副業者の活躍事例

「副業にチャレンジしてみたいけど、自分にできるのか不安」「なかなか、きっかけがない」「どう始めたらいいのかわからない」などの理由で副業に踏み出せない方も多いと思う。

一方で、ちょっとしたきっかけで副業にチャレンジし、活躍している方がいる。本稿では副業で活躍されている田中裕さん(仮名)の事例を通じて、副業のきっかけづくりや、副業の実態、副業を経たキャリア形成について、解説する。

  • 副業に対して不安がありますか?

■副業インタビュー者
・年齢:30代
・在住地:新潟
・副業先:東京

副業に踏み出したきっかけは「前職の職場仲間との再会」

田中さんは新潟に在住しているが、2022年7月より副業として東京の企業の案件に携わっている。副業として働くことになったのは、前職の職場仲間とのひさびさの再会がきっかけだ。

「現在働いている企業では、業務の効率化に注力していたこともあり、時間に余裕ができていました。新しいチャレンジができないか? と考えていた時に、副業で働かないか? と誘いを受けました」と語る。

田中さんによると、「いざ副業の話をいただいたときは、本当に自分でできるのか不安だった」とのことだが、新潟に住みながら東京の仕事に携わることができること、リモートで業務ができることも後押しとなり、副業を始めることを決断したと話す。

副業を始めて最初に躓くのは「契約・請求対応」と「働く環境の整備」

副業を始めた際に、多くの方が難しいと感じるのが「契約・請求対応」だ。

田中さんも例外ではなく、とにかく、契約書をすべて自分で読み込み、インターネットで調べて対応。特に意識したのは、自身に「期待されている業務」について認識齟齬が無いように細かく確認すること。

「今では、インターネットで検索をすると様々なことが分かりますし、副業特集などの記事も見かけます。自分で調べて勉強しつつ、契約先の方とコミュニケーションをして、納得いく契約をすることが望ましいと思います」と田中さんは語る。

また、盲点になりやすいのが、「働く環境の整備」だ。田中さんは、「パソコンさえ準備すれば大丈夫だと思ったら、大間違いでした」と話す。

「私自身はMac愛用者なのですが、取引先はPC環境がWindowsなので、Word、Excelなど取引先のセキュリティ基準・オフィス環境に合わせるために、セキュリティソフトを購入・ダウンロードしたり、業務用のアプリを購入したり。現職の勤務先では、当たり前に用意されているPC環境ですが、副業で働く際には、自分自身で準備して環境を整備する必要がありますね。企業で準備してもらえることのありがたみを痛感しました」と田中さんは語る。

副業によって変わる「報酬に対する意識」と「新たな学び」

一番の変化は、「お金(=報酬)をもらう意識」。雇用されていると、お給料をもらって当然という感覚で、成果に対する報酬ではなく、労働時間に対しての報酬という意識になりがちだが、副業を通して「成果に対して報酬が発生する」という意識になり、自分自身のスキルや業務への責任感が強くなったそうだ。

また、「新しいものの見方ができるようになった」ことも、よい変化の一つになったとのこと。本業とは別に、副業先の業務を担うことで、結果的に視野が広がり、現職の業務においても成果を出すサイクルにつながったと言う。

最近「リスキリング」も注目されているが、田中さんのように副業に真摯に向き合うことで、新しいスキルが身に付き、本業に生かすことができることもあるのだろう。

副業経験を通じて「主体的なキャリア形成」へ

田中さんは、今後も副業を続けながら「自分の可能性を広げていきたい」と語る。

「地方に住んでいることで、どうしても仕事に対して諦めてしまっていた自分がいたのですが、副業であればチャレンジができることに気付くことができたのは大きな収穫でした」。

現職で得たスキルで副業をスタートさせ、副業で更なるスキルを身に付け、本業でも成果が出る。このようなサイクルを回しながら、自身のスキルを広げて可能性を広げていくことができると、自分の意志でキャリアを創っていけるのではないかと思う。

「最初は副業で働くことに不安も多かったのですが、思い切ってチャレンジすることで、より自分らしく働けるようになっていると感じています」と話す。


副業を始めている方は、皆さん初めから自信をもってスタートしているのではなく、現職と副業先との業務バランスをうまく保つことができるか、副業先でもパフォーマンスを出せるか等、不安な気持ちを持ちながら、一歩踏み出していることが多いようだ。

副業を通じて「自分の名前で働くということはどういうことなのか」を痛感し、報酬を手にすることの責任感が芽生え、仕事への意識が変わるのだと思う。

一歩踏み出すまでは不安かもしれないが、「もっとチャレンジしてみたい」「もっと自分の可能性を広げたい」と思っている方は、副業を始めてみてはいかがだろうか。

著者プロフィール:鏑木陽二朗

2001年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2011年に、プロ人材による経営支援サービス「i-common(アイコモン)」(現「HiPro Biz(ハイプロビズ)」)を立ち上げ、事業責任者として組織を牽引。2021年10月に執行役員就任。2022年5月、業界初となるプロフェッショナル人材の総合活用支援ブランド「HiPro(ハイプロ)」を立ち上げ、HiPro編集長に就任。