俳優の岡田将生が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『ザ・トラベルナース』(毎週木曜21:00~※初回は10分拡大スペシャル)がきょう20日にスタートする。同作は『ドクターX~外科医・大門未知子~』生みの親・中園ミホ氏が脚本を手掛ける、看護の世界に焦点を当てた痛快医療ドラマ。スーツケースを手に街を渡り歩き看護に従事する、優れた資格を持ったフリーランス看護師=トラベルナース・那須田歩を岡田が、柔らかい物腰ながらここぞという場面では痛烈な一言を放つ謎多きスーパーナース・九鬼静を中井が演じる。

今回は岡田に、昨年ゲスト出演して感じた『ドクターX』主演・米倉涼子の魅力や、大切にしている言葉、3月にアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』について話を聞いた。

  • 俳優の岡田将生 撮影:宮田浩史

    俳優の岡田将生 撮影:宮田浩史

――『ドクターX~外科医・大門未知子~』の中園ミホさんが脚本を担当されていて、ドクターXファンの方も今作を楽しみにしていらっしゃると思います。岡田さんは昨年放送のシーズン7第1話にゲストとして出演されましたが、そのとき感じたドクターXの魅力を教えてください。

主演の米倉涼子さんが本当にかっこよかったです。現場を引っ張っていく求心力を目の当たりにして、このタイミングでまた米倉さんとお仕事ができたことは今後の自分のためにも幸運だったと感じました。米倉さんとは10代の頃にもご一緒させていただいたことがあるので、少し大人になった姿を見せられたらと現場に入りましたが、やはり圧倒されましたね。キャストの皆さんも大ベテランの方々ばかりなので「すごい現場だな」と思っているうちに撮影が終わってしまいました。

――米倉さんとはどんなお話をされましたか。

米倉さんが僕の出演作について「どうだったの?」と聞いてくれたりして、いろんな現場の話をしました。たくさんの作品をチェックして、いろんなことに興味を持って追求と挑戦を続けられている米倉さんの“すごさ”は、10代、20代のときよりも、30代の今、より一層現実味を持って感じられた気がします。

――今作で主演を務めるにあたり、脚本の中園さんとはどんなお話をされましたか。

内山聖子エグゼクティブプロデューサーを交えて初めてお会いしたのですが、まずは自己紹介をしながら今自分が感じていることや仕事とどう向き合っているかというお話をさせていただきました。企画の段階からプロデューサーや脚本家さんとお会いするのは初めてだったので、より一層力が入るきっかけになったいい時間でした。

――「つい本音を吐露してしまったときも真剣に耳を傾けてくださり、恥ずかしく思いながら帰った」というコメントも出されていましたが、どんな本音を話したんでしょうか。

恥ずかしいので言えないんです(笑)。誰かに本音を話せる瞬間って意外と少ないじゃないですか。だけど中園さんと内山さんには吐露してしまったので、今後も嘘なく付き合っていければと。内山さんとは16歳の頃からご一緒しているので、またお仕事ができてうれしかったですし、だからこそ口が滑るように素直な気持ちをさらっと言ってしまったんだと思います。

――今作にはナイチンゲールの名言が登場しますが、岡田さんが大事にしている言葉はありますか。

一番大事にしているのは「全員に好かれなくてもいい」という思いです。以前はいろんな人に知ってもらいたい、好きでいてほしいと思っていたのですが、ここ4~5年くらいで、1人でも分かってくれる人を増やしていければいいのかなと考えが変わりました。普段から全員に分かってもらうのはとても難しいと感じながら仕事をしているんですけど……そう思いませんか?(笑)

  • 『ザ・トラベルナース』第1話より テレビ朝日提供

――そうですね(笑)。きっと岡田さんのようにたくさんの方と関わるお仕事だと、よりそう感じられるのかもしれません。昨年8月に公開された岡田さんの出演作『ドライブ・マイ・カー』が、3月にアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞して半年ほど経ちますが、その反響を肌で感じることはありますか。

こうやって質問していただく瞬間ですね(笑)。

――インタビューでも聞かれることが増えましたか。

実はそんなこともなく、SNSをやっていないからあまりそういった反響が自分の耳に入ってこないんです。ただ、今でも連絡を取っている映画チームの方たちから、いろんな方が見てくださっているというお話は聞きました。公開から1年くらいずっと映画館で上映されるというのも滅多にないことなので、映画館の方々にも感謝しています。ロングランの作品に携われたことがうれしいです。

――まだコロナ禍が続いていますが、医療をテーマにしたドラマを届けることへの思いを教えてください。

最前線で戦ってくださっている医療従事者の方々を本当にリスペクトしていますし、だからこそ予防だったり、今自分ができることはちゃんとしているつもりです。専門的な職業を取り扱うドラマやスポーツを題材にした作品は、リアリティを追求しないと説得力がなくなってしまう。だから貴一さんとも、注射をする場面やベッドシーツを変える場面で、作り物感をなるべくなくしていきたいねと話しています。ナースの方々も見てくださると思うので、「分かる分かる」と共感を得られるシーンをどんどん入れて、楽しんでもらえる作品になればいいなと思っています。

――演じることで感じたナースの大変さを教えてください。

とにかく体力がいる仕事ですよね。たくさんの患者さんのことを正確に把握して向き合わなきゃいけないというのと、医師より患者さんと接する時間が長い分関わりも深くなりますし、患者さんのご家族もいらっしゃって。メンタル面でも大変な職業だなと演じていて改めて感じました。

■岡田将生
1989年8月15日生まれ、東京都出身。2006年にデビュー。近年の主な出演作に映画『アントキノイノチ』(11年)、『宇宙兄弟』(12年)、『何者』(16年)など。2021年は『さんかく窓の外側は夜』、『Arc アーク』、『ドライブ・マイ・カー』、『CUBE 一度入ったら、最後』、『聖地X』と5本の映画のほか、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』、舞台『ガラスの動物園』などにも出演した。ナレーションを務めるNHK Eテレ『SWITCHインタビュー 達人達』が放送中。公開待機作に『1秒先の彼』(2023年夏公開予定)がある。
スタイリスト:大石裕介、ヘアメイク:小林麗子