名古屋鉄道は、東岡崎駅の北口・南口周辺を対象エリアとした一体的な再開発の実施について発表した。南口再開発は2022年度内に着工し、2023年度内に竣工。北口再開発は2027年度内に着工し、2029年度内に竣工をめざす。

  • 北口新駅ビル施設完成予想図(北西より俯瞰)

東岡崎駅は、名鉄における西三河地区最大のターミナル駅として、通勤・通学の利用者数が多く、周辺には岡崎市役所などの行政機関が立地する。岡崎城や大樹寺など、豊富な歴史的資産も有している。

再開発事業は、名鉄グループ中期経営計画「Turn-Over 2023」で掲げる「グループ一体となった沿線・地域の活性化」の一環として取り組むものであり、2021年11月に岡崎市と締結した基本協定にもとづき、岡崎市が主導する「QURUWA戦略」と連携した街へ開かれた施設計画を策定していく。「QURUWA戦略」とは、乙川リバーフロント地区内の豊富な公共空間を活用した公民連携プロジェクトで、まちの活性化(暮らしの質の向上・エリアの価値向上)を図る戦略だという。

再開発計画コンセプトは「『SWING HIGAOKA』-この街の躍動的なリズムをリードする-」。岡崎市には、世界的に類を見ない貴重なジャズレコード、雑誌、オープンリールテープなどが所蔵されており、国内有数のジャズイベントが開催されるなど、「ジャズの街」として広く知られている。このことから、ジャズ用語の「SWING(スイング)」が持つポジティブな意味合いを踏まえ、岡崎市が取り組む一連のまちづくり戦略と連携し、今回の計画を通して駅施設を起点とした躍動的なリズム(人の流れ)を作り出し、地域の個性を引き立てていく。

北口の再開発方針として、現在の駅ビル(岡ビル)を解体した後、駅利用者や来街者をターゲットとした商業機能と事務所機能を有する複合施設を整備するほか、バスターミナルを再整備することで交通結節点としての役割を強化。施設全体では、街周辺への回遊起点として観光ニーズにも対応した店舗や、バスターミナルでの乗換え時間等も有意義に過ごせるように、隙間時間のニーズにも対応した店舗を配置する。イベントなど多目的に活用できるスペースも一体的に整備することにより、にぎわいを創出する。

  • 南口ビル施設完成予想図(南東より俯瞰)

南口の再開発方針として、周辺居住者と駅利用者をターゲットとした施設と位置づけ、食品などの物販店舗に加え、飲食やサービスの用途を取り入れた生活利便性の向上に寄与する店舗を誘致し、周辺居住者にも選ばれる駅南口のシンボルとなるような施設をめざす。岡崎市は徳川家康生誕の地としても知られ、市内に所縁の深い神社仏閣が多く、駅南口至近には徳川家康の産土神として有名な六所神社があることから、こうした周辺施設との立地にも配慮し、動線計画を含めた施設計画を進めるとしている。