唯一無二の存在感で見る者を魅了する俳優の本郷奏多。子役からキャリアを重ねた彼は、端正な顔立ちながらも、王道イケメンキャラではなく、映画『キングダム』(19)の成キョウ役や、現在公開中の『嘘喰い』の目蒲鬼郎(めかま・きろう)役など、ひと癖ある役柄で個性を発揮してきた。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか)では、川栄李奈演じる3代目ヒロイン・ひなたの相手役となる五十嵐文四郎を演じ、また熱い視線を浴びている。
五十嵐が初登場したのは第15週の2月10日。ひなたと五十嵐は、るい(深津絵里)が営む回転焼き屋「大月」で出会った。これは、初代ヒロイン・安子(上白石萌音)と夫の雉真(きじま)稔(松村北斗)が、安子の実家である和菓子屋「たちばな」で出会ったのと同じ構図だが、2組のファーストインプレッションは真逆。安子たちは最初から互いに好印象だったが、ひなたたちはかなり険悪な雰囲気だった。
クレジットで“無愛想な男”と表記されていた五十嵐は、回転焼きが焼けないひなたを「嘘だろ?」とバカにし、おつりを受け取ると「ふ~ん、引き算はできるんだ」と嫌味を言う。「チッ」と舌打ちも話題になり、初登場からインパクト大だった。第16週では、伴虚無蔵(松重豊)に誘われ、映画村でアルバイトをすることになったひなたは、五十嵐がしがない大部屋俳優だと知る。2人がどんなことをきっかけに恋愛モードへとシフトしていくのか、今後が楽しみだ。
本郷は五十嵐について「不器用で一番子どもっぽい男の子」と捉え、「ひなたを含め、たぶん好きな子には意地悪しちゃうタイプで、ひなた目線からすると『うわ! なんだ、こいつ』という感じの出会いから始まりました。でも、徐々に五十嵐には彼なりの信念があることがわかっていき、きっと女子も応援してくれるようなキャラクターになるのではないかなと」と語っていた。
本郷によると、安子編、るい編にもあった夏祭りシーンがひなた編でも登場するそうで、そちらでの胸キュンを大いに期待したいところだ。
■自身は器用なタイプも「逆に言うと、突出した何かがない」
ちなみに本郷は不器用な五十嵐とは違い、自分はわりと器用なタイプだと自負している。「僕は昔からいろんなことのコツをつかむのが上手かったというか、割とこなせるタイプの人間でした」と言いつつ、「逆に言うと、自分には突出した何かがない」とも感じている。
そして、「好奇心が旺盛なので、いろんなことに興味を抱き、そうなるとガッと突き進んでいくので、ある程度のところまでは深掘りできます。ただ、器用貧乏なので、ものすごく突き詰めるのではなく、次に興味を持ったものにすぐ移ってしまうので、広く浅くという感じになってしまいます」と分析し、「唯一ずっと変わらずに熱をもって続けているのが、俳優のお仕事ぐらいなのかなと。それを失ったら自分には何も残らないので、気を引き締めて清廉潔白に生きようと思っています。多趣味なことがいろいろと仕事にもつながっているので、そこは良かったと思います」と話した。
これまで続けてみてよかったことや、今後トライしてみたいことについても聞いてみると、「どうなんでしょう? 本当に頂点を極められたものは1つもないです。ただ、昨年YouTube(「本郷奏多の日常」)を始めまして、それはすごく楽しいので、これからも毎日やっていこうとは思っています」と答え、「いつか英語が話せるようになれたらいいなとも思いますし、このドラマを最後までやることによって、さらにそう思うことを期待しております」と英語にも意欲を見せた。