「労わる(いたわる)」は、プライベートでも仕事でも、普段よく使用される言葉です。日常でも使用頻度が高く、同じ漢字を使った「労う(ねぎらう)」とはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は「労わる(いたわる)」の意味から「労う(ねぎらう)」との違い、類語・対義語・英語表現までをご紹介します。
「労わる」の意味
「労わる」は「いたわる」と読み、下記のような意味です。
【労わるの意味】
- 慰める、同情する、大事にする
- 養生する
- 親切にする、ものを大切に扱う
本来、「労わる(いたわる)」の表記は「労る」でした。「労う(ねぎらう)」と混同されやすいために、「労わる(いたわる)」の表記が認められています。
「労わる」と「労う」の違いとは
「労わる」と「労う」の意味
以下に、「労わる(いたわる)」と「労う(ねぎらう)」の違いを解説します。
【労わる(いたわる)】
- 相手の苦労を慰めること
- 「優しく扱う」「親切にする」など広い意味で使われ、具体的な行動は表現しない
- 親切にする意味合いから、目上の方にも使用可能
【労う(ねぎらう)】
- 自分と同等あるいは目下の人が懸命に働いたり苦労したことに対して、感謝の気持ちを示すこと
- 品物を贈ったりごちそうをしたり、具体的な行動が伴う
- 目上の人には使用不可
「労わる」と「労う」の違い
「労わる(いたわる)」と「労う(ねぎらう)」の違いは、「具体的な行動があるかないか」「使用対象が目上か目下か」です。
「労う(ねぎらう)」は目上の人に対して使用できない点を覚えておきましょう。目下の人間が目上の方を評価することは、失礼に当たります。
「労わる」の使い方と例文
以下に例文を用いて「労わる(いたわる)」の使い方を解説します。
- 風邪で寝込んでしまった子どもを、家族は労わりました
- 仕事で大きな成果をあげるためには、自分を労わり、日々の疲れを癒すことが必要だ
- 彼は、長い間共に走ってきた自転車を洗車し、油をさして労わっている
- 父は週に一度靴磨きをして労わることで、革靴を長持ちさせている
「労わる」の類語・言い換え表現
下記で、「労わる(いたわる)」の類語・言い換え表現を解説します。
類語表現①|慰める
「悲しみや苦しみをまぎらわせる、心を楽しませる」「なだめ、いたわる」という意味の「慰める」は、「労わる」の類語として挙げられます。
「慰める」と「労わる」は共に、相手を大切に思い、相手の心情に寄り添うときに使われます。心の悩みには「慰める」、肉体の苦しみには「労わる」を使用する傾向があります。
- 心(寂しさ)を慰める
- 病身を労わる
類語表現②|慰労
「慰労」とは、相手の苦労を気遣い、慰めることを意味する言葉です。「ご苦労様です」のニュアンスが含まれているため、目下から目上の方への使用は控えた方がよいでしょう。目上の方には「お大事にしてください」や「ご自愛ください」の使用が無難です。
具体的には、部下の苦労をねぎらう場合や、プロジェクトを達成した後、疲れを癒すときなどに使用されます。
- 大きなプロジェクトに尽力した部下を慰労する
- スタッフの苦労を気遣い、慰労会が開かれた
上記のように、ビジネスシーンにおいてよく聞かれる言葉です。
類語表現③|労をねぎらう
「労をねぎらう」とは、「苦労をかけたことや尽力したことをいたわり慰める」という意味の慣用句です。相手の苦労や骨折に対して、感謝したり宴を催したり、具体的な行動を伴う形で用いられます。
「労わる」の英語表現
最後に「労る(いたわる)」の英語表現をご紹介します。
- to care for:大事にする
- be kind to:大事にする・親切にする
- console:元気付ける・慰める
- be considerate :思いやりを示す
「労わる」の意味や使い方をマスターしよう
「労わる(いたわる)」の意味解説に加え、「労わる(いたわる)」と「労う(ねぎらう)」の違いも紹介しました。「労わる(いたわる)」と「労う(ねぎらう)」の使い分けに、ぜひお役立てください。