“感動を未来に”をテーマにさまざまな企画・イベントにチャレンジする合同会社プレフィスと、“人とバーチャルを繋ぐ”をテーマに株式会社三五屋が参画する山葵音楽学校プロジェクトが、2022年9月21日・22日に、声優とバーチャルタレントが共演する朗読劇『シンクロ』を開催。
本朗読劇は、作曲家・映像プロデューサーの姉田ウ夢ヤ氏が自身のYouTubeチャンネルで展開するWebアニメ『シンクロ』が原作。脚本・演出家の冨江洋平氏がWebアニメのストーリーを再編し、朗読劇として披露される。従来の文字で情景を伝える「読み聞かせ」の朗読劇とは一線を画す作品創りで、「朗読」「ライブ」「3DCG映像」「特殊演出」の相乗効果を楽しめる新たなエンターテインメントを目指しているとのこと。今回は、原作者の姉田ウ夢ヤ氏と朗読劇に出演する声優のひとり・平山笑美のインタビューが到着した。
●歌が通信システムになったら……
──本朗読劇は姉田さんのYouTubeチャンネルにて展開されているWebショートアニメが原作です。姉田さんは作曲家として活動されていますが、本作を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
姉田 私は作曲家として、色々な作品やアーティストの方の曲を書いてきました。その中のひとつとして『マクロスΔ』があるのですが、あの世界観にとても刺激を受けたんです。『マクロス』シリーズは「ロボット」と「歌」という、一見すると別の世界を上手く融合させていると思うんですよ。私も音楽に関わる仕事をしているひとりとして、音楽と何かを融合させた物語を描けないかなと思ったのが、そもそもの始まりなんです。
──ということは、音楽が作品のテーマにもなっている。
姉田 そうですね。『シンクロ』は、歌を通信技術として使うとどうなるのか、ということを描いた物語です。『マクロス』って、戦場でアイドルソングが流れるというミスマッチも面白さのひとつだと思うんです。『シンクロ』でも同じように、歌が通信のシステムだと決めておけば面白いギャップを生み出せるんじゃないかと思いまして。例えば、すごくかわいい曲なんだけども、実はその歌には軍事機密が載っているとか。そういう、きな臭い世界で展開される物語になっています。
──平山さんは『シンクロ』の中核を担うキャラクターを演じていらっしゃいます。本作に触れたときの印象を教えてください。
平山 ちょっとダークで不思議な世界観だと思いました。また、私はもともと姉田さんの作る音楽が大好きだったので、それが物語と融合しているのがとても印象的で。今後の展開もすごく楽しみなんです。
──平山さんの起用は姉田さんの希望だったとお聞きしました。きっかけは何だったのでしょうか?
姉田 以前、『拡張少女系トライナリー』という作品に楽曲を提供したことがあるんです。その作品に平山さんが出演されていて、ユニットメンバーのひとりとして歌唱もされていました。そのユニットで歌唱されている平山さんの歌声を聞いた瞬間、「この人はすごいな」と衝撃を受けたんです。それから、「いつか平山さんに楽曲を提供したい」と思うようになりまして。本作を作ると決めたとき、すぐ平山さんにお声がけしました。
──平山さんの歌声に導かれた。
姉田 おっしゃる通りです。Webアニメで展開している『シンクロ』のエピソード0で「Awaken」という劇中歌が流れるのですが、この曲は平山さんの歌声をイメージして作りました。平山さんは歌い上げる声が特にすばらしいので、その魅力が出せるようにと意識した一曲です。実際に歌っていただいて、やはり間違いなかったなと思いました。歌だけでなく、演技の面も素晴らしい。すごいお力をお持ちだと改めて感じています。
平山 ありがとうございます! 今までこういう起用の経緯についてしっかりと聞いたことがなかったので、今めちゃくちゃ恥ずかしいです(笑)。ちゃんとしなくちゃいけないと気が引き締まりました。歌の修業をするため、山にこもります(笑)!
●新しいエンタメが生まれる予感
──Webショートアニメとして展開していた『シンクロ』。この度、声優の方々と等身大のバーチャルタレントさんが共演するという新しいスタイルの朗読劇として公演が開催されます。
平山 すごく面白そうですよね。しかも、今回はモノリスというシステムを使って、舞台上にバーチャルタレントの方が登場して一緒に朗読をします。バーチャルタレントの方が声で参加するということはこれまでの朗読劇でもあったかもしれませんが、同じ舞台上に声優とバーチャルタレントがいるというのは、恐らく初めてなんじゃないかな? 新しいエンタメが生まれるような予感がして、今から本番が楽しみです。
姉田 私は原案・音楽とCGまわりの映像担当で本朗読劇に関わります。『シンクロ』は、Webショートアニメの頃から一話につき必ず1曲の歌を付けるくらい音楽にこだわっていますので、今回の朗読劇でもそこは期待していただければと思います。平山さんはもちろん、朗読劇から新しく参加するキャストの渡部恵子さん、小原莉子さんも歌唱しますので、楽しみにしていてください。
──姉田さんのYouTubeでは、平山さんが歌唱される新たな楽曲「Liberty」のレコーディング風景も公開されていました。
平山 姉田さんの楽曲って、どれも難しいんですよね。だからこそ挑戦し甲斐もあって。この曲も「絶対に歌いこなしたい」という気持ちでレコーディングしました。
姉田 今回の楽曲は、BPMが一定ではなく、テンポランダムなんですよ。生演奏のライブって、テンポが揺れるじゃないですか。それをデジタルの世界でも表現したくて、こういう作り方の曲にしました。三拍子・四拍子と拍子も入り乱れて、非常に歌いこなすのが難しいと思います。
──それでも、平山さんなら歌えると思って楽曲を作った。
姉田 おっしゃる通りです! しかも今回は平山さんに詞を書いてもらっているので、そういう点でも非常に光栄な一曲になりました。
平山 責任重大……! しっかり歌わなきゃ。
──今回の朗読劇では、生歌も披露される?
