大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は7日、御堂筋線と中央線の計9駅でリニューアルデザインが決定したと発表した。御堂筋線では、淀屋橋駅、本町駅、大国町駅、天王寺駅の4駅について、リニューアルデザインのイメージが公開された。
淀屋橋駅のデザインコンセプトは「アーチ構造の象徴」。古くから政治・経済の中心地として大阪を支えてきたこのエリアの伝統と格式を重厚感のある石材やモノトーン基調で表現し、現状のシャンデリアを記憶のモニュメントとして踏襲しつつ、これまでの資産をモダンに再生する。
御堂筋線と中央線が接続する本町駅のデザインコンセプトは「インターセクション」。大阪を代表する2路線が交わり、大阪・関西万博とその先の未来をつくることをコンセプトに、高い機能性と象徴性の調和する駅をめざす。御堂筋線のホームは、ダブルアーチの天井形状と柱の造形を生かしつつ、高級感のある素材と最新の照明計画により、モダンとクラシックが共存するデザインとした。
なお、御堂筋線と中央線をつなぐ通路・階段等の動線は、万博開催中や会期前後の交通量の変化なども加味しつつ、より使いやすい駅となるよう徐々に改装を進めていく。
大国町駅のデザインコンセプトは「地下構造が美しい駅」。御堂筋線と四つ橋線がひとつの空間で行き交う駅であり、地下構造の美しさを強調したデザインとしている。列車が走る軌道の天井は、美しさをより際立たせるライティングで魅力的な空間に仕上げるとのこと。
大国町駅の南コンコースに、車両模型や車両の歴史に関する展示スペースも設置される。実際に走る車両を展示スペース奥の窓から見られる構造とし、模型と実際の車両を同じ空間で楽しんでもらえる計画とした。
天王寺駅のデザインコンセプトは「柱の美、格子の美、光の美」。人が行き交い、鉄道が行き交うターミナル駅を象徴する天井のグリッドと、連続する柱の美しさを照明の灯りで際立たせながら、よりクリーンな空間とした。照明の当て方や素材感で、立体感のある柔らかな空間に仕上げるという。
大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は、南北軸となる御堂筋線、東西軸となる中央線の主要駅で「地下空間の大規模改革」を実施予定としている。「地下空間の大規模改革」は、老朽化した駅の壁や天井の剥離・落下の防止対策など、駅の安全性を確保する工事に合わせ、魅力的なデザインと機能を充実させることにより、駅自体を楽しんでもらえる空間として提供する取組み。2019年8月、御堂筋線の梅田駅、心斎橋駅など5駅のデザインを発表しており、リニューアル工事を進めてきた。
今回、リニューアルデザインが決定した9駅についても、前回の5駅と同様、それぞれ駅の地域性・歴史性と魅力を徹底して深掘りし、より多くの人に喜んでもらえるデザインとなるよう取り組んできたとのこと。大国町駅、大阪港駅、森ノ宮駅では、デザインだけでなく、「駅に来ることが目的や楽しみになる、そしてワクワクしていただける」ような展示スペースや展望デッキを設けるとしている。