JR東日本は13日、新幹線の線路点検等における安全性、品質、生産性向上を目的とした線路のモニタリング技術の開発が完了したことを受け、新幹線専用の保守用車として「レールモニタリング車」「線路設備モニタリング車」の2種類を導入し、2023年度から順次、「スマートメンテナンス」を開始すると発表した。
新幹線の安全安定輸送において、線路の健全性を確認するため、技術者の目視による線路点検や検査が必要不可欠となっている。JR東日本は、これを装置によるモニタリングに置き換え、新しい仕事のしくみである「スマートメンテナンス」を実現し、線路点検等の安全性、品質、生産性向上を図ると同時に社員の働き方改革を推進するとしている。
「レールモニタリング車」は2023年度から導入予定。従来の約2倍の測定速度でレール状態を総合的にモニタリングする保守用車で、レール状態の測定速度としては国内最速という。超音波によるレール内部の傷の発見に加え、レール表面の凹凸や摩耗など、レール状態を総合的に把握できる。
「線路設備モニタリング車」は2024年度から導入予定。線路設備の状態についてモニタリングすることを目的とした保守用車で、線路設備の種類に応じて3種類の装置(分岐器モニタリング装置・軌道材料モニタリング装置・点群データ取得装置)を搭載し、線路点検や検査に活用される。新幹線全体の線路点検や検査にモニタリングデータを活用するしくみの実用化は国内初とのこと。
これらの車両を活用し、新幹線における「スマートメンテナンス」を開始する。高精度なデータ測定とデータ処理により、これまで技術者が実施してきた線路点検や検査、工事調査をスマート化(DX化)して業務全体の生産性向上を図り、より効果的な線路の修繕を実現する。
具体的には、技術者の目視による線路点検を約50%削減するとともに、検査を高頻度(最大12倍)に実施。そのビッグデータを分析することで、劣化予測の精度向上が可能となり、CBM(設備状態に応じて最適な時期に補修を行うメンテナンス手法)を実現する。なお、データ測定およびデータ処理はJR東日本グループの日本線路技術が担当する。