「懲戒解雇」とは、労働者の問題行為が、企業の秩序に違反したことに対する制裁として行われる解雇のこと。「普通解雇・整理解雇・諭旨解雇・懲戒解雇」と4つある解雇の中で、最も重い処分です。ドラマやニュースなどでは度々聞かれますが、実際に懲戒解雇処分となった人はどのくらいいるのでしょうか。

そこで今回はマイナビニュース会員512人に「懲戒解雇」についてアンケート。これまで働いていた職場で、「懲戒解雇」になった人はいたか、また、どのような問題行為が原因であったのか聞いてみました。

  • これまでに職場で解雇処分をされた(仕事をクビになった)人を見たことがありますか?

Q.これまでに職場で解雇処分をされた(仕事をクビになった)人を見たことがありますか?

・ある……61.5%
・ない……38.5%

今回アンケートを行った512人のうち、「懲戒解雇となった人が身近にいた。見たことがある」と回答した人は約6割でした。2人に1人以上の割合で、「懲戒解雇」がとても身近であることがわかります。どのような理由で解雇になってしまったのでしょうか。

Q.どのような理由で解雇処分になったのか、具体的に教えてください

汚職に横領など「お金関連」

「少額ですが汚職して解雇になった社員がいましたよ!」(製造業/男性/50歳/千葉県)

「複数台のクルマ代金の使い込み。約数千万円」(自動車販売業/男性/52歳/奈良県)

「社員会の積立金の私的流用です。年2回の社員総会の委員を担っていた者がその積立金を横領していたことが発覚し懲戒解雇となりました」(コンビニ/男性/45歳/群馬県)

「顧客と組んで店の売上金を横領していたのが暴露された」(不動産業/男性/59歳/大阪府)

「ギャンブルで借金をして会社に取り立てが来てクビになった」(ホテル業/男性/50歳/静岡県)

解雇処分となった理由で多かったのは、お金に関することでした。立場を利用して積立金を使い込んだり、売上金をごまかして着服したことが明るみになってクビに。冷静に考えればバレないはずはないのですが、お金の魅力に取りつかれるうちに感覚が麻痺してしまったのかもしれません。

パワハラ、セクハラなどの「ハラスメント」

「職場の立場を利用した後輩へのハラスメント発言」(警備/男性/60歳/千葉県)

「部下にセクハラをした」(教育/男性/47歳/東京都)

「女性社員への度重なるハラスメント」(製造業/男性/59歳/大阪府)

「職場の懇親会で、女性社員の営業に「まくら営業してるんでしょ」って言って翌日解雇されました」(IT業界/男性/50歳/東京都)

「スタッフへのパワハラ。他スタッフからの要望より」(クリニック/女性/52歳/神奈川県)

部下や後輩に、指導やコミュニケーションという名目でハラスメントを繰り返す人も少なくありません。上司や先輩であるという立場を利用し、逃げ場のない中でハラスメントするのは最低ですね。「このくらい昔は普通だった」という声も聞こえてきそうですが、時代が変わったことを実感できていないのでしょうか。

盗みや痴漢、暴行行為などの「犯罪」

「テーマパークでロッカー荒らしをしてるのがわかった」(高圧ガス製造業/男性/53歳/大阪府)

「警備員が警備先のスーパーマーケットで弁当を盗み食いした。防犯カメラ映像で発覚」(警備会社/男性/60歳/福岡県)

「飲酒運転で人身事故を起こした」(金融関係/男性/50歳/長崎県)

「利用者に暴力行為をしていた職員がクビになった」(老人介護/男性/45歳/千葉県)

「個人情報漏洩」(システムエンジニア/男性/54歳/東京都)

「商業施設で痴漢行為。現行犯逮捕」(製造業/男性/44歳/神奈川県)

罪を犯したことが明るみになり、懲戒解雇となった例も多数。プライベートな場で犯した痴漢行為や飲酒運転だけでなく、仕事上の立場を悪用した盗撮や窃盗、個人情報の横流しも許されることではないですね。会社の信用も著しく低下するため、処分は免れないようです。

不倫やストーカーなど「男女関係」

「同じ会社で不倫してクビになった」(サービス業/女性/60歳/大阪府)

「所属長の妻と浮気」(福祉施設/男性/45歳/千葉県)

「職場の女子社員を片っ端から、繰り返しストーカーして、何回も捕まった」(ITサービス/女性/41歳/兵庫県)

「取引先と不倫をしていたのがばれた」(不動産業/女性/46歳/兵庫県)

「女性事務員に好意を寄せ過ぎて、危険な状態になった」(小売/男性/50歳/大阪府)

男女関係の中で目立ったのは「不倫」でした。同僚同士、上司と部下のみならず、取引先の人、上司の配偶者と……など、まるでドラマのようですね。しつこいつきまとい行為を理由に解雇となった人もいましたが、ストーカーされていた側は、ほっと胸をなでおろしたことでしょう。

まとめ

いろいろな懲戒解雇の理由が挙げられましたが、その中でも多かったのは「お金関連」「男女関係」でした。数千万と高額な金額を横領したり、取引先の人と不適切な関係になるなど大胆不敵なエピソードには驚かされます。どちらも、いつまでも隠し通せるものでなないし、発覚したら大変なことになるとわかっているはずなのに、気づいたら後戻りができないところまで踏み込んでしまっているのでしょうか。

今まで社内で築き上げてきた信用もなくなり、労働契約の解約により収入もストップ。退職金もなく、再就職で不利になるなど、懲戒解雇のデメリットははかりしれません。男女関係、お金関連だけでなく、懲戒解雇の理由はさまざま。対岸の火事ととらえず、常に身を引き締めておきたいものですね。

調査時期: 2022年11月11日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 512人
調査方法: インターネットログイン式アンケート