• 比嘉家4兄妹(左から歌子役の上白石萌歌、賢秀役の竜星涼、暢子役の黒島結菜、良子役の川口春奈)

暢子だけではなく、兄妹たちや親役も決め打ちのキャスティングだった。竜星涼がトラブルメーカーだが家族思いな長男・賢秀役を、川口春奈が努力家の優等生である長女・良子役を、上白石萌歌が歌うことが好きだがシャイで病気がちな末娘・歌子役を演じる他、優しくて強い母・優子役を仲間由紀恵が、父・賢三役を大森南朋が演じる。

「竜星涼さんが演じる長男のキャラクターは、決して善良な小市民ではなく、家族に迷惑をかけるという、ちょっと癖のあるキャラクターです。そこを決してダークな方向にいき過ぎずに、楽しく演じていただきたかったから、竜星さんならそういうバイタリティや明るさを持ち合わせているんじゃないかと思いました。また、竜星さんは、同じ羽原さんの脚本で、僕も担当した別の作品(『昭和元禄落語心中』)でも、お世話になりましたが、その作品でも期待に応えてくださったので、今回もお願いしました」

川口が演じる良子については「4兄妹のなかでも一番優等生タイプで、ただ良い子なだけに見えますが、すごくナイーブなところや優しい顔など、多彩な表情を持っている女性です。センシティブな感じもあるし、どこかしらこちらが応援したくなるような優等生ならではの不器用さも持ち合わせている」としたうえで「地元のマドンナと言われているキャラクターでもあるので、そういう要素を全部組み合わせてイメージしたところ、これは川口春奈さんしかいないんじゃないかと思い、お願いしました」とのこと。

続いて上白石については「やや奥手で歌が上手な女の子という設定が決まっていたので、歌の説得力はもちろん、明るいなかに透明感があるところです。年代も含めて考えていきましたが、上白石さんもまったく異論がないまま歌子役に決まりました」と言う。

小林氏によると、兄妹の結束力は沖縄ロケで一気に深まったとか。「昨年11月からの沖縄ロケでは、黒島さん、竜星さん、川口さん、上白石さんが割とまとまった時間を現場で過ごされました。天気が良かったので、働いていても気持ちがよくて、きっと皆さんがお近づきになるきっかけになったんじゃないかなと。コロナ禍なので、マスクを付けたままでも、ちょっとした間におしゃべりをしたり、役について語り合ったりされていたし、僕たちが見てないところでも積極的にコミュニケーションを取られていたと思います。また、スタジオに戻ってからも、4人が揃うシーンがありましたが、すでに家族になった感があったというか、役柄のまま楽しいゲームをしているような印象を受けました。お母さん役の仲間由紀恵さんも含め、談笑に花が咲いていました」

さらに4兄妹の共演シーンについて「コミカルなシーンでは、テンポ感といい間合いといい、皆さんものすごく勘が良くて、いいキャッチボールができています。羽原さんが脚本段階でイメージされたものよりも、くすっと笑えるようなユーモアにあふれたニュアンスが良く出ていて、きっと共感できる感じになったのではないかと。皆さんが役柄のことを相当考えて準備してくれていたこともありますが、テンポ感やノリみたいなものも合うのかなと思いました」と手応えを口にした。

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