物価上昇によりお財布事情にも大きな影響が出ている昨今。本格的に家計改善に取り組みたいと考えている人も増えています。
そこで今回は、7年間で1800万円の貯蓄に成功したワーキングマザー・ゆきこさんに家計改善のコツをインタビュー。一生お金に困らないために心がけておきたいことについてお聞きしました。
ゆきこさん
関東圏内で夫と、6歳、4歳、1歳の3人の子どもたちを育てるワーママ。独身時代から浪費家で、共働きにもかかわらず結婚1年目で貯金0円。長女の誕生をきっかけに家計を見直し、試行錯誤を経て、7年間で総貯蓄1800万円を達成。インスタグラムのフォロワー数は16万人超。新著に『貯金0円からはじめる 一生お金に困らないための生活』がある。
貯金0円からでも大丈夫! 固定費を見直して「無駄」と向き合う
――貯金ゼロから総貯蓄1800万円を貯めたゆきこさん。貯蓄をしようと思ったきっかけを教えてください。
元々は超浪費家で「自分が稼いだお金を自分に使って何がいけないの?」と考えているタイプでした。結婚してお金が貯まるかなと期待もしましたが、それでも貯まらない。夫婦そろって浪費家だったんです。
危機感を抱くようになったのは、長女が生まれた頃です。育児雑誌を読んで驚きました。子どもの教育費がどれだけかかるか特集されていたんですが、子どもを1人育てようと思うと、大学までの進学で何千万円とかかることが分かったんです。
結婚当初から子どもは2、3人欲しいなと思っていたので、そうなると必要になるお金もその2倍、3倍とかかることになる。単純に計算しても、このままの生活ではそのお金を準備してあげられない、「これはまずい!」と思ったことが始まりでした。
――まずは何から取り組みましたか?
契約の確認など手間はかかりましたが、まずは固定費を見直しました。家賃やスマホ代、保険料など、何にいくら使っているのか確認すると、「本当に必要なものなのか?」「もう少しお得なプランはないだろうか?」と考えますよね。これは「いまある無駄を見直す」という作業になります。
固定費だけでなく、生活の中で「無駄」と向き合うだけでも、家計改善につながります。
例えば、自分が3カ月前に購入したものを思い出してみてください。いまも使っているものって、もしかしたら半分くらいかもしれないですよね。自分の買い物を振り返って「これは必要なかったな……」と自覚できることが大切なんです。
私は無駄を見つける習慣ができたことで、自然に身の回りのことを整えるようになって、本当に必要なものだけにお金をかけていくという良い循環が生まれてくるようになりました。
鍵となる「パートナーの協力」は"興味を持ってもらう"ことから
――家計管理はパートナーの協力もなければ難しいなと思うのですが…。ゆきこさんのご主人は、節約や貯蓄に対して理解を示してくれましたか?
固定費の見直しと同じくらい大事なのが、パートナーの協力だと思いますが、これが難しいんですよね。私たち夫婦も例外ではありませんでした。夫はすぐに乗り気になどなってくれませんでしたし、実際、夫婦関係が険悪になったこともありました。
そこで重視したのが、まずは自分がお金の知識を身に着けること。自分で固定費を見直したり、勉強したりして下準備をしましたね。「私はちゃんとやっているよ!」という姿を背中で見せるようにしました。
そして、老後のためのお金や必要な教育費が把握できたタイミングで、夫に具体的な金額とその根拠を伝えました。
夫は理系で論理的なものごとの捉え方が好きなタイプ。数字を示したことで「いまから行動を起こさないと間に合わない」と危機感を持ってもらうことができました。
必ずしも初めから夫婦が同じモチベーションで頑張れるわけではありません。相手が納得して動いてくれる材料を作って、興味を持ってもらうことが大切だなと思います。
――だんだんとご主人の気持ちや言動にも変化が出てきたんですか?
そうなんです。少しずつ成果が出てくると夫の行動も変化していきました。自分からお得な情報を調べたり、貯蓄をはじめて1年経つ頃には「ライフプラン表」を作成したりして、積極的に貯蓄に参加してくれるようになりました。
ライフプラン表には人生の節目に必要なお金と総貯蓄額の推移を記載しているのですが、毎年夫が修正してくれるので目標が明確になり、いまは"夫婦で貯蓄を頑張っている"という実感を持てています。
毎月の家計を確認して「今月は●●の支出を減らせて良かったね」などと労いあうことで、「これがもう1年続いたらもっと貯められるよね!」と貯蓄のモチベーションを上げることができていますよ。
まずは1万円を貯めることから! うまくいかなくてもクヨクヨしない
――ご主人の協力あってのライフプラン表、すごいですね!! 最初から目標金額を意識して貯蓄を始めたんでしょうか?
ライフプランを立てると「1000万円貯めよう!」などと目標を立てる人も多いと思いますが、実際は1000万円ってすごく遠いですよね。私たちは、無理な目標を立てずに、まずは1万円、1万円クリアできたら2万円と、少しずつ額を増やしていきました。「今月は目標額を達成できなかったな……」という月もありましたが、そこでクヨクヨしても続きません。「ゼロではなかった!」と思えば次も頑張ろうと思えますよね。
それから、1円単位で家計を合わせようとしないことも大事です。ある程度は"どんぶり勘定"で、ラフな計算でいいと思うんです。数百円が合わなくてずっと電卓を叩いている時間があったら、その分、情報収集をした方がいいなとも思います。
ライフプランで大きな目標を立てつつ、日常生活の中でできることを、前向きな気持ちで進めていくことが大事です。
――巷にはたくさんの節約術・家計管理術があふれていますが、自分に合った方法を見つけるにはどうしたらいいと思いますか?
まずは試してみるのがいいと思います。私も最初からいまの家計管理法にたどり着いたわけではなく、SNSなどを活用しながら、節約や貯蓄のための情報を調べては試してみるということを続けてきました。
例えば「月初めに予算別に封筒にお金を分けておく」という家計管理の方法がSNSで話題になって試してみたことがあるのですが、私の場合、1週間も続きませんでした。食費を節約してみたら、家族から「ごはんがおいしくない」と言われて我が家には向かないなと思ったり……。
他の人には効果のある方法だったとしても、それが自分に合うものだとは限りません。情報に振り回されず、自分にとって続けやすく効果が出やすい方法を取捨選択していくことが大切です。無理せず効果を生み出せると家計管理は楽しくなってきます。そしてそう思えることが、節約や家計管理が長続きするための秘訣だと思いますよ。
『貯金0円からはじめる 一生お金に困らないための生活』(ゆきこ 著/荒堀辰幸 監修/KADOKAWA 刊)
夫婦共働きで3人の子どもを育てながら、7年で1800万円貯めたワーママが贈る、人生100年時代を安心して過ごすための「お金のあれこれ」を紹介。ズボラな家計管理法、月1総貯蓄チェックによるモチベーションUP術、「教育のお金」「マイホームのお金」「老後のお金」を投資メインで補っていく考え方、夫を家計参加に誘う「やる気ワード」など、一生のお金にまつわるメソッドを集めました。フィナンシャルプランナー・荒堀辰幸さんの監修も交え、「一生にかかるお金のデータ」「世界一やさしい投資信託レッスン」「保険で見直すべきポイント」などもあわせてお届け!ゆきこ家がマネープラン達成のために始めた、現在進行形のリアル失敗談&成功談を、余すことなくお伝えします。