姉田 はい。ここではまだ何を歌うのかは伏せておきますが、新曲を含めて披露する予定です。平山さんはじめ、素晴らしいボーカリストの方が集まりました。来てくださる方々がどういう反応をしてくれるのか、今から楽しみですね。
●音楽を遊んでいきたい
──新たな取り組みが行われる今回の朗読劇。稽古も始まったばかりとのことですが、おふたりが楽しみにしていることを教えてください。
平山 バーチャルタレントの方々との共演によって、いつもの朗読劇とは違った見え方になると思うので、そこは出演者のひとりとしても期待しています。また、『シンクロ』は歌が通信技術として使われている世界なので、そういうシチュエーションを背景に歌うというのも楽しみですね。ライブでもない、ミュージカルでもない歌での表現になると思うので、みなさんにも新鮮な世界を堪能していただけるんじゃないかな。
姉田 バーチャルタレントの方がその姿で登場して演技するというのを、非常に楽しみにしています。未知の取り組みなので、それがどういう結果になるのか。今も手探りで、自分ひとりでは抱えきれない問題もたくさんありますが、それをクリアして、みなさんに素晴らしいものを見せられたら、と思っています。平山さん・渡部さん・小原さんのほか、歌唱しないキャストとしてVTuberの今羽にこさん、Wキャストとして詩月かりんさんとSHOWROOMオーディションでグランプリに選ばれた音咲のり子さんも出演されますので、みなさんが紡ぎ出す物語に期待してください。
──本作のテーマである「音楽」「歌」をおふたりはどういう存在と捉えているのか教えてください。
平山 歌は。デビュー当時からすごく関わりの深いものです。色々な場面で歌ってきましたが、ダイレクトに聞いている方々に気持ちが伝えられるものだなと、ここ最近ステージで歌っていて、改めて感じるようになりました。私にとって音楽は、生活の一部です。私が発信する音楽がみなさんの生活の一部にもなったらいいなという気持ちで、これからも歌っていきたいと思っています。
姉田 音楽は本当に長く存在してきたものですが、特に近年は音楽の楽しみ方や提供のされ方が多種多様になってきました。例えば長さ。YouTubeやTikTokで曲の一部分がバズることがあるじゃないですか。私たちが作る音楽は5分前後の尺で完結するものが多いですが、受け取り側はそういう風には捉えていない時代なんですよね。なので、私も固定概念にとらわれず、音楽を遊んでいきたいと思っています。そのひとつの取り組みが『シンクロ』。アニメや朗読劇と組み合わせることで、色々な方向から音楽を楽しんでもらいたいと思っています。単に音楽を作るだけじゃない、色々な楽しみ方を考えて、提供していきたいですね。
●プロフィール
姉田ウ夢ヤ(あねたうむや)。作詞・作曲家。TVアニメ『マクロスΔ』挿入歌「恋!ハレイション THE WAR」や「不確定性☆COSMIC MOVEMENT」、『アズールレーン』キャラクターソング「ニアー・ユアー・サイド」など数々の楽曲を手掛ける
平山笑美(ひらやまえみ)。声優として活動。主な出演作は『アイドルマスター ミリオンライブ!』北上麗花役、『拡張少女系トライナリー』卯月神楽役、『ダヤンとジタン』ジタン役、『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』合歓垣フブキ役など
撮影:大塚素久(SYASYA)
●朗読劇『シンクロ』公演概要
■開催日:2022年9月21日・22日
■開催場所:野方区民ホールWIZ
■出演者:
・平山笑美
・小原莉子
・渡部恵子
・九条林檎
・今羽にこ
・詩月かりん(9月22日13時・18時の公演に出演)
・音咲のり子(9月21日18時の公演に出演)
・篠原夢
※詩月かりん、音咲のり子は、Wキャスト
※篠原夢は、声のみの出演
■製作スタッフ
・原作・楽曲:姉田ウ夢ヤ
・脚本・演出:冨江洋平
・制作:OFFICE54
・協賛:株式会社三五屋、山葵音楽学校
・主催:合同会社プレフィス