「茶をしばく」は関西出身の人は聞きなじみがあるかもしれませんが、関東出身だと聞き慣れないという人が多いかもしれません。
この記事では「茶をしばく」の意味や使い方をご紹介します。「茶をしばく」以外の「しばく」の使い方についても解説しているので、参考にしてみてください。
「茶をしばく」の意味とは
初めて聞いた人は、驚いてしまう「茶をしばく」。さっそく「茶をしばく」の意味や使い方について確認してみましょう。
「茶をしばく」の意味は「お茶しに行く」
「茶をしばく」の意味は、「(カフェなどに)お茶をしに行く」という意味の言葉です。しかし、辞書で意味を調べてみても、掲載されていない言い回しです。なぜなら「茶をしばく」は、関西を中心に「お茶をしに行く」というシーンで使われる口語表現だからです。
「しばく」は「強くたたく」意味がある
「しばく」単体では、「棒などでたたく。ひっぱたく」という意味があります。
また、関西で「暴力をふるう」といった意味でも使われることも。聞き慣れない人にとって危険な空気をはらんだ印象を与えるのはこのためでしょう。
「しばくぞ」は、関西では冗談交じりの脅し文句としても有名です。カジュアルに、会話の流れで相手をけん制したり、こらしめることを伝えたりする場合に「しばくぞ」と使われることがあります。
友人同士で親しみを込めたり、ふざけてツッコミとして使ったりすることも多く、使う相手との関係性やシチュエーションで強度が変わる言葉です。
「茶をしばく」の語源
ところで「お茶」を「しばく」という一見不思議な組み合わせの表現は、どのような出来事や現象に由来するのでしょうか。「茶をしばく」の発祥地には複数の説がありますが、最も有力な説について解説します。
「茶をしばく」がなぜ広まったのか
「茶をしばく」は、関西の若者が使い始めた言い回しであるといわれています。 関西の若者言葉として定着していた表現を、その後関西出身の芸人がテレビで使うなどして広まったのではという説が有力です。
語源は実際のところはっきりしていない
方言説の他にも「食材の肉や魚を細かく切り分ける」という意味の「さばく」から「しばく」が派生したという説を唱える人もいます。さまざまな説がありますが「茶をしばく」の語源は、結局は定かではありません。
「茶をしばく」の使い方・例文
例えば、外回りの仕事が一段落したとき。一緒に行動していた同僚に「 ちょっとお茶しに行かない?」というような場面で「ちょっと茶でもしばこうか」と誘います。
その他にも「茶をしばく」は、例えばこのようなシチュエーションで使います。
- 「今日はさっぶいなあ。外で立ち話するのも何やし、どこか近くで茶しばきに行こか」
- 「(大学生が)4限終わったら茶しばきにいかへん? 」
- 「(チャットやメッセージアプリで)久しぶり。日曜ヒマ? 茶しばく時間ある? 」
コーヒーブレイクや小休憩を取ろうと、親しい人に対して提案するシーンでよく使われる表現です。
「お茶をしに行く」という意味ですが、ここでの「お茶」は紅茶や日本茶に限定するものではありません。飲み物はコーヒーでもジュースでもいいのです。あくまでも日常生活の中で、店にふらっと立ち寄るときに使います。
仕事や勉強といった場を離れて「ちょっと一息つきたい」「肩ひじ張らずにリラックスしたい」「相手にも同様に気楽に過ごしてほしい」という気分を伝えるのに効果的なニュアンスを持っています。
「茶をしばく」を、別の表現に言い換えるなら「お茶をする」というのが妥当です。
「しばく」の使い方
「しばく」には、「食べる・飲む」「行く」という意味で使われる派生語が存在します。
学校しばく
学校へ通学することを「学校しばく」と表現することがあります。お茶同様、「○○へ行く」ことを意味します。
牛しばく
「牛しばく」は「牛丼を食べるために吉野家に行く」という意味です。
なお、同じような背景で派生した言い回しに、「鳥しばく」(=ケンタッキー・フライドチキンに行く)と、「うどんしばく」(=うどんを食べに行く)「お好みしばく」(=お好み焼きを食べに行く)などもあるそうです。
ネズミしばく
ネズミは動物のことではありません。東京ディズニーリゾートのことを表現したものです。すなわち「ネズミしばく」は「東京ディズニーリゾートへ遊びに行く」という意味になります。
「茶をしばく」は関西のどこの方言?
「茶をしばく」は、関西の若者言葉から広まった説が有力です。関西の方言が由来であることは確かですが、さらに細分化するとどの地域なのでしょうか。
大阪・京都の方言といわれている
結論からいうと大阪、京都のいずれかであるといわれています。若者言葉を広めたとされるのは上方芸人ですが、「上方」とは「京都およびその付近一帯を指す語」です。京阪地方や関西地方を指す場合もあります。
名古屋の方言ではない?
「茶をしばく」は、名古屋が発祥という説もあります。しかし、これまで説明してきたことから、名古屋ではなく大阪・京都が発祥だといわれています。
あくまでも「茶をしばく」は関西の若者言葉として定着していた表現を、その後関西出身の芸人がテレビで使うなどして広まった説が有力。名古屋で使われていたのは、関西出身の芸人が全国に広めた結果だと考えられます。
全国的に認知されるようになった後には、名古屋のみならず日本各地で使われるようになり、発祥の地について複数の説が生まれたと推察されます。
「茶をしばく」の英語表現
「茶をしばく」を英語で伝えるなら、「お茶する」という意味の「have a tea」「grab some tea」で表せます。
<例文>
・Would you like to have some tea?
お茶しない?
・Do you want to grab some tea tonight?
今夜お茶しに行かない?
「茶をしばく」は関西で親しみを込めて使われることもある「お茶へのお誘い」
「お茶しばく」の「しばく」には暴力的なイメージがあり、今まで聞いたことがない人は驚いてしまうフレーズかもしれません。しかし、親しみを込めて「お茶に行こう」と誘う表現なので驚かないでくださいね。
ユーモアの通じる友人や身内に対して「お茶に行こう」の代わりに使ってみてはいかがでしょうか。相手との親密度が少し上がるといいですね。