「本当に奇特な人ですね」「彼は奇特な人だ」などの言葉を聞き「嫌味をいわれているんだろうか? 」と悩んだことがある人もいるのではないでしょうか?
「奇特な人」の意味が「変わっている人」だと思っている人も多いですよね。実は「奇特な人」が持つ正しい意味は違います。今回は「奇特な人」の正しい意味と使い方、類語や英語表現をご紹介します。
「奇特な人」の本来の意味は?
「奇特な人」を、変わった人や変な人という意味だと思っている人も多いのではないでしょうか?
実は「奇特な人」というのは褒め言葉です。「奇特な人」の正しい意味となぜ意味を勘違いしている人がいるのか、その理由をご紹介します。
「奇特な人」の本来の意味
「奇特な人」は本来、言葉や行動などが優れていること、褒められるような素晴らしい行いをしている人などを意味する言葉です。
しかし平成14年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、奇特の意味を「優れている」といった正しい意味ではなく「奇妙で珍しいこと」だと答える人が25.2%いました。
奇特の「奇」という字は、「奇抜」や「奇妙」、「奇行」といった「風変わり」などを意味する言葉と同じ漢字が使われています。そのため「奇特」も風変わりや変わっているといった意味を持つと誤って認識してしまうのだと考えられます。
「奇特」の古語の意味は「とても珍しい、不思議なさま」
現代語としての「奇特」は、言動が優れていることや人から褒められるような行動などを意味します。
しかし、古語では「とても珍しい不思議なさま」といった意味で使用されています。古語としての「奇特」と現代語の「奇特」は意味が異なるので、古語を学んでいる人や読む人は注意しましょう。
「奇特な人」の使い方・例文
「奇特な人」は言葉や行動が人から褒められるような行動をしている人などを意味します。
しかし、実際にいわれたことはあってもどのようなタイミングで使えばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか?
具体的な例文とともに、使い方やタイミングをご紹介します。
「奇特な人」の使い方
「奇特な人」の例文をご紹介する前に「奇特な人」という言葉を嫌味だと捉える人がいることも知っておきましょう。
先にご紹介したとおり、文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、25.2%の人が「奇妙で珍しいこと」だと捉えています。せっかく「素晴らしい行いをしている」と褒めたつもりでも、相手に「変わっている人」と嫌味をいわれたと捉えられてしまう可能性もあります。
「奇特な人」と褒める場合は、前後の話の内容や相手の様子を観察し、正しい意味で捉えられる状況か確認しましょう。
「奇特な人」の例文
「奇特な人」「奇特」の例文と解説をご紹介します。
・「彼は毎日ボランティアで神社の掃除をしているらしい。今時珍しい奇特な人だ」
ボランティアで神社の掃除を毎日行うというのは、なかなかできることではありません。とても素晴らしいいい行いだと褒める言葉として「奇特な人」だと表現しています。
・「迷子の子どもを交番まで連れて行ってあげたと聞きましたよ。本当に奇特なことですね」
これは、子どもを助けたことを聞いた人が、助けた人に対して迷子の子どもをみつけ、その子を交番まで連れて行ったことを「素晴らしい行動だ」と褒める言葉として「奇特なこと」だと表現しています。
・「あの子は自分も受験で大変なのに、小さい弟の面倒や家事までしています。家族は助け合うのが当然だなんていって、本当に奇特な子です。」
自分も受験で大変な時期に「家族は助け合うのが当然だ」と考え、家事や小さい弟の面倒をみることは、当たり前にできることではありません。
そのため、褒められるべき素晴らしい行動だと感じ「奇特な子」だと褒めている場面です。
「奇特」の類語・言い換え表現
ここまで「奇特な人」の意味や例文をご紹介しました。次に「奇特」と似た意味を持つ言葉である類義語を3つご紹介します。
殊勝
「殊勝」は「特に優れていることやけなげであること、行動や心がけなどが感心なこと」などを意味します。
神妙
「神妙」は「奇特」や「殊勝」と同じく「心がけや行動などが素晴らしいこと、優れていること」を意味します。他にも「おとなしい態度で素直なことやその様子」なども意味します。
立派
「立派」は「堂々としていることやとても優れていること、欠点などがないこと」を意味します。
「奇特な人」を使うときは文脈に気をつけよう
「奇特な人」の意味や類義語、使い方・例文をご紹介しました。褒め言葉である「奇特な人」ですが「風変わりな人」など間違った意味で認識されていることもある言葉です。
「奇特な人」だと褒める際には、相手に嫌味だと受け取られないように文脈に気をつけて使用することをおすすめします。