藤井聡太王将に羽生善治九段が挑む第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は、第4局が2月9日(木)午前9時に東京都立川市の「SORANO HOTEL」で始まりました。藤井王将の2勝1敗で迎えた本局、先手の羽生九段が勝ってスコアをタイに戻すか、後手の藤井王将が勝って防衛に王手をかけるかに注目が集まります。

角換わり腰掛け銀の定跡形

午前9時、立会人の森内俊之九段の合図で開始された本局は、お互いに飛車先の歩を突き合って相居飛車の出だしに進行しました。相掛かりの可能性も考えられるなか、角道を開けて角換わりを志向したのが先手の羽生九段の注文。それ以降も両対局者の息がピッタリと合ってスラスラと駒組みが進んでいきます。

先手の羽生九段が9筋の歩を突いた局面はひとつの分岐点です。後手の藤井王将としてはこれに応じずに銀を早めに上がって先攻を意識する手も有力でしたが、ここは堂々と端歩を挨拶して先手の攻めを受けて立つ方針を明示しました。局面は角換わり腰掛け銀のなかでも王道といえる定跡形に進行しています。

藤井王将専守防衛の銀引き

羽生九段が5筋に銀を腰掛けて先攻の構えを整えた局面は後手の藤井王将にとっての次なる分岐点。ここは玉を寄って間合いを測りつつ先手からの攻めに備える手が多く指されているところですが、本局で藤井王将は5筋に上がった銀を自陣に引き戻す指し方を選びました。これもよく指されている変化で、後手としては受けの最善形を保ちながら将来の反撃に期待する構想です。

このあと、先手からは単騎の桂跳ねで積極的に攻める展開や、5筋に飛車を回ってゆっくりと陣形を拡充させる展開が予想されます。いずれにしても先手の羽生九段が先攻する展開が見込まれ、後手の藤井王将がどこで反撃に転じるかに注目が集まります。

両者4度目となる角換わりでの対決で羽生九段は先手番をキープできるでしょうか。持ち時間8時間、2日制で行われる本局の終局は翌2月10日(金)の夕方以降が見込まれています。

  • これまでの3局ではいずれも羽生九段が封じ手を行っている(提供:日本将棋連盟)

    これまでの3局ではいずれも羽生九段が封じ手を行っている(提供:日本将棋連盟)

水留啓(将棋情報局)