イケア・ジャパンは、1月26日、日本を調査対象に含む「Life at Home Report 2022」を発表した。これはイケアが2014年より行っている家での暮らしに関する調査で、昨年は世界37カ国37,000人以上を対象に行われたもの。今年は初めて定性調査の対象国に日本が選ばれ、オンラインでのインタビューも実施された。

気候変動よりも国と家庭の経済が不安

世界37カ国、37,000人以上を対象にしたこの調査では、世界の61%が家計に不安を感じており、世界的にインフレが進む中66%が国内経済について不安を感じていることが明らかになった。

経済に対する不安は、気候変動の影響に対する不安(56%)を上回り、世界の人々の間で最も関心が高かった。これは日本でもほぼ同等で、65%が経済、59%が家計、57%が気候変動を不安に感じていたとのこと。懐が寒くなることで、世界の43%、日本では33%が、旅行や外食といった家の外での趣味が影響を受けると予想していた。

自分の家に対して「自分らしさを表現している」と感じる人が少ない日本

特徴的だった結果のひとつは、世界の37%が、「自分の家について昨年と比較しよりポジティブに感じている」と回答した一方で、日本では12%と低い割合で、37ヵ国中35位であったことだという。家に自分らしさが反映されているとき、家がメンタル・ウェルビーイング(精神的に満たされた状態)の源だと考える傾向が1.7倍であることも明らかとなった。

しかし「家に自分らしさが反映されている」と感じている日本人は37%のみで、世界の58%と比べて低い結果に。家が自分らしさを表現するために何が重要かという設問に対し、世界では「過去の思い出や体験を思い出させてくれるもの」(32%)が上位の回答であったのに対し、日本人はたった9%のみで、一方「ニーズや興味のあることのためのスペース」が34%で最多となった。

また、「自宅では住人全員のプライバシーを確保できている」と回答したのは23%(世界41%)と同様に低い結果になった。日本で実施したインタビューでは、子どもを優先させ自分のためのスペースを諦めた父親が、家で自分らしさを感じられず難しさを感じていたという。日本では、共に暮らす人と共有する限られたスペースの中で、自分自身になれる方法を模索しながら過ごす人が多いことが伺える。

家にくつろぎの場所を求めているが、ものが多く決まった収納場所がないことが不満

また「理想の家に重要なこと」を質問したところ、世界平均54%に対し日本の66%が「くつろげる、リラックスできる」ことと回答。続いて「趣味のためのスペースがあること」「一緒に暮らす人とのつながりを育むこと」が続く結果に。一方、日本人が家に対して不満を感じる理由のトップ3は、「置き場所の定まっていないものがたくさんありすぎる」「整理整頓されていないスペース、または目的のないスペース」「家事をしないといけない(洗濯、掃除、料理など)」だった。

くつろげる理想の家で暮らすためには、収納の問題を解決し、家事の負担を家族で分け合うことがカギとなりそうだとまとめている。

定量調査は、Ingka Holding B.V.(Ingkaグループ)に代わってYouGovが実施。定量調査は37カ国の18歳以上の人々からなる国民代表サンプルを対象にオンライン調査として実施され、合計37,405人からの調査結果を得た。対象国は次の通り:
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、マレーシア、オランダ、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、シンガポール、スロバキア、スロベニア、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、タイ、イギリス、アメリカ。

データの収集は、2022年7月から8月の期間に行われた。