映画、ドラマ、舞台などぐんぐん活躍の場を広げ、本作では「すべてのキャストに対して、これまでのその人ならば『そんなことはしない、そんな口調は使わない』と感じるようなことにトライさせてくれる監督」という片山監督のもと母親役を演じるなど、吉岡は女優として常に新たな扉を開いてきた。2023年の1月には30歳となるが、20代最後の年は「お仕事もたくさんやらせていただいて、とても濃い1年でした。「とにかくいろいろなことをやってみよう!』という気持ちで過ごした1年」と充実感もいっぱい。

「2022年の最後に配信スタートするのが『ガンニバル』で、その流れを汲んで30代に突入する。いい流れだなと思います」と目尻を下げながら、「30代はこれまでやってきたことをより深掘りして、唯一無二の作品を残せるようにしていきたいです。これからも尊敬するクリエイターの方や役者さんと出会えるよう、自分自身も人間力をつけたいなと思っています」と意欲をみなぎらせる。

さらに「20代は明るくてキラキラした作品にも出演させていただきましたが、私自身、ダークでソリッドな作品も大好き。来年は『攻めているな』という印象が残るような作品にも挑戦したいです。攻めの30代!」とにっこり。

「以前は重たい役柄や作品をやると、その役と一緒に自分も傷ついたり、押しつぶされたり…」と身を削りながら作品と向き合うことで「体調を崩してしまうこともあった」という。しかし年々、仕事への取り組み方に変化が起きていると打ち明ける。「だんだん、スタミナや体力をつける方法がわかってきた。すると役の苦しさを理解した上で、その役を俯瞰で見ることもできるようになりました。これは年齢的なものもあるのかもしれません。役の抱えているものに負けずに、それを取り込んでいくという感覚で、これからもお芝居に向き合っていけたらと思っています」と話す表情からも、心身ともに清々しく女優業に打ち込んでいることが伝わってくる。

苦しい時期がありながらも、「20代で悩んでいたことも、地続きのものとして、今の自分を助けてくれているものに変わってきている実感があります。なんでも続けることってとても大事なんだなと思っています」と継続の重みを噛み締めた吉岡。「本作では母親役にチャレンジしましたが、そうやって年齢を重ねたからこそできる役もあるはず。これまでに培ったことを大切にしながらも、『今の自分にはどんな役ができるんだろう』と模索し続けて『新しいゾーンに入っていく』という意識を持っていたい。挑戦を忘れずにこれからも歩んでいきたいです」と力強く宣言していた。

ドラマ「ガンニバル」は12月28日よりディズニープラス「スター」にて独占配信がスタート。全7話で、配信初週には2話公開される。

■吉岡里帆
1993年1月15日生まれ、京都府出身。連続テレビ小説『あさが来た』(15年)、ドラマ『カルテット』(17年)などに出演し、注目を集める。主な近作にドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(18年)、『時効警察はじめました』(19年)、『レンアイ漫画家』(21年)、声の出演をした映画『空の青さを知る人よ』(同)など。19年公開の映画『パラレルワールド・ラブストーリー』『見えない目撃者』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2022年は映画『ホリック xxxHOLiC』『ハケンアニメ!』やドラマ『しずかちゃんとパパ』などに出演。『ハケンアニメ!』では、第45回山路ふみ子映画賞で女優賞を受賞した。2023年1月15日に芸能生活10周年、そして30歳を迎えることを記念してWアニバーサリー写真集『日日』を発売予定。

ヘアメイク:信沢 Hitoshi スタイリスト:圓子槙生