青山商事が展開するザ・スーツカンパニーは、新コンセプト形態となるウィジェット型店舗「SUIT SQUARE」を10月7日より「THE SUIT COMPANY 大宮西口店」に初導入した。

  • ウィジェット型店舗「SUIT SQUARE」を大宮西口に新導入

スマホのウィジェットのように地域に合わせて変化する「SUIT SQUARE」

ザ・スーツカンパニーでは、これまでオンラインとオフラインを融合したOMO型のブランドコンテンツミックス店舗「TSC SQUARE」を推し進めており、現在は6店舗を展開。売り上げ計画比は既存店と比較しても好調に推移しており、既存店では獲得しにくい中間層やオーダー利用者を獲得できているという。

  • 青山商事株式会社 執行役員 TSC事業本部長 河野克彦氏

また最近では、コロナ禍も落ち着きつつあり、一時はステイホームなどの影響で低迷していたスーツ需要も回復傾向にある。特にオーダースーツは20代や30代の若年層の構成比が高くなっており、全体の6割ほどが若年層となっているという。

コロナ禍が落ち着きを見せ、スーツ需要も回復。特に若年層のオーダースーツが伸びている。オーダー専門ブランド「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE‘S」は、サービス導入う店舗が1年間に8店舗増加しており、現在は22店舗に拡大。売り上げも堅調に増加している。これまでのような”量”を必要とする消費は減少し、”質”を重視する時代へと変化したことも影響していると考えられる。また、こだわりを持って選ぶ楽しさや、SDGsの浸透により、良いものを長く着用したいというニーズも高まっているという。

今回導入される新コンセプト形態「SUIT SQUARE」は、働き方やライフスタイルの変化やビジネスウェアの多様化に対応するため、「THE SUIT COMPANY」、「WHITE THE SUIT COMPANY」、「UNIVERSAL LANGUAGE」、「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE‘S」の4ブランドを1店舗に集約。さらに、スマートフォンなどのウィジェットのように地域に合わせたサービスを提供していくという。

  • 「SUIT SQUARE」はスマホのウィジェットのように業態可変の店舗

大宮西口店では、多くのビジネスパーソンが利用するターミナル駅であることから、店内にWi-Fi環境を整えた無料のワークスペースが初めて設置されている。今後展開される店舗では、店舗の広さ、立地特性、客層などに合わせ、スマホのウィジェットを入れ替えるようにさまざまなサービスを変化させていく予定とのことだった。

  • 大宮西口店には無料のワークスペースを構える

  • 大宮西口店の中田倭(やまと)店長

さらに、店内にはデジタルとリアルを融合させた「デジラボ試着室」を設置。タッチパネル式の大型サイネージやタブレットを通じてECサイトや全国の店舗在庫と連動しており、リアル店舗ならではの接客サポートとデジタル上の豊富な在庫量によるコーディネートが可能となり、ブランドの垣根を越えた提案ができるようになっている。

ユーザーや市場の声を反映したビジネススタイルを提案

2021年から展開しているユーザーの声をもとに商品開発するプライベートブランド「VOICE」からは、ビジネスリュック「ギュッ! ク」を発売する。テレワークなどによりオフィス以外でも働くことが増えた昨今、PCや資料などを多く持ち運ぶ機会も増加し、女性にもリュックスタイルのニーズが高まっている。そこでアンケートの声などを参考に、PCやガジェット類はもちろん、お弁当や水筒なども入る大容量リュックを企画。重くなりすぎないように軽量素材を選定しつつ、きちんと見えるような合皮素材をチョイスした。合皮は雨にも強く、電車などでは持ち手を伸ばしてトートバッグのように肩掛けスタイルにも変更できる。ビジネスリュック「ギュッ! ク」は、10月6日よりEC先行予約販売、11月1日より店頭販売する。

  • ビジネスリュック「ギュッ! ク」は、大容量でトートバックのように持つこともできる

記者発表の中では、最近のトレンドを踏まえたビジネスウェアスタイルの解説も行われた。近年はテレワーク、オフィス出勤、シェアオフィスなど、シーンに合わせたスタイルが多様に求められる時代となり、画一的な装いだけではなくなっているという。

