本記事では、「大なり小なり」という言葉の意味や使い方を、例文を交えて詳しく紹介します。

また、「大なり小なり」の記号での表し方や、類語、英語表現も解説するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

「大なり小なり」の意味や読み方とは

  • 「大なり小なり」の意味について詳しく解説します

    「大なり小なり」の意味について詳しく解説します

ここでは、「大なり小なり」の意味や読み方を解説します。

「大なり小なり」の言葉の意味

「大なり小なり」の言葉としての意味は「程度の差こそあれ」や、「大きくても小さくても」「多かれ少なかれ」です。

「大なり小なり」の読み方

「大なり小なり」は「だいなりしょうなり」と読みます。この場合、「大」と「小」は音読みです。

「大なり小なり」の語源・由来

「大なり小なり」の語源や由来ははっきりしていません。1657年、江戸時代前期に発表された俳諧集『沙金袋』には既に「大なり小なり」という言葉が登場しています。

「大なり小なり」の記号と、どっち向きかの覚え方

  • 「大なり小なり」の記号表現と使い方も覚えましょう

    「大なり小なり」の記号表現と使い方も覚えましょう

「大なり小なり」は慣用句に分類される日本語ですが、数学的には不等号という記号で表すこともできます。不等号とは、2つの数や式が同等ではないことを表す記号です。

「大なり」は「>」、「小なり」は「<」で表す

「大なり」は「>」、「小なり」は「<」で表します。開いている側が大きい方で、閉じている側が小さい方を意味します。不等号の大小の考え方は左側が基準です。

「>」は左側に大きい数がくるので「大なり」です。「<」は左側が小さい数になるので「小なり」です。向きの覚え方は「左側に大小どちらの数がくるのか」で考えましょう。

具体的な例に当てはめると「A>3」は「A大なり3」と読み、「Aは3より大きい」という意味です。一方「B<5」は「B小なり5」と読み、「Bは5より小さい」という意味です。

「大なりイコール」は「≧」で「以上」、「小なりイコール」は「≦」で「以下」

「大なり小なり」の不等号に「イコール」が組み合わさった「大なりイコール」と「小なりイコール」も存在します。「大なりイコール」は「≧」、「小なりイコール」は「≦」です。

例えば「C≦10」の場合、「C小なりイコール10」です。意味は「Cは10か、またはそれより小さい数」です。

また、この2つの不等号は「以上」や「以下」ととらえることもできます。前述の「C≦10」の場合、「Cは10以下」と判断ができます。

「大なり小なり」の使い方・例文

  • 「大なり小なり」の意味ごとに例文を紹介します

    「大なり小なり」の意味ごとに例文を紹介します

ここでは、「大なり小なり」の言葉の使い方をご紹介します。次の例文を参考にしてください。

【見込みがあるときや傾向があるとき】
・今回の新幹線の開業は、大なり小なり各地に影響を及ぼすでしょう
・大なり小なり、世界はあの国が仕掛けた情報戦に翻弄(ほんろう)されるだろう

「大なり小なり」は、その詳しい程度はわからない、あるいは問題ではないが、ある物事に対してその傾向があることを示唆するときに使います。

【当然のことや仕方がないというとき】
・生きるということは、大なり小なりつらいことがあります
・老後の不安は、大なり小なり誰でも持っています
・大なり小なり、子育ての悩みは多くの親が抱えています

人や場合により程度の差こそあっても、それが当然である、仕方ないというシーンでも、「大なり小なり」はよく使われます。

「大なり小なり」の類語・言い換え

  • 「大なり小なり」の言い換え表現も覚えておくと便利でしょう

    「大なり小なり」の言い換え表現も覚えておくと便利でしょう

ここでは、「大なり小なり」の類語・言い換えをご紹介します。

幾ばくかは(いくばくかは)

「数量や程度が不明なときに使う言葉。どれほど」という意味です。

多かれ少なかれ(おおかれすくなかれ)

「数量や程度に多い・少ないの差はあっても」というニュアンスの言葉です。

そのほかにも「大小の違いはあっても」や「程度の差はあっても」、「濃淡はあっても」という表現も「大なり小なり」の言い換えとして使えます。

若干(じゃっかん)

「若干」は「干」という文字を「一」と「十」に分解した、「一の若く(ごとく)十の若し(ごとし)」から成ります。「はっきりはしないけれど、それほど多くはない数量」のことを表す言葉で、「多少」と同じで、比較的少ないことが予想できるときに使います。

「大なり小なり」には「それほど多くはない」というニュアンスはありませんが、はっきりしないという点では共通しています。

「大なり小なり」の英語表現

  • 「大なり小なり」の英語表現は複数あります

    「大なり小なり」の英語表現は複数あります

ここでは、「大なり小なり」の英語表現をご紹介します。「small and large」や「more or less」、「to a greater or lesser extent(degree)」で表現できます。

Life can be hard in small and large ways, but it is important to live one's life to the fullest.
(生きるということは大なり小なりつらいことがありますが、自分の人生を精いっぱい全うすることが重要です)

The opening of the Shinkansen will affect each regions more or less.
(新幹線の開通は、各地域に大なり小なり影響を与えるだろう)

To a greater or lesser extent, the impact of the oil price hike has been felt everywhere.
(大なり小なり、原油価格高騰に対する影響は各所に及んでいます)

「大なり小なり」の意味と使い方を理解しましょう

「大なり小なり」は「だいなりしょうなり」と読む言葉です。「程度の差こそあれ」という意味を持っています。

慣用句に分類される日本語ですが、不等号という記号で表すこともあります。「大なり」は「>」と表現でき、「小なり」は「<」で表現します。「≧」や「≦」などイコールが付くと「大なりイコール」や「小なりイコール」と読む不等号を表します。

「大なり小なり」の類語や英語表現は複数あります。「大なり小なり」を使った例文も参考にして、「大なり小なり」を使いこなしましょう。