夏野菜の代表として知られるピーマンは、ビタミンCが非常に豊富な野菜としても有名です。青々とした色味は炒め物にすると、きれいな彩りを添えてくれます。ピーマンの栄養素にはほかにどんなものがあり、その栄養素を生かすにはどんな食べ方が良いのでしょうか。パプリカとの違いについても解説します。

  • ピーマンの栄養素や効能について解説します

ピーマンとは

ピーマンは、原産地が中南米の熱帯地方で、ナス科トウガラシ属の植物です。凹凸のある見た目からも、赤や緑のトウガラシが連想できます。18世紀、アメリカで品種改良のすえ生まれた実が大きくて肉質が厚めの甘トウガラシが、現在のピーマンの始まりといわれています。その当時は今のピーマンより大きく、日本では明治時代に伝わり戦後に中型種が誕生してから、一般的に食べられるようになりました。

ピーマンとカラーピーマンの違いとは

一般的にピーマンと呼ばれる緑色のものは、実は完熟していない状態で収穫したもの。ピーマンは完熟すると赤くなって甘みが増し、これがカラーピーマンと呼ばれます。赤色のほか黄色いカラーピーマンもあります。栄養価も、完熟したカラーピーマンのほうが高いとされています。

ピーマンとパプリカの違いとは

ピーマンと同じトウガラシ属ですが、大型で肉厚な品種をパプリカと言います。ピーマンのような苦みはなく、甘みがしっかり楽しめます。日本には1990年代に輸入がスタートされました。

ピーマンと同じ緑色のものが完熟して、赤や黄、オレンジなど鮮やかな色になります。栄養価もピーマンよりパプリカのほうが高く、ビタミンCやβ-カロテンを豊富に含んでいます。

  • 青いピーマンが熟したものがカラーピーマンです

ピーマン の栄養素と効能

ピーマンの主な栄養素と効能を紹介します。

<青ピーマンの栄養素>※生、可食部100グラム当たり

エネルギー: 20kcal
・水分: 93.4g
・食物繊維: 2.3g
・カリウム: 190mg
・β-カロテン: 400μg
・ビタミンE: 0.8mg
・ビタミンK: 20μg
・ナイアシン: 0.6mg
・葉酸 : 26μg
・ビタミンC: 76mg

β-カロテン

ピーマンの栄養素で、特に注目したのがβ-カロテンです。β-カロテンには抗酸化作用があり、老化の原因とされる活性酸素の発生を抑えたり、除去したりするとされています。また、β-カロテンは体内でビタミンAとなり、視力を保つ、粘膜や皮膚を健やかに保つことで免疫力向上につなげるなどの作用があります。

ビタミンC

ピーマンにはビタミンCも豊富。例えば、同じ夏野菜のトマトやきゅうりと比べておよそ5倍の含有量があります(可食部100g当たりトマト15㎎、きゅうり14㎎)。ビタミンCは、肌に張りや潤いを与えるコラーゲン生成を促し、美肌へつなげるうれしい栄養素です。また、免疫機能アップの作用もあります。

ビタミンCは一般的に加熱に弱い特性がありますが、ピーマンの場合は別。しっかりとした細胞壁に守られ、加熱しても損失はほとんどありません。

ヘスペリジン(ビタミンP )

ピーマンにはポリフェノールのひとつ、ヘスペリジンという栄養成分も含まれています。ビタミンPとも呼ばれます。末梢血管をしなやかに強くすることで、血流を改善し、高血圧を予防する効能があるとされています。ほかにも、ビタミンCの吸収をサポートするといううれしい効能も。

ピーマンとカラーピーマン、パプリカの栄養価の違い

ビタミンCやβ-カロテンを例に、ピーマンとカラーピーマン(赤)、パプリカの栄養価がどれくらい違うのか見てみましょう。※生、可食部100g当たり

ビタミンCの含有量
ピーマン: 76㎎
カラーピーマン(赤): 170㎎
パプリカ: 170㎎

β-カロテンの含有量
ピーマン: 400μg
カラーピーマン(赤): 940μg
パプリカ: 1100μg

このように、ビタミンCやβ-カロテンの含有量では、ピーマンよりカラーピーマンやパプリカの方が多いといえます。

  • ピーマンよりもカラーピーマンやパプリカの方が栄養価は高くなります

ピーマンの選び方

ピーマンは表面に張りがあり、緑色が鮮やかでツヤのあるものを選ぶようにしましょう。ヘタもしなびていない、みずみずしいものがよいでしょう。一般的に肉厚もののが風味もよいとされています。一年中、手に入るピーマンですが、やはり旬の夏に出回るものは肉厚でおいしさもアップしています。

ピーマンの栄養素を効率よくとるには

ここからは、ピーマンの栄養素を効率よくとる調理法を紹介します。

■油で炒める
ピーマンに含まれるβ-カロテンは油との相性が抜群。油に溶け出るので、吸収されやすくなります。炒め物をする際は油を使うのがおすすめです。

■わたや種も使う
ピーマンのわたや種、捨てている方も多いでしょう。じつはこうしたわたや種にも栄養は豊富。カリウムといったミネラルや、ピラジンという香り成分などが含まれています。ピラジンは血流を整える効能もあるとされています。できれば料理に使うことがおすすめです。

ピーマンの苦みを和らげるには

生のままのピーマンは、独特の苦みが気になるからニガテだという方もいるでしょう。ピーマンの繊維を断つ切り方をすると、苦みを感じにくくなります。わたの部分の苦みが特に強いため、わたをきれいに取り除くのもおすすめです。

また、苦みは油でコーティングすると和らげることができるので、素揚げにしたり、ナムルなど油を使った調味料に漬けたり、マヨネーズとツナ缶などであえたりするのもおすすめです。

ピーマン嫌いの子ども向けに品種改良された「ピー太郎(こどもピーマン)」やフルーツピーマン(フルーツパプリカ)などもあります。ぜひチェックしてみてください。

  • ピーマンのわたや種にも栄養は豊富です

ピーマン の切り方いろいろ

ピーマンは切り方を変えることでさまざまな食感が楽しめます。以下はその一例です。

  • 細切り…ピーマンの繊維に沿って切ることで、シャキシャキの食感に。チンジャオロースに使う時などの切り方
  • 輪切り…ピーマンの繊維を断ち切るのでしんなりとやわらかく。見た目もかわいらしいので、サラダやピザのトッピングに
  • 乱切り…ピーマンの存在感を出せて甘みもしっかり楽しめる。酢豚などの炒め物に

ピーマンの保存方法

ピーマンは冷蔵庫の野菜室に入れて、新鮮なうちに使い切りましょう。一度洗ったものは、水気をしっかりふき取り、キッチンペーパーに包んで保存袋に入れます。表面に水分が残っていると、傷みやすくなるので注意が必要です。

ピーマンは冷凍保存もできます。丸ごと冷凍する際は、水洗いをして水気を取り、冷凍用保存袋にいれて空気を抜きます。へたと種を取り除いて使いやすい大きさにカットし、冷凍用保存袋に入れても良いでしょう。冷凍したピーマンは2~3週間で使うようにしましょう。

  • ピーマンは切り方によってかわいらしい形に

ピーマンの主な栄養素はβ-カロテンやビタミンC

ピーマンには夏場にうれしい抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCなどがたっぷり。カラーピーマンやパプリカはさらに栄養価がアップします。

ピーマンのビタミンCは加熱に強いとされており、β-カロテンは油との相性がよいことから、炒め物にするのがおすすめです。苦みが気になるという方は、繊維を断つ切り方にしたり、ナムルにしたりして楽しんでみてくださいね。