北条政子といえば、足利義政の正室・日野富子、豊臣秀吉の側室・淀殿と並ぶ“日本三大悪女”の1人とされているが、三谷氏は息子の頼家、実朝を相次いで暗殺されるという悲運に見舞われた政子について「本当に悪女だったのか?」と疑問に思い、本作での政子像を執筆したそうだ。小栗はこの悲劇について「義時は基本的に“姉の子殺し”に関わってしまったので、本当に申し訳ないと思っています」と詫びつつ、「でも、2人は将軍だったからどうにもならなかったかと……」と加える。

「そうした目に遭っても、政子はなんで普通にしていられるんだろうと思う瞬間がいっぱいありましたが、それが人間なのかなあと思ったりもします。どんなに深い悲しみに見舞われても、自分の人生を終わらせない限りは生きていかなきゃいけない。だから、悲しみや苦しみに蓋をしていく瞬間があるんだよなと。また、栄子ちゃんが演じているからか、政子って意外と明るいんです。けっこうえぐいことがいっぱい起きているのに、栄子ちゃんだからこそ、説得力を持って見せられたのではないかと思っています」

約1年半、座長を務めてきた小栗だが、相手役あっての義時だったと、共演者たちに心から感謝する。特に功労者として名を挙げるのが、小池と、義時の盟友・三浦義村役の山本耕史だ。

「2人とのシーンでは、自分が怖い芝居をしたり、拡大してキャラクターを見せたりする必要がなかったので。2人は『きっと旬くんはこんなふうに考えているんだろうな』ということをすごく理解してくれた上で、僕がキャラクターを表現するための的確なリアクションをしてくれました。こういう相手役とお芝居をすると、自分は無理しなくていいんだよなと思う瞬間が多々あり、本当に救われました」

残り2回。三谷氏は果たしてどんなドラマティックなフィナーレを用意したのか。また、義時はどんなふうに人生の幕を下ろすのか。最後までしっかりと見届けたい。

■小栗旬
1982年12月26日生まれ、東京都出身。98年、ドラマ『GTO』で連続ドラマレギュラーデビュー。03年、舞台『ハムレット』で蜷川幸雄演出の舞台に初出演し、蜷川作品の常連となる。主な出演作としてドラマ『花より男子』シリーズ(05~07)、映画『クローズZERO』シリーズ(07/09)、映画『銀魂』シリーズ(17、18)、『罪の声』(20)、ドラマ『日本沈没-希望のひと-』(21)など。また主演舞台『ジョン王』(東京・Bunkamuraシアターコクーン他)が12月26日より幕を開ける。

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