  • 青山商事株式会社 TSC商品部長 永田明義氏

メンズのスタンダードなクラシックスタイルにおいては、これまではタイトなスタイルが主流だったが、肩パットなども無くしややゆとりあるデザインになっている。また、アクティブに動けるスタイルでは、脱ウール素材によるイージーケアやウォッシャブルなど、機能性が重視されている。そして、新たな提案としては流行のビッグシルエットを取り入れた。しかしながら、ただ大きくしただけでなく、クラシックスタイルでのノウハウを活かしたシルエットとなっているという。

  • メンズではゆとりのあるシルエットや機能性ウェアを提案

レディースにおいても、クラシックスタイルではタイトからやや緩めのスタイルとなっている。程よい柔らかさを持たせ、色柄にもトレンドのパープルなども展開した。オフィスカジュアルスタイルでは、パンツにプリーツを入れてこちらもゆとりのあるシルエットにし、上品でありながらも白いボタンなどでカジュアル感も演出。足元もパンプスではなくスニーカーを合わせている。そして新提案のニュールックでは、ジャケット非着用のブラウスとスカートのスタイルを提案。新しいビジネススタイルにも寄り添っていきたいとした。

  • レディースではトレンドカラーやジャケットではないビジネススタイルも提案

また、オンとオフ、メンズとレディースといった概念を取り払い、ボーダレスなスタイルを提案するワーカブルウェア「RAXA playful」を2022SSより展開。ジェンダーレスファッションを取り入れたビジネスウェアを展開している。

実際にオーダースーツを体験

内覧会に合わせ、オーダースーツの体験もできるとのことで、筆者も実際に「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE‘S」でスーツを作ってもらった。

まずは、豊富な生地サンプルから気に入った生地を選んでから体の採寸。テキパキと測ってもらったあと、いくつかのサンプルを着用し、細かなサイズ調整を行った。どこを絞ればシルエットがきれいに見えるか、着心地と相談しながら胴回りや袖丈などを微調整。スラックスも裾上げのラインだけでなく、太ももやふくらはぎ部分の太さも細かに増減できるため、体型に合ったスッキリしたシルエットを作ることができるという。

サイズが決まったら、続いてジャケットやスラックスのスタイルをシングル・ダブルから選んだり、襟の形、裏地の素材や範囲、ポケットのスタイル、袖のボタンの数まで、ひとつひとつ決めていく。

ファイルで確認しながら、細かいところまで自分好みにオーダーしていく

正直なところ、筆者もさほどスーツに詳しくないので、どれを選ぶとどのように見えるのかが分からなかったが、どういう部分に”オーダーらしさ”が出るかのかなど、いろいろと細かく説明してくれるので安心して選択することができた。既製服を試着するだけでは分からない、スーツ選びのポイントをしっかりと押さえながら相談できるのも嬉しいポイント。オーダースーツというと敷居の高いイメージもあったが、気楽さもありながら、しっかりとした品質で自分の体にフィットしたスーツを購入できるのは非常にありがたいと感じた。

ザ・スーツカンパニーでは現在、メインアイテムであるスーツに改めてフォーカスし、創業当初のブランドカラーであるネイビーブルーをキャッチコピーにしたキャンペーンを9月22日より展開中。さらに、9月29日からは成人式需要を見込んだ「成人引」キャンペーンも実施している。プロモーション動画では、錦鯉の渡辺隆さんが父親役で出演しており、オーダースーツを思い起こさせるようなストーリーとなっている。

  • さまざまなキャンペーンを展開中

オーダースーツをはじめ、さまざまなビジネススタイルを提案していく「SUIT SQUARE」は、今後全店舗を対象に、順次リニューアルを検討。ウィジェットには無料ワークスペースのほか、靴磨きなども検討されているとのことで、ビジネスパーソンがスタイルを整える新たな拠点となりそうだ。