俳優のディーン・フジオカが主演する日本テレビ系ドラマ『パンドラの果実 ~科学犯罪捜査ファイル~』Season1(毎週土曜22:00~)が、きょう25日に最終回を迎える。

中村啓氏の小説『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』を原作にしたサイエンスミステリーで、 AIロボットの殺人容疑、動く死体、心霊現象、不老不死など、毎回キャッチーなSF(サイエンス・フィクション)要素を盛り込みながらも、リアリティーたっぷりに、そして壮大なエンタテインメントに仕上げられ、回を追うごとに人間ドラマも濃密になっていき、ラストへ向けて盛り上がりを見せている。

今作のプロデューサーである日本テレビの能勢荘志氏に、このドラマに込められた様々なこだわり、出演者の魅力、そして最終回の見どころを聞いた――。

  • 『パンドラの果実 ~科学犯罪捜査ファイル~』主演のディーン・フジオカ (C)NTV

    『パンドラの果実 ~科学犯罪捜査ファイル~』主演のディーン・フジオカ (C)NTV

■今の時代だからこそ説得力ある内容に

このドラマは原作小説があるとはいえ、第1話の「AIロボットの殺人」や、第4話の「亡くなった人に会える仮想現実(=VR)」など、一見映像化が難しそうな題材だ。その狙いを聞いてみると、「これが十年前だったら『こんなことある?』って疑問に思う話になったかもしれないですけど、今では“サイエンス・ファクト(科学的な事実)”という新しい言葉も出てきて、科学が真実に近いところで関わるドラマがあっても面白いのではないかと思ったんです。今の時代だからこそ説得力がある内容にできるんじゃないかと考えました」と語る。

ただ、小説の上で違和感なく表現できていても、映像化する上ではリアルとフィクションのバランスが難しいところ。そこで、「フィクションを7、事実を3くらいのバランスがいいんじゃないかなと思って作りました。テレビを見ながら、分からない言葉が出て来るとスマホで検索したりする方もいると思うんですけど、実際に検索したら『本当にある!』というリアル感や、『こんな研究、本当にやってるんだ!』といった発見がいくつも散りばめられていると思います」と明かす。

  • 第1話に登場したAIロボット (C)NTV

■Huluとの共同製作によって可能になったこと

今作はHuluが共同製作に加わり、Season2が地上波での最終回放送直後に配信をスタート。「最初は10本の連続ドラマとして企画していたんですけど、そこにHuluさんが新しい企画を探しているということで、共同製作できることになりました。そのことで、通常の連ドラであればこじんまりとしたものになったかもしれないところが、プロジェクトの規模も大きくなったことで、いろんなところにこだわれる作品にできました」という。

そのこだわりの1つが脚本づくり。「3人の脚本家さんでチームを作るという海外ドラマみたいなことに挑戦しました」といい、全話の脚本を仕上げた上で撮影に入ったが、原作を脚色する上でも、ある利点があった。

「原作者の方と脚本家の方が同じエージェントの所属だったので、わりとフレキシブルにオリジナルのドラマも作らせていただけたんです。通常、原作ものは出版社とのやりとりが多くなったりするんですが、今回は個々のやり取りができて、よりチームとして作ることができましたね」

また、「通常のドラマだと、脚本がギリギリになって、そこから“監修”の先生を探すというのがとても大変なんですね。私が以前担当したドラマで、“取材担当”や“監修担当プロデューサー”という立場でもそういった苦労をよくしていました」というが、全話の脚本が仕上がっていることによって、「今回は早い段階から『こんな話がやりたいんだけど…』と、先立っていろんな大学の先生に声をかけて監修をしてもらうことができました」という効果もあった。今作では、総勢10人もの科学監修が参加している。

スタッフロールに「監修」というクレジットが入る責任から、こうした役割は断られるケースも往々にあるそうだが、「今回は『このドラマの内容だったらいいですよ』と、監修のクレジットを快諾してくださる先生が多かったですね」とのこと。

その理由は、「科学者の方って一番最初は空想から入るそうなんです。そのひとつ飛び抜けた空想がないと、新しい研究ができない。だから意外と我々が作っているフィクションを面白がってくださる先生も多かったんですよ。逆にこっちが『これは絶対ないと思うんですけど…』と躊躇(ちゅうちょ)したものが、『いやいや何十年後に実現できているかもしれないですよ』って後押ししてもらったりして、今回取材して面白いなと思いました。ご縁というかいろんな先生方に支えていただいた作品だなと感じています」