬼レンチャン』(毎週日曜20:00~)をベースに、様々な企画を繰り広げる予定だ。
番組発表のコメントで、濱家は「“サビだけカラオケ”もやることになると思うんですけど、せっかくの生放送なんで、コンサート的なことをやるのも面白そうですよね」、山内は「スポーツの方も、大縄跳びという看板企画があるんで、ぜひ生でやりたいですね」と、生放送ならではの展開を構想していた。
最近はTVerでの見逃し配信視聴も定着化してきたが、このように生番組を次々に打ち出していく背景には、リアルタイム視聴を改めて重視していく姿勢がある。立松局長は「昼の『ぽかぽか』、深夜の『オールナイトフジコ』という生バラエティは、話題を作っていく意味でも非常に意味があることですし、昨今言われるリアルタイム視聴をキープ、そして上げていかなければならないというところでの、1つの戦略でもあります」と語っている。