駅構内や百貨店、マンションなどのエレベーターには大きな鏡がついていますよね。鏡を利用して身だしなみを整えたりする人も多いと思いますが、そもそも、なぜこのような大きな鏡がつけられているのかをご存知でしょうか?

  • ※画像はイメージです。

その理由について、兵庫教育大学・准教授の「小川修史[おがっち]インクルーシブについて斜め135度から考える研究者(@ogatti21)」さんがツイートして注目を集めています。

「エレベーターの鏡は髪型やメイクを直すためのものではなく、車椅子ユーザがバックで出るためのバックミラーなんです。」と伝えると、一部の学生から「知らなかった!」という反応。「鏡は車椅子ユーザのために設置されたものですが、多くの人の役に立つ。この感覚を知ってほしいです。」と伝えた。
(@ogatti21より引用)

実はエレベーターの鏡は、車椅子を使っている方々のために設置されたもので、ツイ主の小川さんが学生さんたちにその事実を伝えたところ「知らなかった!」という反応も見られたのだとか。
言われてみればどこかで聞いたことがある気もしますが、あまり意識しないとつい忘れてしまいますよね。

身だしなみのチェックや犯罪防止など、何かと役立つエレベーターの鏡。小川さんは「鏡は車椅子ユーザのために設置されたものですが、多くの人の役に立つ。この感覚を知ってほしいです」と生徒たちに伝えたそうです。

このツイートは多くのユーザーたちの関心を集め、ツイートは2万件のいいねを獲得(6月6日時点)。数々のコメントも寄せられました。

「目からウロコが100枚は落ちました!! そうだったのか…車椅子ユーザーもそうでないひとも、みんなが使い易いものって、良いですね。」

「全く知りませんでした 大事な役割があったんですね」

「ですよね。うちのマンション年中引越しの養生で隠されてて意味ないなーと感じてます」

「脚の手術をして車椅子だったときに、『おお、この鏡はそのためか! 』と気付きました。中で旋回はできない、微妙な広さのエレベーターだったので、鏡は便利でした」

「これはタメになる話。障碍者のために設置された道具が、健康な人の役にも立つなら誰も損はしないですよね」

「後ろからの痴漢の時の犯罪防止とかカメラに見せるためだと思っていた…」

「こういうことは、学校で教えてもいいと思う。科目として福祉があってもいいんじゃないかなぁ」

ツイ主さんに聞いてみた

今回のツイートの大反響を踏まえ、ツイ主である小川修史さんにより詳しいお話をうかがってみました。

ーーツイッターアカウントのプロフィールに『障害の有無や性別等で分け隔てられないインクルーシブ社会を「楽しく」目指す人』とありますが、これについて詳しく教えていただけますか?

障害を解消するという話をすると、どうしてもネガティブな印象や負の感情が生まれがちで、その根底にはどこか「してあげる」の発想があるのではないかと考えています。一方で、障害の有無に関わらず「楽しい」デザインであれば、全ての人が「してあげる」という感覚を抱く事なく、win-winな社会が実現できるはずです。

こうした思いから、今年秋のパリコレウィークで障害の有無や性別に関わらず心躍るファッションで、ファッションショーを開催します。誰もが楽しめる、楽しさベースのユニバーサルデザインを展開していきたいです。

ーー今回のツイートが大きな反響を生んでいますが、率直なご感想などはございますか?

反響が「してあげるのは素晴らしい」という広がり方ではなく、「知らなかった」「確かに多様な使い方が出来るデザインって大切」といった内容だったのが嬉しかったです。こうした考え方がもっと広まってくれる事を願っています。


誰もがメリットを感じられる「楽しい」デザインという発想は、とても温かくて素晴らしい考え方です。そんなユニバーサルデザインがこれからもどんどん広がり、みんなが生活しやすい社会になるといいですよね。