国際金融サービスを提供するテクノロジー企業「Wise」は、中小企業のグローバル展開に関する調査を世界11カ国で実施し、その結果を1月24日に発表した。調査は、2021年8月16日~9月21日の期間、世界中の民間中小企業のグローバルな上級意思決定者4,835名を対象にオンラインにて行われた。そのうち日本国内では、9月1日~7日にかけて、524名の企業経営者が回答。なお、本調査はWiseの委託を受け、YouGov社が独自に実施した。

  • グローバルに事業を展開している中小企業の割合(国別)

はじめにグローバル展開している企業の割合は、世界の平均46%と比較して、日本はわずか15%という結果に。また、調査対象となった中小企業の26%が今後5年間でグローバル展開する予定があると回答したのに対し、日本企業の割合は10%にとどまることが判明。

また、グローバル展開している日本の中小企業73%が、5年前と比較してグローバル展開が困難になっていると回答。その主な理由として、「関税・税金」(35%)と「国際決済および海外送金」(32%)が挙げられた。

実際、グローバル展開している日本の中小企業39%が、海外送金における主な問題点として「わかりにくい/想定外のコスト(隠れコスト)」を挙げており、世界平均の27%を大きく上回っている。それに続いて「高い手数料」(37%)、「複雑/煩雑なプロセス」(32%)が問題点としてあげられた。

すでにグローバル展開している日本の中小企業71%が、「海外送金にかかるコストについて理解している」と回答したが、一方で、海外送金で実際に負担しているコストを正しく認識している経営者は23%という結果に。

また、グローバル展開する日本の中小企業のうち、銀行がコストパフォーマンスで優れていると回答したのは23%にもかかわらず、82%の中小企業が海外送金で銀行と銀行カード決済を利用していた。その理由として「顧客が銀行の利用を好むため」(30%)と回答した。

次に、日本の中小企業にグローバル展開を決める理由を調査。上位2つに「新規顧客の開拓」(48%)、「長期的成長見通しの向上」(41%)が挙がった。このことからもグローバル展開によって得られる機会の多さを、各企業認識しているようだとのこと。

それにもかかわらず、日本の中小企業のグローバル展開やその予定が低調な理由として「文化や言語の違い」(60%)、「国際決済にかかるコストやプロセスの複雑さ」(50%)、「輸入関税や税金」(30%)などが障壁として挙げられた。

※調査対象国:イギリス、スペイン、スイス、フランス、ドイツ、オーストラリア、シンガポール、日本、ニュージーランド、アメリカ、カナダ