UPDATERのWell-being tech事業「みんなエアー」はこのほど、大企業のシングル介護者への対応に関する実態調査を実施し、結果を公表した。

  • 「大企業のシングル介護者への対応に関する実態調査」を実施

  • 調査サマリー

同調査は、8月30日に開催される『みんなの働き方EXPO』でのセッションテーマの一つである「誰も取り残さない働き方〜シングル育児とシングル介護」に関する緊急調査として実施したもの。

調査期間は、2022年8月9日〜8月12日。従業員数1,000名以上の企業の人事担当者102名を対象に、IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査にて実施した。なお「シングル介護」とは、未婚・離婚などの独身者、兄弟の有無にかかわらず「一人」=「シングル」で介護の責務を担うことを指す。

  • 「シングル介護」への支援の重要性を7割以上が認識

「Q1.お勤め先では、従業員の『シングル介護』への支援に対して重要性が高まっていると認識していますか」(n=102)と質問したところ、「十分に認識している」が41.2%、「やや認識している」が29.4%という回答となった。

  • 一方で、約3割の企業では「シングル介護」に対する支援体制は整備されていない

「Q2.お勤め先では、従業員の『シングル介護』に対する支援体制は整備されていますか。法律で定められている介護休業制度は除いてお答えください」(n=102)と聞いたところ、「整備されていない」が28.4%となった。

  • シングル介護者への支援は「勤務時間の短縮」が83.9%で最多

前問で「十分に整備されている」「やや整備されている」と回答した人に「Q3.『シングル介護』に対する支援としてどのようなことを行なっていますか(複数回答)」(n=62)と尋ねたところ、「勤務時間の短縮」が83.9%、「介護休暇制度(会社独自の制度)」が67.7%、「フレックスタイム制」が66.1%という回答となった。

前問で「わからない/答えられない」以外を回答した人に「Q4.Q3で回答した以外で、『シングル介護』に対する支援があれば、自由に教えてください。」(自由回答)(n=60)と質問したところ、「各職場でできるだけ事情に配慮するように指導している」や「テレワークの導入」など35の回答を得ることができた。

<自由回答・一部抜粋>
・65歳:各職場でできるだけ事情に配慮するように指導している。
・57歳:代休制。
・42歳:テレワークの導入。
・55歳:短日数勤務制度など。
・63歳:シングル介護は、ほぼ社内制度はできていると考えるが、従業員が制度理解できないものがいることに悩む。

  • 大企業の54.9%が、シングル介護者が社内にいる実態

「Q5.お勤め先では、実際に『シングル介護』を実施している方はいますか」(n=102)と聞いたところ、「はい」が54.9%、「いいえ」が21.6%という回答となった。

  • 9割超が、「シングル介護」支援に課題ありと認識

前問で「はい」と回答した人に、「Q6.『シングル介護』への支援の課題はありますか」(n=56)と質問したところ、「かなりある」が42.8%、「ややある」が53.6%という回答となった。

前問で「かなりある」「ややある」と回答した人に、「Q7.『シングル介護』への支援の課題を教えてください。(自由回答)」(n=52)と尋ねたところ、「相談窓口の形骸化」や「介護者の収入がかなり減少すること」など36の回答を得ることができた。

<自由回答・一部抜粋>
・57歳:どうしても介護を続けるためには職場での専用のサポートとそれに裏打ちしたルールがしっかりされていなくてはならないのに、相談窓口という形骸化したものしかなく、実際には業務を変えたとしても余り効果が無い。
・63歳:従業員の認知度が低い点。
・55歳:在宅して介護、その後短時間勤務などの制度があるが、それで支援しきれているか不明。
・55歳:介護者の収入がかなり減少すること。
・59歳:退職につながりやすい。

  • ほぼ全ての企業がウェルビーイングのため、今後は「シングル介護」の支援強化を検討

Q5で「はい」と回答した人に、「Q8.今後ウェルビーイングな働き方のために、『シングル介護』の支援を強化していきたいと思いますか」(n=56)と聞いたところ、「非常にそう思う」が57.1%、「ややそう思う」が39.3%という回答となった。

今回は、従業員数1,000名以上の企業の人事担当者・経営者102名を対象に、大企業のシングル介護者への対応に関する実態調査を行った。

現在増えている「シングル介護」に対し、大企業の70.6%は重要性が高まっていると認識。一方で、約3割は支援体制が整備されていないと回答している。

整備ができている企業に関しては、「勤務時間の短縮」が83.9%、「介護休暇制度(会社独自の制度)」が67.7%、「フレックスタイム制」が66.1%など、主に労働時間や日数を調整する形で整備している企業が多くある。その中でも9割以上が課題を感じており、「介護者の収入がかなり減少すること」も課題のひとつとしてあり、労働時間を削減することによるデメリットにも目を向けていく必要があるだろう。