カーボンニュートラル社会の実現に向けて積極的な取り組みを続けるアウディジャパンは1月27日、国内カーディーラー初となるCO2排出量実質ゼロを達成したアウディ浜松ショールームで「Audi Sustainable Future Tour」を開催した。
スポーツカーも電気で走る時代へ
店舗がある浜松市は、日本トップクラスの日照時間によって市町村別の太陽光発電設備の導入量が日本1位という地域。さらに市の7割を占める森林(バイオマス)や7,500本もの河川(水力)、遠州のからっ風による風力など、多種多様な再生可能エネルギーに恵まれた街だ。
アウディ浜松を運営するサーラカーズジャパンの坂爪譲治社長によると、そうした環境をいかすべく「店舗で使用する電気はすべてCO2フリーのものを自前で作り、さらにお客様が充電する電気も同様のものを提供する」ことを目標に取り組みをスタート。グループ会社のサーラエナジー(愛知県豊橋市)が提供するPPAサービス(初期費用0円)を活用し、店舗屋上に年間17.3万kWhを発電する太陽光パネル400枚を設置した。そのうち7.1万kWhを自家消費とし、余剰電力となる10.2万kWhを売電するとともに、夜間や悪天時の不足分となる6万kWhは関連会社のサーラeエナジーからCO2フリー電力を購入して賄うというシステムを完成させている。
空調用として使用する都市ガスについても、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスをCO2クレジットで相殺したカーボンオフセットのものを購入。トータルで年間115tものCO2削減を可能にしたという。
2023年1月5日に稼働を開始したショールーム内には、こうした取り組みを訪れた顧客にアピールするため、太陽光の発電状況をリアルタイムで表示するモニターを導入済み。イベント当日は晴れの日が多い浜松にしては珍しく雪模様だったため発電量は低かったが、電気自動車(EV)ユーザーやその予備軍となるICE(内燃機関搭載車)ユーザーにはきっちりと訴求できるポイントになっているようだ。
敷地内には90kWhの急速充電器1基(2口)を設置。5月ごろには最新の150kWhタイプに入れ替える予定というから、さらに短時間での充電が可能になる。この日はアウディEVの最新モデル「Q4 e-tron」がお目見えし、早速充電を行なっていた。
聞けば、同店舗のEVユーザーは現状では全体の数%程度だそうだが、中にはすでにスポーツモデルの「e-tron GT」とSUVの「e-tron」の2台持ちという強者EVユーザーもいるらしい。イベントに駆けつけたアウディジャパン ブランドディレクターのマティアス・シェーパース氏によると、「音がうるさく、化石燃料のガソリンを大量に消費する従来のスポーツモデルよりも、CO2フリーのハイパフォーマンスカーに乗ることが“今”の価値観となりつつある」とのこと。アウディ浜松のような店舗が増えていけば、トップモデルの「RS e-tron GT」でさえ、何も気兼ねすることなく乗れるようになるのだ。