声優・アーティストとして活動する蒼井翔太が、2023年1月18日にデジタルシングル「Key to My Heart」をリリース。本曲は蒼井本人も出演しているドラマイズム「REAL⇔FAKE Final Stage」のエンディングテーマとして起用されているロックバラードだ。

今回は、本曲の聞きどころやドラマの見どころに加えて、フリーとして活動していくという大きな決断をした彼へのインタビューが到着した。

  • 蒼井翔太

●思い・愛を一層感じた2022年

──2022年は蒼井さんにとってどんな一年でしたか?

ありがたいことに、仕事がすごく充実した一年でしたね。同時に蒼井翔太としては、10年以上お世話になった事務所を卒業するという大きな決断をした年にもなりました。決断した後の周りの方や、応援してくださるみなさんからいただいた言葉は本当にあたたかかったです。人の思い・気持ち・愛をより一層感じた2022年でした。

──卒業という言葉を使われましたが、それはステップアップ、次のステージへ進むという意味合いを込めて?

自分自身にさらなるハードルを設けると同時に、僕としては「実家を離れて、一人暮らしを始める」みたいな感覚でもいるんです。これまで実家で培ったものを精一杯、ふんだんに活用していき、成長した姿をお世話になった事務所の方々に見ていただきたいなって。卒業しても活躍していくことが、恩返しになると思っています。

──親元から巣立っていくような感じ。

そうですね!

──仕事が充実していたというお話がありましたが、アーティスト活動では久しぶりに有観客でのライブツアーを開催されましたね。

約3年ぶりにお客さんの前で歌えたことは、やっぱり感慨深かったですね。音楽面に関するエンタメも徐々に動き始めていますが、それでもまだ自由には活動しきれていないのが現状。そんななかでファンのみなさんとお会いできたのは、本当に幸せなことです。僕は眉間にシワを寄せるくらい真剣に歌う癖があるのですが、ツアー千秋楽公演の映像を見直していると、笑顔でした。ああいう顔ができたのは、応援してくださっているみなさんと同じ空気を吸って、一緒にいることを実感できたからだと思います。

──歌っているときの気持ちも今までと少し違いましたか?

人間って、好きな人・大切な人・大好きな仲間たちが見ているから一層頑張らないといけないって気負っちゃう生き物じゃないですか。ステージに出るまで僕もそうでした。応援してくださる方の前で久しぶりに歌うことへの不安もありましたね。ただ、ステージに立った瞬間、「あっ、僕はこの場では自然でいいんだ」と思えました。ステージから客席を見渡すと、みなさんの笑顔が輝いていたんです。そのおかげで、自分のなかで渦巻いている余計なものはすべて手放していいという気持ちで歌えました。裏側で支えて下さったみんなも含めて、蒼井翔太に関わるすべての人たちがハッピーになれたツアーだった気がします。

●歌うきっかけは「今の自分じゃダメだ」と思ったから

──蒼井さんは役者として活動する以前からアーティストとして歌を届けていました。もともとアーティストとして活動したいという思いは強かったんですか?

小さい頃はこの声がコンプレックスだったんですよ。頭のなかで響く自分の声が嫌いで、外にもあんまり出ない少年でした。家族にもすごく不安を与えていたと思います。それでも、音楽を聞くのは好きだったんです。音楽が僕と世界をつなぎとめてくれていました。

──蒼井さんにとって音楽は大きな存在なんですね。

はい。歌おうと思ったきっかけは、「今のままの自分じゃダメだ」って思ったから。父も母も勇敢で、いつも僕に大きな背中を見せてくれました。それでもある日、母親がふと不安を口にしている姿をたまたま見てしまったんです。僕が見てこなかったものを見てしまい、「一歩踏み出さないといけない」と子供ながらに感じて。何をすればいいのかよく分からなかったですが、まずは「とにかく度胸試しだ」と思い、地元の夏祭りのカラオケ大会に出場しました。

──カラオケ大会!

大会に出ようと決める前、学生時代に唯一心の許せる友達がカラオケに行こうと僕を連れ出してくれたんです。人前で歌うのは好きではありませんでしたが、お金を払ったのに歌わないのはもったいないなと思って(笑)。それで友達の前で歌ったら、「いい声じゃん」って言ってくれたんです。そこで僕のなかに雷が落ちました。あの言葉があったから、カラオケ大会に出場することにも踏み出せました。その後、全国大会にも進出して東京で歌うことになったんです。

──すごい!

全国大会では誰一人として僕のことを知らない状態。それでも、歌い終わったあとにあたたかい拍手をくれました。そのときに2回目の雷がドーンと自分のなかに落ちてきて。これがきっかけで僕は「もっと歌いたい」と思うようになったんですよね。

──先ほどのライブの話もそうですが、蒼井さんは誰かに求められることで「やってみたい」という活力を得ることが多いのかもしれないですね。

みなさんからの拍手や応援の声が届くと「僕は今ここにいる」「自分が生きている」と感じるんですよ。今では音楽・歌・自分の声が僕の命と言っても過言ではないものになっています。