2022年の確定申告の時期が近づいています。これまで確定申告とは縁がなかった会社員等でも、副業やふるさと納税などにより、今回から確定申告が必要という人もいるでしょう。確定申告は決して難しい手続きではないですが、さまざまな書類の準備が必要になるなど慣れてなければ時間を取られる可能性があります。期限内に確定申告できるように、早めに準備をしていきましょう。

本記事では、2022年の確定申告のスケジュールと注意点を説明します。確定申告が期限以内に提出できなかった場合の対処法についても合わせて紹介します。

●2022年の確定申告スケジュール

確定申告は、1年間(1月1日~12月31日)の収入や支出等にもとづき所得税の額を計算・確定し、翌年に申告・納税するための制度・手続きです。確定申告の期間は決まっており、毎年2月16日~3月15日の1カ月間とされています。

・2022年の確定申告の期間は?

2022年に行う確定申告期間もこの決められた期間どおりです。具体的には次の期間です。 【2022年2月16日(水)~2022年3月15日(火)】

なお、この期間中に行わないといけないのは「確定申告書の提出」および「納税」です。書類を用意したり、収入や各種所得控除などから所得税を計算したりと、準備をするのはこれより前でも構いません。

会社で年末調整を受けた人が、年末調整で申告できなかった所得控除(医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)など)を申告するだけで、副業収入など給料以外の他の所得申告がない場合のことを「還付申告」といいます。この還付申告は翌年の1月1日から5年の間のいつでも行うことができます。2021年中にふるさと納税をした人などは2022年2月16日を待たなくても申告して構いません。

・確定申告の対象となる人

確定申告は自営業やフリーランスの人だけではなく、会社員でも対象となる人もいます。次に該当する人は確定申告をしなくてはなりません。

1.給与の年収が2,000万円を超える人
2.年末調整を受けた給与所得以外に20万円を超える所得(収入金額から必要経費を控除した後の金額)がある人

その他、確定申告の義務はないですが、確定申告をしたほうがいい人もいます。たとえば、前述したように医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)、災害などにあったことによる雑損控除などを受けられる人は確定申告(還付申告)をすることで税金が還付されます。また、2021年の途中で退職し、再就職しなかったため年末調整を受けなかった人も、確定申告をすれば税金が還付される可能性があります。

・2022年の確定申告の変更点は?

会社員でも確定申告の対象となる人が増えてきているせいか、必要書類の簡素化や確定申告方法の変更が年々行われています。2022年に行う確定申告でもいくつか変更となった点があります。

1.「ふるさと納税(寄附金控除)」を受ける場合の必要書類が簡素化

複数の自治体にふるさと納税をした人も多くの書類を集める必要がなくなります。

変更前:ふるさと納税をしたすべての自治体が発行する「寄付金受領証明書」
変更後:特定事業者(ふるさと納税ポータルサイト運営者)が発行する「寄付金控除に関する証明書」1枚

また、「寄付金控除に関する証明書」に記載されている年間寄附額(合計額)を確定申告書に転記すればいいのでより簡単になりました。

2.「住宅ローン控除」に関する特例

住宅ローン控除を受けるためには、本来、住宅を取得した年中に入居しなければなりません。しかし、コロナ禍の経済対策として、入居要件の緩和や控除期間の延長などの特例が設けられています。要件を満たせず諦めていた人も、2022年の確定申告で住宅ローン控除の適用を受けられるかもしれません。

【新型コロナによる入居遅延】

次の場合で2021年中に入居した場合は住宅ローン控除期間が本来の10年間から13年間に延長されます。

注文住宅:2020年9月末までに契約
分譲住宅など:2020年11月末までに契約

【経済対策による控除期間延長&要件緩和】

次の場合で2022年末までに入居した場合は住宅ローン控除期間が13年間となります。 また、所得1,000万円以下の人は住宅の床面積に関する要件が本来の50㎡から40㎡へと緩和されます。

注文住宅:2020年10月~2021年9月末までに契約
分譲住宅など:2020年12月~2021年11月末までに契約

3.確定申告書に押印不要

2021年まで確定申告書に署名・押印が必要でしたが、2022年の確定申告から押印不要になります。

●確定申告の提出期限を過ぎてしまうとどうなる?

冒頭で説明したように、確定申告は決められた期限内に行わなければいけません。しかし、うっかり期限を忘れたり、予期せぬ事情で期限内にできなかったりするケースもあり得ます。できればこのような事態は避けたいですが、もしも期限内に確定申告できない場合のことも知っておきましょう。

結論から言うと、確定申告の期限を過ぎても申告書の受付はしてもらえます。ただし、「期限後申告」として取り扱われ、本来納付すべきだった税金に加え、無申告加算税や延滞税がかかるなど、ペナルティが科されます。また青色申告制度を利用している人は「青色申告特別控除」が受けられなくなってしまいます。

ただし、次のすべてを満たしていれば無申告加算税は課されません。

・確定申告の期限から1カ月以内に自主的に期間後申告を行うこと
・過去5年以内に無申告加算税等のペナルティを受けたことがないこと
・期限後申告をした日のうちに延滞税を合わせて全額納付すること

延滞税はかかってしまいますが、万一期限に間に合わない場合は期限後「1カ月以内」に自主的に確定申告をするよう心がけましょう。

また、2月16日になってから準備しようと考えていると忘れてしまうこともあります。この記事を読まれた後すぐからでも、国税庁サイトの確定申告書等作成コーナーから確定申告書を作成したり、インターネットで申告できるe-Taxの事前準備に取りかかったりするのもおすすめです。

●早めに書類を揃えて準備をしましょう

確定申告をするためには、所得計算や所得控除を受けるためのさまざまな書類を準備しなければなりません。申告開始日の2月16日が来てから準備しようと思うと忘れてしまったり、3月15日までに書類が揃わず期限超過となってしまったりする可能性もあります。申告期限を過ぎると無申告加算税や延滞税がかかることもあります。確定申告の対象となる人は、、期限内にきちんと確定申告できるよう、できるだけ早めに準備されることをおすすめします。