ぐるなびは9月8日、2022年の「トレンド鍋」を発表した。「トレンド鍋」とは、ぐるなびのビッグデータや会員へのアンケート調査などをもとに選定した、その年のトレンドになりそうな鍋料理のことだ。2009年から毎年発表を行っており、今年で14回目となる。

これまでに「トマト鍋」「しびれ鍋」「まるごと鍋」といった「トレンド鍋」が誕生してきたが、今年はどのような鍋がトレンドとなるのだろうか。

2022年の「トレンド鍋」は「平成リバイバル鍋」

  • 左から、ぐるなび大学 小崎俊幸氏、平成文化研究家 山下メロ氏、管理栄養士/料理・菓子研究家 Shie氏

昨年は、食品ロス削減などへの意識の高まりなどから、食材をまるごと使用した「まるごと鍋」が「トレンド鍋」に選出された。そして今回、2022年の「トレンド鍋」として選ばれたのが「平成リバイバル鍋」だ。

平成の時代、1990年代には「もつ鍋」や「キムチ・チゲ鍋」、2000年代には「B級ご当地グルメ鍋」や「豆乳鍋」「塩こうじ鍋」、2010年代には「トマト鍋」や「しびれ鍋」などが流行した。この頃に生まれた鍋は、一時の流行にとどまらず、いまやすっかり定番となったものも多い。

今年の「トレンド鍋」に選ばれた「平成リバイバル鍋」とは、平成に流行し定番となった「鍋」に“今らしさ”を感じさせる要素を取り入れた“リバイバル(復活)”鍋のこと。「キムチ・チゲ鍋」や「豆乳鍋」といった平成に生まれた鍋を当時のままの形で食べるのではなく、食材や見た目、食べ方を見直し、令和流にアップデートした鍋なのだ。

背景に「食のレトロブーム」や物価高騰に伴う「定番回帰」

  • ぐるなび大学 インストラクター 小崎俊幸氏

ぐるなび大学 小崎俊幸氏は、「平成リバイバル鍋」の選定理由として、以下の3つを挙げている。

1. 食のレトロブーム

若者を中心とした昭和ブームが、現在では平成レトロブームに移行。外食シーンでも、ネオン酒場や横丁といったレトロな飲食店などに人気が集まっている。

ぐるなびユーザーによる「平成」の検索指数は、2019年からの3年間で約3.6倍に伸長。レトロな店舗やメニューに注目するユーザーが増えている。

2. 食材高騰による定番回帰

食材や光熱費が高騰するなど、物価高により消費者の節約志向が高まる中、安定した価格や味わいを求めて「定番」への人気が高まることが予想される。

3. 3年ぶりの忘年会復活への期待

行動制限の緩和に伴い、3年ぶりの忘年会復活が期待されている。今年7月にぐるなび会員を対象に実施したアンケートでは、「仕事」では40.7%、「プライベート」では54.2%の人に忘年会への参加意向があることがわかっている。なかでも、20代の参加意向が高い傾向にある。

「平成リバイバル鍋」レシピのポイントは?

「平成に流行し定番となった鍋に“今らしさ”を感じさせる要素を取り入れた“リバイバル”鍋」といっても、なかなか具体的なイメージが湧きにくいのではないだろうか。「平成リバイバル鍋」においては、平成の時代に生まれた定番の鍋に、今のトレンドに合わせたアレンジを加えることがより一層の魅力を引き出すポイントとなる。

ぐるなび会員を対象とした調査では、「“平成”でイメージする鍋の種類」として、「キムチ・チゲ鍋」「豆乳鍋」「モツ鍋」が上位3位に挙がっており、これらをいかに今らしくアレンジできるかが腕の見せどころだ。今回の発表会では、管理栄養士/料理・菓子研究家 Shie氏が考案した2つのレシピが披露された。

90年代を代表するもつ鍋の進化系「彩り串もつ鍋」

  • 彩り串もつ鍋

同じ鍋を囲みながらも、串に刺すことで感染対策や取り分けやすさにも配慮したもつ鍋。通常のもつ鍋よりも食材数を多くすることで彩りをプラスし、こってりとしたもつ鍋をヘルシーにアレンジしている。

定番キムチ鍋を映えチェンジ「クリームチゲ鍋」

  • クリームチゲ鍋

ハイカロリーに見えるが、実は低カロリーの豆乳で作ったホイップをたっぷりのせたクリームチゲ鍋。豆乳ホイップがコクと柔らかな口当たりを与えつつ、映える見た目に仕上げている。

上記2つのレシピは、いずれも平成に生まれた定番の鍋をベースにしながらも、SNS時代らしいビジュアルとヘルシーさを兼ね備えている。「モツ鍋」や「キムチ・チゲ鍋」を食べ慣れた人でも、新鮮な驚きが味わえそうだ。

75%が「平成リバイバル鍋™を食べてみたい」と回答

懐かしいのに新しい「平成リバイバル鍋」。ぐるなびユーザーを対象とした調査では、75%が「平成リバイバル鍋」を「食べてみたい」「機会があれば食べてみたい」と回答している。

「平成リバイバル鍋を誰と楽しみたいですか」という質問に対しては、「家族や親戚との普段の食事(23.7%)」「友人・知人との飲み会や宴会(23.0%)」「友人・知人との普段の食事(17.6%)」「職場での飲み会や宴会(15.9%)」が回答の上位を占めた。

注目は、昨年の「トレンド鍋」調査と比較すると、今年は「家族や親戚との普段の食事」が23.7ポイント下落している一方で、「友人・知人との飲み会や宴会(+5.0ポイント)」「職場での飲み会や宴会(+7.5ポイント)」の回答割合が増えていることだ。コロナ前のような大宴会とはいかないまでも、今冬は身近な人との小規模な宴会が徐々に復活しそうな機運が見て取れる。

今年の冬は、家族や友人、仕事仲間といった身近な人々と、楽しく鍋を囲める時間が持てることを願いたいものだ。

※「トレンド鍋」はぐるなびの商標。