コロナ禍をきっかけに、受発注や商取引における契約の電子化が進んでいます。この「電子契約サービス」にはどういうものがあり、何がメリットなのでしょうか? 本記事では、紙ベースだった契約書から電子サービスへと移行するメリットやおすすめのサービスを、導入を検討する担当者に向けて解説していきます。

  • 受発注管理・商取引における電子契約のメリット

    電子契約にはどんなメリットが?

受発注管理・商取引における電子契約のメリット

紙の契約から電子契約に変更した際に生じるメリットについて説明します。

印紙税の削減ができる

紙の契約書には収入印紙を貼ることが義務付けられており、契約の種別や契約金の大きさで税額が決められています。印紙税は1件あたり200円からとなりますが、大型契約になるほど高額になり、数十万かかるケースも。大型の契約でなくても、多くの請負契約を結ぶ企業にとって、印紙代は大きな負担となります。

電子契約にすれば印紙を貼る必要がないため、印紙代を削減することができます。

事務労力・手間が削減できる

紙による契約の場合、契約書を作成した後に以下のような工程が入ります。

1.契約書を印刷して製本する
2.契約書に収入印紙を貼る
3.封筒に宛名を記入し、封入する
4.郵便局へ投函しに行く

電子契約の場合はインターネット上でやり取りが行われるため、上記1-4が必要ありません。労力や手間が大きく削減できます。

契約締結までのスピードが上がる

上記で説明したように、紙の契約書には電子契約にはない工程が生じます。さらに契約締結までには、以下の3つの工程が入ります。

1.郵送した契約書を取引先が受領
2.取引先が契約書への押印・収入印紙の貼付
3.取引先が契約書を返送

契約書の確認だけでなく、送付や持参のための時間も必要なため、さらに締結までの期間が延びます。電子契約では契約書を送付する手間がなく、インターネット上で簡単に契約締結までのやり取りができるためスピードが上がります。

契約書類の保管・管理の効率化ができる

紙の契約書の場合、法人税法によって7年間は保管しなければいけません。すべての契約書を保管・管理するにはスペースの確保、管理に時間を割かなければならず、担当者にとって大きな負担となります。電子契約であれば、クラウド上に保管できるため、保管スペースも必要なく、保管方法に悩むこともありません。

  • リモートワークの加速により導入企業も増えている電子契約

    リモートワークの普及で電子契約を導入する企業が増えています

リモートワークの加速により導入企業も増えている電子契約

2020年のコロナ禍をきっかけに、多くの企業でリモートワークが広がりました。しかし、バックオフィス業務の多くでは「押印が必要な書類がある」「契約書の作成が家ではできない」などで出社を余儀なくされる事案が発生しました。

これらの問題を解決するため、リモートワークをしながら契約書の締結まで進められる電子契約サービスを導入する企業が増えています。

  • 電子契約サービスでできること

    電子契約サービスでできることとは?

電子契約サービスでできること

電子契約サービスを利用してできることを紹介していきます。

契約書のひな型からの作成

電子契約サービスには多くのひな型が用意されているため、簡単に契約書を作成することができます。また、自社オリジナルのひな型を作り、テンプレート化することも可能。契約書を作れば作るほど、作業効率が高まります。

契約のための稟議・承認

契約のための稟議と承認もインターネット上で完結できます。自宅でも会社でも、どこにいても契約を進めることが可能です。

電子データでの署名・押印による契約

電子署名対応の電子契約サービスを導入すれば、自宅でリモートワーク中でも署名や押印による契約が可能です。

契約書類の保管・管理

紙の書類では種類別、年代別など書類の管理が煩雑でしたが、電子契約サービスではすべてクラウド上に格納できます。保管スペースを用意する必要がありません。また、検索機能を利用することで容易に過去の書類を引き出すことができます。

システム連係による業務負担やミス削減

電子契約と顧客データなどをシステム連携することで、業務の自動化を進め、業務負担を減らすことができます。さらには契約更新漏れといったミスの削減も叶います。

  • シェア率も高い導入実績が高い主要電子契約サービス

    主要な電子契約サービスを説明します

シェア率も高い導入実績が高い主要電子契約サービス

多くの企業が導入している主要電子契約サービスを紹介します。

クラウドサイン

ベンチャー企業から大企業まで130万社以上の導入実績を誇る「クラウドサイン」は、弁護士がサービス全体を監修し、初めて電子署名法に対応する電子契約サービスとして政府から認められた先駆者的存在です。視認性の高いデザインで、ITに不慣れな人でも簡単に操作が可能。さらには外部サービスとの連携も豊富で、業務の効率化を推進することができます。送信件数月5件までのフリープランもあるので、気になる方は試しに使ってみることをおすすめします。

freeeサイン

会計ソフトとして有名なfreeeが提供している「freeeサイン」。用途に応じて契約書のテンプレートを登録できるので、自社オリジナルのテンプレート作りが簡単にできます。過去の契約書管理に関しても検索機能、有効期限のリマインドなど、便利な機能が満載です。

DocuSign

世界180カ国以上、44言語でグローバルに展開している「DocuSign」は、世界標準のセキュリティとプライバシー管理が魅力の電子契約サービスです。契約成立までの時間を83%短縮するといい、優れたパフォーマンスが期待できます。30日間無料トライアルができるため、ぜひ検討してみてください。

BtoBプラットフォーム 契約書

見積もり・契約・受発注・請求ごとの書類をすべて電子データ化できる電子契約サービスを提供している「BtoBプラットフォーム」。70万社以上が導入しているシェア率の高いサービスの一つです。「BtoBプラットフォーム 契約書」では、契約書の締結・管理を一元化。すべての書類を一つのインターフェースだけで管理できるため、導入の際の負担が少ないのも特徴です。お試し用のフリープランも用意されているため、試しに使ってみてはいかがでしょうか。

  • 受発注管理の業務範囲とシステム導入による業務効率化のポイント

    電子契約サービスを活用しよう

契約の法的効力や規制への遵守・担保に電子契約サービスの活用を

電子契約サービスを利用する際は、電子契約に関わる法律を遵守しているのか、よくチェックしましょう。電子契約サービスでは電子署名の効力に関する「電子署名法」、電子契約書の保存に関する「電子帳簿保存法」、契約書などの電子データを保存するルールを定めた「e-文書法」など、遵守すべき法律も多いです。これらすべてに対応しているサービスを選び、上手に活用してください。

また、受発注管理業務そのものについて、システムによる業務効率化のポイントを他の専門用語や要素を交え、以下の記事で紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

受発注管理業務とシステムによる業務効率化のポイントをわかりやすく解説