日本テレビ系ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(毎週土曜22:00~)で、主演の玉森裕太(Kis-My-Ft2)と同期の研修医・谷川聖人を演じるYU。台湾の人気ドラマ『We Best Love 永遠の1位/2位の反撃』(21年)で、初主演にしてドラマデビュー、同作の挿入歌も担当するなどミュージシャンとしても活動し、アジア圏で人気を集める若手俳優が、今回、日本のドラマ初出演を果たした。

そこで今作に臨む心境や、念願だったという日本のドラマ出演に至るまでの道のり、さらには今後の展望まで、話を聞いてみた――。

『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』に出演するYU

『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』に出演するYU

■緊張の中、中国語で話しかけてくれた玉森裕太

クランクイン当初は「ガチガチでした」というが、「現場で皆さんと話していくうちに、だんだん緊張が解けて、楽しくやらせてもらっています」というYU。玉森は、緊張している初対面のYUに中国語で話しかけてくれたそうで、「最初のご挨拶で空気が和みました。中国語をずっと勉強されているみたいで、発音もきれいでした」と振り返る。

台湾は、日本と違って医療ドラマが少ないのだそう。「医療ミステリーっていうのを僕はあまり見たことがなかったので、そこが新鮮だなと思ったのが最初の印象です」といい、実際に演じてみて、「(白衣の)衣装を着るだけでも、すごく新鮮ですよね」と気が引き締まった。

研修医の役作りをするにあたり、YouTubeに上がっている現役医師による“あるある”を視聴。そこには、「『やっぱり外科の人は焼き肉食べに行くんだ』とか、『食事をとる時間がないんだ』とか、リアルなところが分かりました」と、ドラマの中で描かれる日常があったという。

演じる役柄は、上昇志向が強くプライドも高いエリート。“嫌なヤツ”に映らないように、「ツンツンしすぎないように気をつけてます」と意識しながら、「同期には見せない表情やしぐさが最初の現場であったので、『こういう表情もちゃんとするんだ』と印象深かったです」と客観的に感じ取った。

研修医という役と、芸能活動を始めたばかりの自分は、“駆け出し”という点で共通項があるが、意識高めのエリートに「なかなか共感する部分はないですね(笑)」とのこと。これまでの撮影を振り返って、「第1話のコード・ブルー(=患者の緊急事態)があってめちゃくちゃ走ったシーンが印象深いです。エキストラの方がたくさんいて、扉からバーンと出るところは、迫力がありました(笑)」と楽しんでいる様子だ。

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■ミュージシャンの活動が演技に生きること

高校時代から芸能界に興味を持ち、大学進学を機に台湾へ移住。モデルの活動をする中で、イベント「campus collection」で、現在所属する台湾の芸能事務所の関係者が見たことが縁となり、同事務所の研修生となった。

当初はミュージシャンになるつもりもなく、芝居のレッスンを受けていたが、音楽に携わる機会を何度か経験するうちに「自分の中で音楽に対する思いや熱意が止まらなくなって、事務所の方に『音楽をやりたいんです』と話をさせていただいたら、『じゃあやってみようか』という感じで、最初はミュージシャンとしてデビューさせていただきました」と、想定外の船出となった。

ミュージシャンとしての活動が、俳優業に生きることもあるという。

「僕は作詞もしてるんですけど、わりと自分のことを歌詞に書くタイプで、この作業をするときは考えたくないことも考えるときがあったりするんです。そのときに、やっぱり感情がものすごく乗るので、その過程が演技に生きてほしいなと思ってますし、実際に生きてるなと思う部分もあります」

台湾で活動する中で、いつか日本でも仕事をしたいという思いを持っていただけに、今回のドラマオファーには「素直にうれしかったです。『本当かな?』『騙されたんじゃないか?』とも思いました(笑)」と回想。

台湾のドラマの撮影現場の様子は「わりと陽気にやってますね」というが、日本においては「きっちりした雰囲気と、言語の問題でストレスフリーになります。日本語でお仕事できると、より共演者の方やスタッフさんとコミュニケーションが密に取れます」とメリットを実感した。

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■ディーン・フジオカを意識「同じステージに立ちたい」

アジアを舞台にグローバルに活躍し、ミュージシャンと俳優の顔を持つ存在と言えば、同じ事務所の先輩であるディーン・フジオカが挙げられる。YUは「台湾に行ったときからずっとディーンさんは見てますし、同じステージに立ちたいなという気持ちはもちろんあります」と意識していることを話し、ディーンのように主演ドラマで主題歌を歌うというのも「できたら最高ですよね!」と目を輝かせる。

その上で、「コロナがだんだん緩和されてきて、やっと日本に来られて、この作品に携わることができ、すごくうれしいですし、これからもっと日本でたくさんの作品に関わっていきたいです。もちろん、台湾でもいろんな作品に出たいと思いますが、日本の作品をアジアに持っていくというのも僕ならではの活動としてできたらいいなと思います」と抱負を語ってくれた。

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●YU
1995年生まれ、愛知県出身。大学進学を機に、台湾へ移住し、18年に台湾の芸能事務所の研修生に。語学・芝居・音楽を学び、『We Best Love 永遠の1位/2位の反撃』(21年)で、初主演にしてドラマデビュー。同作の挿入歌も担当し、ミュージシャンとしても活動している。21年8月から日本での活動も開始。22年10月期ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ)で日本のドラマ初出演、初の日本楽曲「心鏡」も配信中。