夏といえば、日焼けや汗によって子どもの肌が大きな刺激を受ける季節。特に、自分で上手に体を洗えない乳児・幼児の場合、放っておくと重大な肌トラブルにつながることも……。

そこで今回は、子どもの体の上手な洗い方・スキンケアについて、三浦メディカルクリニック院長 井上哲兵先生にお伺いしてきました!

――子どもの体で特に洗ってあげるべき場所や、洗い忘れが多い場所はありますか?

全体的によく洗ってあげるよう心がけていただきたいのですが、特に気をつけるならば、“シワがあるような場所”でしょうか。例えば、耳の後ろや、首元、脇の下、肘、足の付け根、膝裏、足首などですね。

また、顔もよく洗っていただきたい場所です。顔を洗う際、言葉が分かる年齢のお子様には、10数えるまで目を閉じてもらい、数えている間に泡で洗って流し切るようにしましょう。泡は硬めで作るようにすると、目に入りづらくて良いですよ。

また、石鹸の種類はなるべく、香料や添加物、着色料、合成界面活性剤が入っていないものを選ぶといいでしょう。石鹸素地100%やカリ石鹸素地+水などの表記を目印にしてみてください。

――子どもの頭・体を洗ってあげるとき、強くこする、熱いシャワーをあてるなど「NG」なことや避けたほうがいいことはありますか?

熱いシャワーは絶対にNGです。火傷の危険性もありますし、石鹸と相まって肌の油分が余計に落ちてしまい、肌荒れの原因となります。なので、温度は37~38度で調整するようにしましょう。もし、温度が自動で調整出来ないタイプのシャワーであれば、事前に必ず手で温度を確認してください。

また、スポンジなどで強くこすると皮膚表面に傷がつき、これも肌荒れの原因となるため、注意しましょう。

――ボディータオルやスポンジ、手のひらなど、体を洗う方法はどれがおすすめでしょうか? 理由と合わせて教えてください。

皮膚を傷付けないように、素手で揉むように洗ってあげるのが最も効果的です。

というのも、スポンジやボディータオルで洗うのは刺激が強すぎる場合があり、手のひらで優しく撫でるだけでは汚れや雑菌が落ちにくいともいわれているからです。

もちろん、揉む強さ加減には十分注意してくださいね。

――お風呂上がりの保湿やスキンケアはどのようなアイテムを使うのが良いでしょうか。

お風呂から上がって5分以内に保湿剤をたっぷりと塗るのがいいでしょう。5分以内であれば、お風呂後でも肌の湿り気が残っていますし、その上からベールするように保湿剤を塗ると保湿効果が高まるといわれています。

もし、お風呂から出た後にすぐに塗ることが出来なかった場合は、添加物が入っていないタイプの化粧水を最初に塗り、その上から保湿剤を塗ると効果的です。

保湿剤は刺激が少なく、香料などの添加物が少ないベビー用のものを使用するのをおすすめします。アトピーがあるお子さんや乳児湿疹が治りにくいお子さんは医療機関に相談してくださいね。

――子どもに保湿クリームやローションを塗ってあげるときのポイントやコツはありますか?

全身にまんべんなく塗ってあげてください。小さいときから保湿剤を塗る習慣を作ることで、幼児期や学童期になったときでも嫌がることが少なくなります。

また乳幼児期の肌荒れは、アレルギーの発症に密接に関与していることが分かってきています。生後すぐからお風呂上がりの保湿剤を使用し、丁寧なスキンケアを心がけることで、肌荒れを極力予防していきましょう。もし保湿剤を使用していても湿疹が出てしまった場合は、医療機関で相談し外用薬等の処方を受けてくださいね。

汗をかきやすい季節こそ、正しい肌の洗い方・スキンケアはとても大切。ぜひ、今のうちから習慣にして、今年の夏をお子様と一緒に快適に乗り越えましょう!

取材協力:井上哲兵先生

2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
2015年同大学呼吸器内科大学院修了
2018年国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
聖マリアンナ医科大学呼吸器内科非常勤講師
2019年三浦メディカルクリニック院長

保有資格:医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・日本医師会認定産業医
ホームページ:三浦メディカルクリニック