原宿でスカウトされたことをきっかけに、2005年に芸能活動を開始してから約18年。34歳となった今の女優業への思いを尋ねると、「日々変化していますが、今は本当にすごく楽しく仕事をさせてもらっています」と充実した表情を見せる。
「今は一つ作品をやって休んで次に、というペースに自然となってきていて、一個一個集中して向き合えています。今でも技量が足りないと感じることがたくさんあって、まだまだ苦しいですが、集中して仕事ができて楽しいです」
結婚による心境の変化も大きかったようだ。
「結婚して精神的にもすごく落ち着いたので、芝居に対して100%の気持ちで向き合えているのかなと。帰る家があるという安心感。余計なことで悩まず、帰ってリセットして今日も頑張るぞ! という気持ちになれるので」
また、「クランクインの前日はいまだに不安すぎて寝られません」と吐露するも、経験を重ねていく中で演技の楽しさをより感じるように。「今回だとファッション誌の編集部役で今までやったことないですし、経験したことのない感情に出会えることが楽しさの大きな部分かなと思います」
今の自分につながっていると感じる転機を尋ねると、映画初出演にして主演を務めた映画『GOTH』(2008)を挙げた。
「どの作品も学びがありますが、『GOTH』のときは全然できなくて監督に0から叩き込んでもらって。それがなかったら今の自分は絶対にないし、初めてちゃんとした役をいただいて、これは仕事なのだと自覚をしっかり持つようになりました」
『GOTH』の撮影中は辞めたいと思うも、それ以降は女優業から離れたいと思ったことは一度もないという。
「『GOTH』のときは、もう無理だと思って『辞めたいです』と言ったんです。でもなんとかやらせてもらって、それ以降は辞めたいなんて言っていられないなと。『できるかな?』ではなく、『やるんだ!』と言い聞かせて必死に役と向き合うようになりました」
また、経験を重ねる中で自分に合った役へのアプローチ方法がわかったという。
「以前は感覚的に演じられると思い込んでいましたが、すごく考えないとダメなのだと年々気づき、自分の中でしっかり感情を組み立てて演じるようになりました。感覚的に演じられている方を見ると、自分もそういう感じでやりたいと思いますが、自分はそうではないんだなと」
そう気づくきっかけとなった作品は東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『結婚相手は抽選で』(2018)とのこと。
「若い頃はいろんなアプローチをしていましたが、『結婚相手は抽選で』のときに役が入ってこなくてどうしようと思い、徹底的に役を分解することに。役やシーンのことをノートに全部書いて、自分の感情や経験と似ている部分を探して組み立てていったらスッと役が入ってきて、感情も勝手に役の気持ちに切り替わり、このやり方が合っていると気づきました」
作品ごとにいろいろな学びを得て成長し続けている高梨。主演作はプレッシャーも大きい分、やりがいも大きいという。
「役のことだけではなく、いろんなことを考えないといけないのでプレッシャーはありますが、やりがいも感じますし楽しいです。今回の現場は皆さんすごく明るくて、スタッフさんも含め、とてもいい現場なので、何の緊張感もなく馴染むことができました」